アラン・トゥーサン。ジェイソン・モラン(ソロ)
2015年1月21日 音楽 好ペースで来日公演をしている、ニューオーリンズR&Bの名作曲家/プロデューサー(2006年5月31日、2006年6月1日、2007年10月21日、2009年5月29日、2011年1月10日、2012年10月15日、2013年10月22日)の実演は六本木・ビルボードライブにて。ファースト・ショウ。
お、これまでより弾き語りするピアノの位置がステージ中央に寄っている? それにより、電気ベーシストはトゥーサンの背中側に位置する。ギターのレナード・ポーシェ(2007年2月2日、3日。2009年5月29日、2011年1月10日、2012年10月15日)はスキン・ヘッドだったっけ? 彼は今回も一部でリコーダー2本をくわえて伴奏音を出したりも。今回、「セイント・ジェイムズ・インファーマリー」の際、長めにソロ・パートを与えられ、その際に彼はなかなか個性的な演奏を披露した。それ、濁りながら流れると書きたくなるもの、也。
御大の銀色基調のキラキラ衣装はその白髪ともマッチして、なかなか似合う。余裕と滋味、山ほど。前回のときより、もっと元気と思えた? 基本はメロディアスな所もあるニューオーリンズR&B曲をちょいとしたうれしいアクセントや揺れを交えて披露していくのだが(今回も、超美曲「フリーダム・フォー・ザ・ステリオン」はやらなかったなー)、誘われる。いろんな曲を交錯させるピアノ・ソロ演奏パートは今回短めだったが、それもメリハリがあって、過去の同傾向パフォーマンスより良く思えたかも。それから、メンバー紹介でベーシストを紹介する際は、ドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)の「ライト・プレイス・ロング・タイム」(プロデュースはトゥーサン)のリフを引用しました。
それと、今回の彼の来日ギグの要点は、もうすぐマルディグラ・シーズンということで、ショウの終盤に光り物ほか小物をステージから客に投げ与えたこと。マルディグラ・パレード(2007年2月3日)において縁起物を見物人に投げるというのが、彼の地の流儀なんだよね。やっぱ、他愛ない所作ではあるんだけど、それにはウキウキしちゃうなあ。
▶過去の、アラン・トゥーサン
http://43142.diarynote.jp/200606071933120000/
http://43142.diarynote.jp/200606071936190000/
http://43142.diarynote.jp/200710221206190000/
http://43142.diarynote.jp/200906051614524790/
http://43142.diarynote.jp/201101111202336229/
http://43142.diarynote.jp/201210201217291727/
http://43142.diarynote.jp/201310241000242214/
▶過去の、レナード・ポーシェ
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/ JBトリビュート
http://43142.diarynote.jp/200702112125550000/ ジガブーのセッション
http://43142.diarynote.jp/200906051614524790/
http://43142.diarynote.jp/201101111202336229/
http://43142.diarynote.jp/201210201217291727/
▶過去の、ドクター・ジョン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030016390000/
http://43142.diarynote.jp/201202161725143619/
http://43142.diarynote.jp/201310050709459564/
▶過去の、マルディグラのパレード
http://43142.diarynote.jp/200702112125550000/
その後は、丸の内・コットンクラブで、昨日はバンド公演を見させてもらったジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日)のピアノ・ソロ公演。彼が冒頭MCで言ったが、今日が誕生日。40歳になったそうだ。
……度を超してすばらしかった。一体なんなの、この人。もうパフォーマンスに触れている端から笑みがこみ上げてきてしまい、とってもとっても幸せな心持ちをえた。音楽が好きで良かったとも、心底思えた。そんな、素敵なことってあるかい! モランにとっても、最良の誕生日になったのではないか。いろんな意味で、先にあったバンド公演の数倍、今日一日かぎりのソロ演奏のほうにグっときた。
1曲目は短めの(たぶん)フリー・フォーム曲。そして、次はミニマル・ミュージック的な要素を持つ曲なのだが、そのころにはわわわわって、ぼくはなっていた。とにかく、弾き方や音色が豊かで、無駄がない(押さえている鍵盤の数はそれほど多くないはず)。でもって、出音のダイナミクスの付け方がまた幅が広く、見事にコントロールされている。モランがこんなにもピアノと“友達”な御仁であったとは。おそらく、これまでぼくが見たソロ・ピアノのパフォーマンスのなかで一番いいと思えるものであったのではないか。
途中、通っていたニュー・スクール大学の先生だった自由人ジャキ・バイアードの名を出し、手巻きのオルゴール音をならし、それを継ぐようにピアノを訥々と弾く曲もあった(最後には、またオルゴール音を回して出して曲を終える)。また、自らの誕生日をこれを流して祝うと言って、グラディス・ナイト&ザ・ピップスの「ノー・ワン・クッド・ラヴ・ユー・モア」を延々と流し、途中からはそれに合わせてピアノを弾きだして、ソウル好きな私のもう一つのジャズ・ピアノ表現を紡ぐということも、彼はした。うーぬ、純度は高いのに、発想は凝り固まらずしなやかで、見せ方も多彩。素晴らしいな。ちなみに、1972年にモータウンから出された「ノー・ワン・クッド・ラヴ・ユー・モア」はそれほど知られる曲ではないと思うが、グラディス・ナイトのゴスペル仕込みの張りのある声が活きた、メロディアスなビート曲。ぼくの頭のなかのライブラリーには入っていなかったが、いい曲だなあ。
また前日のグループ公演と同様に、彼はファッツ・ウォラーのマスクを被って、彼絡みの曲を演奏したりもする。昨日よりずっと近くで見て分ったが、デカいそのマスクは特注だな。モランは昨日と同じ正装をしていたが、それはマスクに合わせるためであることが、今日ちゃんと分った。とともに、マスクを被りながら演奏すると、なんか人形が弾いているみたいであり、どーにもこーにも人間的な諧謔が湧いてきて、その様は常人の発想を超えたウォラー・トリビュートになっていると思わずにはいられず。
とかなんとか、ジェイソン・モラン、すごすぎ。そして、また切に彼のピアノに触れたいっ!
▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
<今日の、追記>
実は、モランはザ・バッド・プラス(2003年8月1~2日、2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日、2014年10月31日)のイーサン・アイバーソンと並んで、大家キラーなピアニスト。ことECMレーベルに限っても、ポール・モーシャンとの『Lost in a Dream』、チャールス・ロイドとの『Hagar’s Song』などに参加するなど、いい仕事をしている。一方のイーサンはビリー・ハートやアルバート・ヒースに可愛がられるとともに、ライノーノーツ執筆業も盛ん(ポール・モーシャン、ジャキ・バイアード、ブラッド・メルドー〜2002年3月19日、2003年2月15日、2005年2月20日、チャーリー・ヘイデン〜2001年11月20日、2005年3月16日、2009年9月10日〜など)。黒のモラン、白のアイヴァーソン、なんちって。
▶過去の、ザ・バッド・プラス/アイバーソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
http://43142.diarynote.jp/200802212249200000/
http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
http://43142.diarynote.jp/201311230757159421/
http://43142.diarynote.jp/201411101736494912/
▶過去の、ブラッド・メルドー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2003-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200502232041270000/
▶過去の、チャーリー・ヘイデン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200909120650273142/
お、これまでより弾き語りするピアノの位置がステージ中央に寄っている? それにより、電気ベーシストはトゥーサンの背中側に位置する。ギターのレナード・ポーシェ(2007年2月2日、3日。2009年5月29日、2011年1月10日、2012年10月15日)はスキン・ヘッドだったっけ? 彼は今回も一部でリコーダー2本をくわえて伴奏音を出したりも。今回、「セイント・ジェイムズ・インファーマリー」の際、長めにソロ・パートを与えられ、その際に彼はなかなか個性的な演奏を披露した。それ、濁りながら流れると書きたくなるもの、也。
御大の銀色基調のキラキラ衣装はその白髪ともマッチして、なかなか似合う。余裕と滋味、山ほど。前回のときより、もっと元気と思えた? 基本はメロディアスな所もあるニューオーリンズR&B曲をちょいとしたうれしいアクセントや揺れを交えて披露していくのだが(今回も、超美曲「フリーダム・フォー・ザ・ステリオン」はやらなかったなー)、誘われる。いろんな曲を交錯させるピアノ・ソロ演奏パートは今回短めだったが、それもメリハリがあって、過去の同傾向パフォーマンスより良く思えたかも。それから、メンバー紹介でベーシストを紹介する際は、ドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)の「ライト・プレイス・ロング・タイム」(プロデュースはトゥーサン)のリフを引用しました。
それと、今回の彼の来日ギグの要点は、もうすぐマルディグラ・シーズンということで、ショウの終盤に光り物ほか小物をステージから客に投げ与えたこと。マルディグラ・パレード(2007年2月3日)において縁起物を見物人に投げるというのが、彼の地の流儀なんだよね。やっぱ、他愛ない所作ではあるんだけど、それにはウキウキしちゃうなあ。
▶過去の、アラン・トゥーサン
http://43142.diarynote.jp/200606071933120000/
http://43142.diarynote.jp/200606071936190000/
http://43142.diarynote.jp/200710221206190000/
http://43142.diarynote.jp/200906051614524790/
http://43142.diarynote.jp/201101111202336229/
http://43142.diarynote.jp/201210201217291727/
http://43142.diarynote.jp/201310241000242214/
▶過去の、レナード・ポーシェ
http://43142.diarynote.jp/200702090041480000/ JBトリビュート
http://43142.diarynote.jp/200702112125550000/ ジガブーのセッション
http://43142.diarynote.jp/200906051614524790/
http://43142.diarynote.jp/201101111202336229/
http://43142.diarynote.jp/201210201217291727/
▶過去の、ドクター・ジョン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030016390000/
http://43142.diarynote.jp/201202161725143619/
http://43142.diarynote.jp/201310050709459564/
▶過去の、マルディグラのパレード
http://43142.diarynote.jp/200702112125550000/
その後は、丸の内・コットンクラブで、昨日はバンド公演を見させてもらったジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日)のピアノ・ソロ公演。彼が冒頭MCで言ったが、今日が誕生日。40歳になったそうだ。
……度を超してすばらしかった。一体なんなの、この人。もうパフォーマンスに触れている端から笑みがこみ上げてきてしまい、とってもとっても幸せな心持ちをえた。音楽が好きで良かったとも、心底思えた。そんな、素敵なことってあるかい! モランにとっても、最良の誕生日になったのではないか。いろんな意味で、先にあったバンド公演の数倍、今日一日かぎりのソロ演奏のほうにグっときた。
1曲目は短めの(たぶん)フリー・フォーム曲。そして、次はミニマル・ミュージック的な要素を持つ曲なのだが、そのころにはわわわわって、ぼくはなっていた。とにかく、弾き方や音色が豊かで、無駄がない(押さえている鍵盤の数はそれほど多くないはず)。でもって、出音のダイナミクスの付け方がまた幅が広く、見事にコントロールされている。モランがこんなにもピアノと“友達”な御仁であったとは。おそらく、これまでぼくが見たソロ・ピアノのパフォーマンスのなかで一番いいと思えるものであったのではないか。
途中、通っていたニュー・スクール大学の先生だった自由人ジャキ・バイアードの名を出し、手巻きのオルゴール音をならし、それを継ぐようにピアノを訥々と弾く曲もあった(最後には、またオルゴール音を回して出して曲を終える)。また、自らの誕生日をこれを流して祝うと言って、グラディス・ナイト&ザ・ピップスの「ノー・ワン・クッド・ラヴ・ユー・モア」を延々と流し、途中からはそれに合わせてピアノを弾きだして、ソウル好きな私のもう一つのジャズ・ピアノ表現を紡ぐということも、彼はした。うーぬ、純度は高いのに、発想は凝り固まらずしなやかで、見せ方も多彩。素晴らしいな。ちなみに、1972年にモータウンから出された「ノー・ワン・クッド・ラヴ・ユー・モア」はそれほど知られる曲ではないと思うが、グラディス・ナイトのゴスペル仕込みの張りのある声が活きた、メロディアスなビート曲。ぼくの頭のなかのライブラリーには入っていなかったが、いい曲だなあ。
また前日のグループ公演と同様に、彼はファッツ・ウォラーのマスクを被って、彼絡みの曲を演奏したりもする。昨日よりずっと近くで見て分ったが、デカいそのマスクは特注だな。モランは昨日と同じ正装をしていたが、それはマスクに合わせるためであることが、今日ちゃんと分った。とともに、マスクを被りながら演奏すると、なんか人形が弾いているみたいであり、どーにもこーにも人間的な諧謔が湧いてきて、その様は常人の発想を超えたウォラー・トリビュートになっていると思わずにはいられず。
とかなんとか、ジェイソン・モラン、すごすぎ。そして、また切に彼のピアノに触れたいっ!
▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
<今日の、追記>
実は、モランはザ・バッド・プラス(2003年8月1~2日、2004年5月13日、2005年8月29日、2008年2月20日、2011年3月9日、2013年11月20日、2014年10月31日)のイーサン・アイバーソンと並んで、大家キラーなピアニスト。ことECMレーベルに限っても、ポール・モーシャンとの『Lost in a Dream』、チャールス・ロイドとの『Hagar’s Song』などに参加するなど、いい仕事をしている。一方のイーサンはビリー・ハートやアルバート・ヒースに可愛がられるとともに、ライノーノーツ執筆業も盛ん(ポール・モーシャン、ジャキ・バイアード、ブラッド・メルドー〜2002年3月19日、2003年2月15日、2005年2月20日、チャーリー・ヘイデン〜2001年11月20日、2005年3月16日、2009年9月10日〜など)。黒のモラン、白のアイヴァーソン、なんちって。
▶過去の、ザ・バッド・プラス/アイバーソン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200405101355540000/
http://43142.diarynote.jp/200509011126570000/
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http://43142.diarynote.jp/201103171347055826/
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▶過去の、ブラッド・メルドー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2003-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200502232041270000/
▶過去の、チャーリー・ヘイデン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200503240453290000/
http://43142.diarynote.jp/200909120650273142/
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