エドゥ・ロボ

2016年4月4日 音楽
 おお、1943年リオ生まれの、鬼才シンガー・ソングライターの公演を日本で見ることができようとは。六本木・ビルボードライブ東京、セカンド・ショウ。盛況なり、満を持してここに来た人も少なくなかったんだろうな。
 
 彼の曲を歌っている、ブラジル人逸材はたくさん。あ、E.W.&F.も彼の「ザンジバル」(1973年作『ヘッド・トゥ・ザ・スカイ』に収録)を取り上げていた。そんなロボはセルジオ・メンデスとマブダチで、1970年前後には米国に居住し(MCも英語でしていた)、メンデスのプロデュースで1971年に米A&Mからアルバムをリリースしたこともあった。そのころ、彼はメンデスの日本公演に同行、それ以来の来日であるという。

 彼の名前を知らなくても、彼のブラジルの無形のワクワクとつながったフックを持つ曲を耳にしたことがある人は少なくないのではないか。ぼくが彼の曲を最初に耳にしたのは、当時ブルーノート・レコードのA&Rもしていた広角派ジャズ・ピアニストのデューク・ピアソンの『アイ・ドント・ケア・フー・ノウズ・イット』(ブルーノート、1970年)かも。ピアソンはそこでロボの「ウッパ・ネギーニョ」を女性歌手を擁してカヴァーしていて、その不思議な聴感には驚いた。エリス・レジーナのヴァージョンでも良く知られるそれがロボの曲であると知ったのは後のこと、同曲はクラブ・ミュージック基準においてはトップ級にヒップなブラジル曲となっている。

 すでに70歳ごえ、動きはゆっくりしていたが、思ったほどはおじいちゃんではなかった。驚いたのは、ピアノ、アコースティック・ベース(かつてジョイスのサポートでよく来ていたジョージ・エルデル)、ドラム、フルート/サックス(カルロス・マルタ。2000年8月4日)というジャズ仕様と言えなくもない設定のバンドを従えていたこと。面々は1曲、主役ぬきでインストも披露した。また、想定外であったのは1曲いがい(それも音がほとんど聞こえなかった)、彼はギターを持たずに、歌うことだけでショウをまっとうしていたこと。そのヴォーカルはかなり音程があまく、それにも少し驚く。だが、悪びれず、これがおいらとばかり悠々と歌っていく姿を見ると、この名ソングライターでもある彼の積み重ねに思いを巡らしつつ、それでも価値があると思えてきちゃうよなあ。

 途中と最終曲(「ウッパ・ネギーニョ」。この晩披露した数少ないアップ・テンポ曲ですね)では息子のペナ・ロボ(40歳ちょいか)が加わり、一緒にデュオ風で歌う。彼も音程はあまかった。

▶過去の、ジョイス
http://43142.diarynote.jp/200407151608250000/
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http://43142.diarynote.jp/200910021138591223/
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http://43142.diarynote.jp/201508091203108498/
▶︎過去の、ジョージ・エルデル
http://43142.diarynote.jp/201404251643448230/
http://43142.diarynote.jp/201404260858553785/
▶︎過去の、カルロス・マルタ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-8.htm

<今日の、新作>
 アルト・サックスを中心とするマルチ・プレイヤー/シンガーの泉邦宏(2006年7月3日、2011年7月10日、2012年4月21日)から、新しいCD『もがりぶえ』(キタカラレコード K-25)が送られてきた。裏ジャケ写真が素敵、ネ。彼はなんか年にアルバムを2枚は作っていそうで、しかもジャズ、広義のエスノ、シンガー・ソングライターものまで、1枚ごとに内容が散っていて、手元にCDが届くたびに今度はどんな内容なのかなと胸がときめく。で、今回はなんと尺八を吹いたアルバム。で、それを本当にいろんなスタイルで扱っている。“電波”なブツもあって、とても尺八を吹いているとは思えないものもある。なんにせよ、毎度のように、音楽の自由の行使や人間性謳歌の様に、ぼくは胸が一杯になる。配給はメタ・カンパニー→http://metacompany.jp/shop/index.php?main_page=product_info&cPath=1_2_379&products_id=1054
 また、ぼくの大好きなシンガー・ソングライターの、ANEIKY A GO GO!/山浦智生(2009年5月16日、2011年1月15日、2013年3月2日、2013年10月22日)も新作『ロックなたましい』(SPY)を4月1日に出した。ロッキッシュに突っ走るアニーキー→http://www.amazon.co.jp/ロックなたましい-ANIEKY-GO/dp/B01CYO2D7W/ref=sr_1_2?s=music&ie=UTF8&qid=1459716488&sr=1-2  やはりトップ級にアンダーレイテッドな日本人ポップ音楽家だと思う。
▶過去の、泉邦宏
http://43142.diarynote.jp/?day=20060703
http://43142.diarynote.jp/201107111327576732/
http://43142.diarynote.jp/201204221307297965/
▶過去の、アニーキー・ア・ゴーゴー
http://43142.diarynote.jp/200905181017287290/
http://43142.diarynote.jp/201101171218542943/
http://43142.diarynote.jp/201303070813599854/
http://43142.diarynote.jp/201310241000242214/

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