なんと、グラスパーのグループがクラッシックのオーケストラと共演する公演。池袋・東京芸術劇場コンサートホール。なんでも、昨年ノース・シー・ジャズでグラスパーとオーケストラとが一緒にやるプログラムがあったことが引き金になっているよう。

 クラシックには全面的にうといもので、西本智美という指揮者のことはまったく知らなかった。クラシックを知る人によると、海外での指揮者活動歴も長い人で、宝塚の男優みたいな感じで人気を得ている人なんだそう。写真を見ると、YOSHIKIみたいだ。なるほど、グラスパーのファンととももに、彼女のファンも客席にはけっこういたように見受けられた。ぼくは女性の指揮者に初めて触れる。

 西本が芸術監督兼首席指揮者を務める2012年設立のイルミナートフィルハーモニーオーケストラを用いてのもので、壇上には70人ぐらいいたか。コンサート・ミストレス、ようはオーケストランのリーダーも女性が務める。最初の曲はグラスパー抜きのオーケストラ演奏。ロシア人作曲家リムスキー・コサルコフの「スペイン奇想曲」というものをやったが、何人かのソロ演奏をフィーチャーする曲だった。その際のコンミスのヴァイオリン演奏は少しジプシー調と言えた? 

 20分弱のオーケストラ演奏後、まったく普段着のグラスパー(サングラス付き)が出て来て、『ブラック・レイディオ2』(2013年)収録のレイラ・ハサウェイが歌っていた「ジーザス・チルドレン」を一緒に演奏する。グラスパーのピアノは生音にて。作曲者を迎えての、イルミナートフィル・プレイズ・グラスパーといった塩梅のもの。15分ぐらいやり、その後休憩。西本は分りやすい指揮をする人だと思った。

 そして、以下はわりと通常のバンド演奏(4人の音はすべてアンプリファイドされる。ベースのバーニス・トラヴィス〜2013年2月8日、2013年3月19日、2014年5月11日、2014年8月20日、2015年6月4日〜は1曲以外エレクトリック・ベースを使用)とオーケストラが一緒に重なるパフォーマンスに入る。エキスペリメントの面々は皆ラフな格好だが、前のほうで見ている人によると、けっこう緊張している感じもあったそうな。また、グラスパーと西本のアイ・コンタクトや、マーク・コレンバーグ(2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2005年6月4日)が指揮棒を注視していたりとか、いろいろ指揮者とグループの間には共有されるものがあったようだ。また、かなり歌ったという印象を受けたケイシー・ベンジャミン(2009年12月19日、2010年12月16日、2012年6月12日、2013年1月25日、2014年8月20日、2015年6月4日)はそうでもなかったように見えたけど、他の奏者はけっこう譜面と向き合ってもいたな。それは、通常の公演ではない。

 オーケストレイションは、山下康介、萩森英明、石川洋光、岩城直也という4人がやっている。昨年のオランダでの実演はヴィンス・メンドーサがやっていたというので、書き下ろしアレンジをやったのだと思う。1部の共演曲1曲はオーケストラが主でグラスパーが従気味という感じだったが、ハービー・ハンコックの「処女航海」で始まった1時間ちょいの2部は、エクスペリエンスの演奏のもと、そこここにオーケストラ音がいろいろと差し込まれるといいうもの。そこらへんの噛み合いは編曲も実践もうまくやっていて、おそらく演奏の小節数はちゃんと定まったなかでの協調ではなかったかと思われる。おもしろいのは、オーケストラ音のサンプリング音が入るような聞き味を持つ箇所もあったこと。うーん、そこらへんはなかなかグラスパー表現らしいと言えると思う。

 明日に、グラスパーにはインタヴュー。今日のことをどう言うだろう?

▶過去の、ロバート・グラスパー
http://43142.diarynote.jp/200710121727100000/
http://43142.diarynote.jp/200904150840164356/
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
▶過去の、バーニス・トラヴィス
http://43142.diarynote.jp/201302091341485664/
http://43142.diarynote.jp/201303221327416224/
http://43142.diarynote.jp/201405121521477969/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
▶過去の、ケイシー・ベンジャミン
http://43142.diarynote.jp/201001051625155901/
http://43142.diarynote.jp/201012171104366095/
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/
▶過去の、マーク・コレンバーグ
http://43142.diarynote.jp/201206141342549869/
http://43142.diarynote.jp/201301270742196778/
http://43142.diarynote.jp/201408210931581467/
http://43142.diarynote.jp/201506070919133558/

<今日の、まとめ>
 編成のデカいクラシックのオーケストラの表現はやはりいろいろと興味を喚起される。いろいろ進歩改善しているところもあるのだろうけど、大昔からこういう様式が確立されちゃっていたのはすごい、すごすぎる。まあ、変なことをやろうとして潰されたり、黙殺されたりした人もいろいろいたと思う。そして、人との繋がりという部分において、かなり気の遠くなるロマンを覚えたりも。
以下のものは、過去見ている、クラシックのオーケストラがついた非クラシック公演……。

http://43142.diarynote.jp/200606101341360000/ コステロ
http://43142.diarynote.jp/200807041128510000/ シスモンチ
http://43142.diarynote.jp/200909120647256771/ エルダー
http://43142.diarynote.jp/201001051626133581/ MONO
http://43142.diarynote.jp/201009111624281899/ ミラー
http://43142.diarynote.jp/201210060944303925/ ルグラン
http://43142.diarynote.jp/?day=20121130 チーフタンズ
http://43142.diarynote.jp/201310280755386500/ 小曽根、デリベラ
http://43142.diarynote.jp/201407111305232157/ 狭間

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