渋谷・シアターオーブで、フランキー・ヴァリ/ザ・フォー・シーズンズの歩みを追うブロードウェイ・ミュージカルの『ジャージー・ボーイズ』を見る。2006年や2007年にトニー賞やブラミー賞も受賞し(劇中には、トニー賞やグラミー賞は金で買えても、ロックの殿堂は買えない、なんて台詞も出てくるか)、クリント・イーストウッド監督により2014年に映画(2014年9月5日)化もされたわけだが、最初のほうは、その映画を見ていなかったら筋をちゃんと理解できたかと、ザ・フォー・シーズンズの愛好者ではないぼくは思った。

 基本の舞台美術設定は終始変えずマイク・スタンドや椅子やテーブルや自動車内を模す椅子等が細かくステージ上に表れては消え、それでテンポ良く、情報量豊かに、ニューシージー出身のコーラス・グループの音楽や人間関係は描かれて行く。ときには、ステージ背後のヴィジョン映像投射が控え目になされる場合も。そこらへん、ものすごく、考え抜かれ、整備されている。ビンボー臭さもない。もちろん、ステージ上にはイタリア系米国人がたくさん。イーストウッドの映画は、ミュージカルを基本まんま追ったものであるのも知らされる。

 映画より、ぐっと来た。とともに、生のミュージカルの良さを堪能。出演者の力量に不満はなし、総じての設定や流れ(休憩を入れて2時間強。結構長いが見せきる)も巧みでテンポがいいし、プロのやり口をいろいろと感じる。そして、そこから、ニュージャージの半パなチンピラ青年たちが音楽をとおして男になっていく様、売れたら売れたで出てくる障害なども絡めつつ、音楽/グループをやっていくことの様々な機微が、映画なんかと比較にならいほど濃く描き出されるのだから、これは引き込まれる。

 通常、ステージの表に出ない付属バンドはまっとう。それほど使われないがホーン・セクションもいて、10人強。うち、ドラマーは動くドラム・セットにのって、ステージのあちこちにけっこう出てくる。どうしてそうすることになったか分らないが、なんかおもしろいし、舞台に活力や動的感覚を与えるのは確か。実はドラムはツイン・ドラムであたるところもあり、舞台に出てくる人は回によっては変わるのかもしれない。ドラム・セットには音楽監督の指揮の様が写るモニターが組み込まれていた。それから、ライヴのシーンで出てくる音のでないキーボードはイタリア製ヴィンテージ・オルガンのファルフィッサ(しかも、状況に合わせて2種類でてくる)を用いていて、わーとなる人もいるかもしれない。

▶過去の、映画「ジャージー・ボーイズ」
http://43142.diarynote.jp/201409091015492136/

<今日の、会場>
 見たのは、13時半からのマチネー公演。雨天だったけど、客はちゃんと入っておりました。ザ・フォー・シーズンズ役の4人はこの日もう一回ステージに上がるとしたら、体力あるなあ。そういえば、出演者の歌やセリフはちゃんとPAから出ているが、その声を拾うシステムは不思議。マイクは用いず、頭髪のなかにシールドさせたセンサーをおいて(発信器は背中に固定)声を拾っていたような、、、。よく、分らない。この日、一番前の列で見ちゃって最初、落ち着かず。小心者であることを、認知しました。

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