ケニー・ギャレット。スティック・メン・ウィズ・デイヴィッド・クロス
2015年4月10日 音楽 全員黒人のバンドと全員白人のグループによるインスト表現の、実演を見る。丸の内・コットンクラブと六本木・ビルボードライブ東京。ともにぼくにとってはそれほど注視してこない人だったためもあるかもしれないが、けっこう想像していたものと違ったことをやったということでは重なるな。
まず、ケニー・ギャレット(1999年11月12日、2001年6月14日、2003年8月19日)。こんなに、アコースティック・ジャズ志向の御仁であったのか? ぼくは、もっとフュージョンぽいと思い込んでいた。ピアノ、ウッド・ベース、ドラム、パーカッション奏者を擁するカルテット、彼はワン・ホーンにてぶいぶいと吹きまくった。本編4曲とアンコール1曲で(あったよな?)、1時間20分ほどのショウ。
サイド・マンは皆、近作に入っていた人たち。アコースティック志向といってもパーカッション奏者が入っているのはポイントで、演奏したうちの2曲はラテンぽい。他にもいろんなギャレットの興味の差し込みがあり、それが純ジャズのイメージから離れ、フュージョンぽさにに繋がるのかもしれぬ。とともに、アルト・サックスは大層上手(チャリー・パーカー、やらせたら上手そう)とうならせるが、どこか音色に陰影がなく、ぼくにとってはそこがフュージョンぽい印象と繋がるのかもしれないと思った。今のところ新作となる2013年作『プッシング・ザ・ワールド・アウェイ』(マック・アヴェニュー)に入っていた呪文のような肉声が入る(ライヴではギャレットとピアノとベースが担当)曲ではソプラノ・サックスを吹いたが、するとジョン・コルトレーンの影響下にあることが顕著に出る。へえ〜。
他の日は、「赤とんぼ」や「翼をください」といった日本の曲もやったそうだが、ぼくが見たセットはやらず。少なくても、この晩の生理的にストロングな流れのなかでは浮くはずで、それにはホっとした。
▶過去の、ケニー・ギャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
その後は、スティック・メンを見る。米国NYスタジオ/フュージョン・シーン出身ながら、ピーター・ゲイブリエル・バンドや再結成後のキング・クリムゾンに入って名を挙げたエレクトリック・ベーシストであるトニー・レヴィン(2013年6月26日)が中心となって組んだバンド。正統な音楽素養をロック側に持ち込んで多大な成功を収めた奏者とも言えるレヴィンはいつごろからか両手で指板をタッピングする多弦(要は、多音を出せる)楽器であるスティックの名手として知られるようにもなったが、バンド名はその楽器名から来ているんだろう。それは、スティック奏者2名(レヴィンと、ドイツ人のマーカス・ロイター)と、米国スタジオ界出身でレヴィンとともに現キング・クリムゾンのメンバーでもあるドラマーのパット・マステロットからなる。
レヴィンはアイヌの伝統楽器のトンコリを想起させる(ヘッド部をのぞく)形態を持つスティックを持つが、ロイターはギターのカタチ(10弦)をしたそれを弾く。ロイターがギターっぽい音、レヴィンがベースに近い音を主に出していた。技巧者だったらスティックを使わずに、普通にベースとギターで出来るのではないか、とは言うまい。そこには、楽器奏者ならではのロマンが付帯するわけであるし、ぼくスティック触ったことないし。
その3人に、1970年代前半のキング・クリムゾンのヴァイオリニストである英国人のデイヴィッド・クロスがゲストで加わるわけだが、最初ステージに出て来て音を出し始めたのはクロスとロイターの2人(この2人は一部鍵盤も弾いた)。一部の曲ではステージ横に退いたりもしたが(このときが、スティック・メンの曲だったのだろう)、クロスもバンド構成員といえる陣容で、面々はショウを行った。
その結果として、かなりキング・クリムゾン/ロバート・フリップの財産に甘えたパフォーマンスを披露。単純化して言うなら、クリムゾン絡みの曲と、一発モノとも言えなくもないリフ基調曲の2本立て。それから、マステロットが出していたと思われるが、けっこうPCのプリ・セット音を下敷きにしていた。それに合わせる、切れと重量感に満ちたドラム音は、白人版デニス・チェンバース(2008年12月7日、2013年3月12日)といった感じもアリ?
本編最後は、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(イエスが3枚組ライヴ盤のオープニングでこれみよがしに用いていた。ぼくはそれでストラヴィンスキーの存在を知り、彼はぼくが最初に買ったクラシックのレコードの作曲者となった……)。その拡大性のあるアレンジの様は、プログ・ロックの教科書と言いたくなるものなり。そして、アンコールはクリムゾンの『太陽と戦慄』の終盤2曲で、満場の年配気味のお客さんが一気に大発情! ぼくは中学生のとき一時夢中になった以外(『太陽と戦慄』から解散までの三部作は、わりと好き。『宮殿』は好きではない)、プログ・ロック離れをしてしまったので冷静に接していたが、40年も前に「太陽と戦慄 パート2」みたいな刺激的な仕掛けのある曲を作ったロバート・フリップはすごいと思わざるをえず。
▶過去の、トニー・レヴィン
http://43142.diarynote.jp/201306271617516710/
▶過去の、デニス・チェンバース
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/201303211531189619/
<今日の、初めて>
ビルボードライブ東京の入り口横には机が出ていて、1日限りであった、この晩のスティック・メンのショウのライヴ・アルバムの予約をとっていた。配布時期や価格はどんなものなのか。1000枚限定、という張り紙がしてあった。なお、クロスはフレッテッドのヴァイオリンを用いていたという話もあるが、そんなのあるのか? レヴィンさん、どうせならスティック奏者をもっと並べて(一切、プリセット音も使わず)、スティック・カンパニーとか名乗って、もっとおバカなことをしちぇえばいいのに。なお、この晩は、深夜に運転するかもしれなく、両会場ともにソフト・ドリンクを飲んだ。飲まなくても、なんとかなりますね。
まず、ケニー・ギャレット(1999年11月12日、2001年6月14日、2003年8月19日)。こんなに、アコースティック・ジャズ志向の御仁であったのか? ぼくは、もっとフュージョンぽいと思い込んでいた。ピアノ、ウッド・ベース、ドラム、パーカッション奏者を擁するカルテット、彼はワン・ホーンにてぶいぶいと吹きまくった。本編4曲とアンコール1曲で(あったよな?)、1時間20分ほどのショウ。
サイド・マンは皆、近作に入っていた人たち。アコースティック志向といってもパーカッション奏者が入っているのはポイントで、演奏したうちの2曲はラテンぽい。他にもいろんなギャレットの興味の差し込みがあり、それが純ジャズのイメージから離れ、フュージョンぽさにに繋がるのかもしれぬ。とともに、アルト・サックスは大層上手(チャリー・パーカー、やらせたら上手そう)とうならせるが、どこか音色に陰影がなく、ぼくにとってはそこがフュージョンぽい印象と繋がるのかもしれないと思った。今のところ新作となる2013年作『プッシング・ザ・ワールド・アウェイ』(マック・アヴェニュー)に入っていた呪文のような肉声が入る(ライヴではギャレットとピアノとベースが担当)曲ではソプラノ・サックスを吹いたが、するとジョン・コルトレーンの影響下にあることが顕著に出る。へえ〜。
他の日は、「赤とんぼ」や「翼をください」といった日本の曲もやったそうだが、ぼくが見たセットはやらず。少なくても、この晩の生理的にストロングな流れのなかでは浮くはずで、それにはホっとした。
▶過去の、ケニー・ギャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/movember1999live.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
その後は、スティック・メンを見る。米国NYスタジオ/フュージョン・シーン出身ながら、ピーター・ゲイブリエル・バンドや再結成後のキング・クリムゾンに入って名を挙げたエレクトリック・ベーシストであるトニー・レヴィン(2013年6月26日)が中心となって組んだバンド。正統な音楽素養をロック側に持ち込んで多大な成功を収めた奏者とも言えるレヴィンはいつごろからか両手で指板をタッピングする多弦(要は、多音を出せる)楽器であるスティックの名手として知られるようにもなったが、バンド名はその楽器名から来ているんだろう。それは、スティック奏者2名(レヴィンと、ドイツ人のマーカス・ロイター)と、米国スタジオ界出身でレヴィンとともに現キング・クリムゾンのメンバーでもあるドラマーのパット・マステロットからなる。
レヴィンはアイヌの伝統楽器のトンコリを想起させる(ヘッド部をのぞく)形態を持つスティックを持つが、ロイターはギターのカタチ(10弦)をしたそれを弾く。ロイターがギターっぽい音、レヴィンがベースに近い音を主に出していた。技巧者だったらスティックを使わずに、普通にベースとギターで出来るのではないか、とは言うまい。そこには、楽器奏者ならではのロマンが付帯するわけであるし、ぼくスティック触ったことないし。
その3人に、1970年代前半のキング・クリムゾンのヴァイオリニストである英国人のデイヴィッド・クロスがゲストで加わるわけだが、最初ステージに出て来て音を出し始めたのはクロスとロイターの2人(この2人は一部鍵盤も弾いた)。一部の曲ではステージ横に退いたりもしたが(このときが、スティック・メンの曲だったのだろう)、クロスもバンド構成員といえる陣容で、面々はショウを行った。
その結果として、かなりキング・クリムゾン/ロバート・フリップの財産に甘えたパフォーマンスを披露。単純化して言うなら、クリムゾン絡みの曲と、一発モノとも言えなくもないリフ基調曲の2本立て。それから、マステロットが出していたと思われるが、けっこうPCのプリ・セット音を下敷きにしていた。それに合わせる、切れと重量感に満ちたドラム音は、白人版デニス・チェンバース(2008年12月7日、2013年3月12日)といった感じもアリ?
本編最後は、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(イエスが3枚組ライヴ盤のオープニングでこれみよがしに用いていた。ぼくはそれでストラヴィンスキーの存在を知り、彼はぼくが最初に買ったクラシックのレコードの作曲者となった……)。その拡大性のあるアレンジの様は、プログ・ロックの教科書と言いたくなるものなり。そして、アンコールはクリムゾンの『太陽と戦慄』の終盤2曲で、満場の年配気味のお客さんが一気に大発情! ぼくは中学生のとき一時夢中になった以外(『太陽と戦慄』から解散までの三部作は、わりと好き。『宮殿』は好きではない)、プログ・ロック離れをしてしまったので冷静に接していたが、40年も前に「太陽と戦慄 パート2」みたいな刺激的な仕掛けのある曲を作ったロバート・フリップはすごいと思わざるをえず。
▶過去の、トニー・レヴィン
http://43142.diarynote.jp/201306271617516710/
▶過去の、デニス・チェンバース
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
http://43142.diarynote.jp/201303211531189619/
<今日の、初めて>
ビルボードライブ東京の入り口横には机が出ていて、1日限りであった、この晩のスティック・メンのショウのライヴ・アルバムの予約をとっていた。配布時期や価格はどんなものなのか。1000枚限定、という張り紙がしてあった。なお、クロスはフレッテッドのヴァイオリンを用いていたという話もあるが、そんなのあるのか? レヴィンさん、どうせならスティック奏者をもっと並べて(一切、プリセット音も使わず)、スティック・カンパニーとか名乗って、もっとおバカなことをしちぇえばいいのに。なお、この晩は、深夜に運転するかもしれなく、両会場ともにソフト・ドリンクを飲んだ。飲まなくても、なんとかなりますね。
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