以前は川崎、昨年から東京で持たれているスイスの有名音楽フェスの日本版の二日目に行く。恵比寿・ガーデンホール。

 メラニー・デ・ビラシオのショウはとんでもなく素晴らしかった。感銘。こういう欧州で通受けしている人物をサクっと持ってこれるのは、欧州に根をはる音楽フェスティヴァルの利点をとても感じさせる。彼女たちのパフォーマンスに触れることができて、本当に良かった。

 ベルギーの自作派、歌手。もう、含みと雰囲気がありまくり(照明は、ぼくには暗すぎと感じる)、そしてその奥から秀でた美意識や確かな才が浮き上がる。乱暴に書くなら、ニーナ・シモンあたりを耽美側に滅茶振り切らせた詠唱路線とレディオヘッド的音響現代ポップの間を行ったり来たり。シャーデーの次なるものを求めたい人にも勧めたい。曲はどれも10〜15分ほどありそうな感じで、潮の満ち引きのような流動性の高い表現であるとも、まちがいなく指摘できる。サポートは鍵盤やギター、鍵盤、ギター、ドラム。このドラマーが4ビートを叩くわけではないが、完全にジャズの間(ま)と奥行きを出す人物で実に効いている。本人はときにフルートを淡々と吹いた。
 
 ジャイルズ・ピーターソン(1999年5月21日、2002年11月7日、2004年1月16日、2008年9月18日、2012年9月13日、2013年11月1日)がDJ(フロア後方に、祭壇のようにDJブースが作られていた)をやった後は、彼のブラジル音楽財産探訪プロジェクト『ソンゼイラ』のライヴ・プロジェクトが始まる。昼間には野外無料ステージで彼が仕切る日本人主体セッションも持たれたはずで、ある意味7日の同フェスは“ピーターソンの日”と言えたのかもしれぬ。

 セッション参加者は、歌のマリア・フレイタス(少し鍵盤も弾いた。マルチーニョ・ダ・ヴィラの娘で、リオ五輪開会式にも登場)、ヴォーカルとギターのガブリエル・モウラ(元ファロファ・カリオカのリーダーにして、セウ・ジョウジ〜2005年9月1日〜の親友)、英国トリップ・ホップ・トリオのスモーク・シティにいたニーナ・ミランダ(ブラジル出身、ロンドン在住)、キーボードのダニーロ・アンドラーヂ(ソロ・パートの際、とっても分かりやくすアウトするフレーズを連発していて笑った)、音楽監督も務めたベースのカシン(2001年5月18日、2006年6月27日、2007年7月25日)、カシン他参加のフランス語で歌うリーダー作も出しているドラマーのステファン・サンソン(フランス生まれで、現在はリオに住む)、パーカッションのゼロ、元ガリアーノ~トゥ・バンクス・オブ・フォー(2004年1月16日、2008年5月9日)のロバート・ガリアーノ(電気効果を担当)という面々。フレイタスとモウラは歌声がデカい。

 そして、中盤を回った後に、スペシャル・ゲストという触れ込みで、歌とエレクトリック・ピアノでマルコス・ヴァーリ(2002年11月7日、2003年10月24日、2008年4月28日、2010年5月25日、2014年4月22日)も登場。奥さんのパトリシア・アルヴィも一緒に出てきたコーラスをつける。

 曲間にはジャイルズの弾けたMCもいろいろあり。お祭りの中の、カラフルな、娯楽性にも満ちた確かな出し物。コンゴロトニクvsロッカーズ(2011年8月1日)とか、そういうものとの親和性も感じたか。

▶過去の、ジャイルズ・ピーターソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm 1999年5月21日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200809191051472579/
http://43142.diarynote.jp/201209191239346073/
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/
▶過去の、カシン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://43142.diarynote.jp/200607041834300000/
http://43142.diarynote.jp/200708051738450000/
▶︎過去の、ロバート・ギャラガー
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200805110825440000/
http://43142.diarynote.jp/201311021703148497/
▶︎過去の、セウ・ジョルジ
http://43142.diarynote.jp/?day=20050901 (今となっては、奇跡の日本公演となる?)
▶過去の、マルコス・ヴァーリ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm  11月7日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm 10 月24日
http://43142.diarynote.jp/200805031401060000/
http://43142.diarynote.jp/201006031537221581/
http://43142.diarynote.jp/201404260858553785/
▶︎過去の、コンゴロトニクvsロッカーズ
http://43142.diarynote.jp/201108101626258730/

<一昨日の、ヴァーリ>
 ヴァーリには久しぶりにインタヴューした。リオの海岸近くのペントハウス(3階)に住み、海岸散歩が趣味。悠々と軽く、とっても素敵な73歳。あやかりたい。彼はジャズ歌手のステイシー・ケント(2012年3月12日、2014年4月22日)とのDVD2枚/CD1枚からなる『Live at Birdland』(Sony、米国盤にも日本語字幕が付いている)を出して間もないが、次作はコンテンポラリー傾向の作品になるそう。カシンとは翌日、少し話したが、真面目だな。なんか若い時のチャーリー・ヘイデン(2001年11月20日、2005年3月16日、2009年9月10日)に似てると伝たら、困惑していた。この週末は、横浜ジャズプロムナード、朝霧ジャムなんかもやっているんだよなあ。
▶過去の、ステイシー・ケント
http://43142.diarynote.jp/201203131840477844/
http://43142.diarynote.jp/201404260858553785/
▶過去の、チャーリー・ヘイデン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200909120650273142/

コメント