ボブ・ジェイムスの項(http://43142.diarynote.jp/201503060912185943/)で触れたビリー・チャイルズ(2012年3月15日)のローラ・ニーロ・トリビュートのアルバムをフォロウする公演。丸の内・コットンクラブ、セカンド・ショウ。今、花見シーズンにあわせて、ホワイエで日本酒(宇都宮の四季桜という銘柄)とつまみをふるまっている。

 NYらしい機微を出した最たるピアノ弾き語り系シンガー・ソングライターであるローラ・ニーロは、ヴァイブのマイク・マイニエリ(2010年9月5日、2015年2月8日)、フリー・ジャズもいける名コントラバス奏者のリチャード・デイヴィス、ギターのジョン・トロベイ(2004年1月27日、2007年10月9日、2016年2月19日)、ドラムの元スライ&ザ・ファミリー・ストーンのアンディ・ニューマーク、アラン・トゥーサン(2006年5月31日、2006年6月1日、2007年10月21日、2009年5月29日、2011年1月10日、2012年10月15日、2013年10月22日、2015年1月21日)がアルバムをプロデュースしたこともあった女性ブラス・ロック・バンドのアイシスのトランパッターだったエリン・シーリングなどを擁して1976年に米国ツアーを行った。彼女の1977年作『光の季節』(コロムビア)はそれをソースとするライヴ盤ですね。もともとスタジオ作でも同様のスタジオ系奏者を起用していたニーロだったが、そのライヴならではの開放性や浮遊感(彼女のミュージシャン紹介MCの抑揚は独自だよなー)は格別だった。てなわけなので、ビリー・チャイルズのようなジャズ畑の人がローラ・ニーロ表現にのぞんでも不思議はない。

 ピアノを控え目に弾く当人に加え、ギター、アコースティック/エレクトリックの両方を弾くベーシスト(わ、サウンドガーデンのベーシストと同性同名だァ)、ドラマーに加え、ベッカ・スティーヴンス(2015年1月29日)とアフリカ系シンガーのアリシア・オラトゥージャという2人の女性シンガーがそれぞれの曲でフロントに立つ。すべて歌モノ、2人のシンガーが一緒に歌う曲もひとつあった。

 スティーヴンスが歌う「ザ・コンフェション」(最初、ジョニ・ミッチェルの曲かと思った)始まったショウに触れて感じずにはいられなかっったのは、ニーロって広角型のライン取りの難しい曲を書いていたんだなということ。でも、2人の歌手はそれをうれしそうにこなす。とともに、歌詞を書いたシートなぞは一切おかず、空で歌っているのが美しかった。

▶過去の、マイク・マイニエリ
http://43142.diarynote.jp/201009171511588216/
http://43142.diarynote.jp/201502090956393081/
▶過去の、ジョン・トロペイ
http://43142.diarynote.jp/200402051855170000/
http://43142.diarynote.jp/200710131957390000/
http://43142.diarynote.jp/201602220813282241/
▶過去の、アラン・トゥーサン
http://43142.diarynote.jp/200606071933120000/
http://43142.diarynote.jp/200606071936190000/
http://43142.diarynote.jp/200710221206190000/
http://43142.diarynote.jp/200906051614524790/
http://43142.diarynote.jp/201101111202336229/
http://43142.diarynote.jp/201210201217291727/
http://43142.diarynote.jp/201310241000242214/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
▶過去の、ビリー・チャイルズ
http://43142.diarynote.jp/201203161146266803/
▶過去の、ベッカ・スティーヴンス
http://43142.diarynote.jp/201501301446383781/

<今日の、追憶>
 ローラ・ニーロ(1947〜1997年)の歌い方に少し沿おうとする2人の歌い方(だから、歌唱が近似していた)に触れ、彼女の1994年に渋谷のオンエア・ウェストであった来日公演を思い出す。ピアノ音色のキーボードを弾きながら3人の女性コーラスとともにパフォーマンス、彼女はかなり太っていた。黒人音楽愛好とボブ・ディランへの共感がシンガー・ソングライターへの道に向かわせたとも言われる彼女、もともとはガールズ・グループとドゥーワップの大ファンで、彼女と女性R&Bコーラス・グループであるラベルとの1970年代前半の密すぎる交流は一部でよく知られる。ドゥーワップで始まるニーロの1971年カヴァー・アルバム『ゴナ・テイク・ミラクル』はギャンブル&ハフの制作で、フィラデルフィアのシグマ・サウンド録音作。同作のアーティスト英字表記は、ローラ・ニーロ・アンド・ラベルとなっていますね。蛇足だが、デイヴィッド・ボウイのトニー・ヴィスコンティ(2015年7月7日)制作の1975年作『ヤング・アメリカンズ』もシグマ録音盤。そこでドラムを叩いているのは、アンディ・ニューマークだった。
▶過去の、トニー・ヴィスコンティ
http://43142.diarynote.jp/201507090944439091/

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