Down’s Workshop

2014年10月19日 音楽
 初めての経験の、二乗、三乗……。世田谷区桜上水駅が最寄り駅である福音寮という児童養護施設の大ホールに朝10時に行き、いろんな見聞をさせてもらう。主催者はダウン症の子供を持つ親たちが立ち上げたアクセプションズというNPO法人で、親子で手作り楽器を作り一緒に演奏することを求めるもの。知人が打楽器を作るワークショップ/演奏に関わるのを受けて、まぜてもらっちゃった。

 工作するものは、カシシ(小さな竹を編んだシェイカー的な楽器。ここでは中に大豆を入れる)、スプーン二つからなる鳴り物、ストロー笛の3種。大半はカシシ作りにのぞみ、ぼくもカシシ作りをやってみたのだが、見た目も魅力的なこれは作り上げるのがなかなか難しい。最初は余裕こいて隣の女の子とコミュニケーションをはかっていたが、じきにもうマジで取り組み、無口にもなる。ふえ〜。なめていたわけではないが、途中からこんなやっかいなものに取り組んでいるのかと、少し頭がクラクラしてきた。余裕ねえヤツ、とどこかでささやく自分がおりました。

 最後はやっつけぎみがら、完全に子供たちの中に埋没して、なんとかカシシ完成。うれしい。カラフルなカシシを見て、おおいに達成感を得る。なんだかんだ、教えを請いながらやるので2時間ぐらいは完成までにかかったかな。面白いのは、みんな同様のダイレクションと材料のもと作っているのに、形も大きさも色合いも千差万別であること。やはりそこには、作り手の個性が如実に出る! そのクラフトの先生は、飛騨高山の木工職人の柳瀬正俊さん。

 昼食を挟んでの2部は、柳瀬さんとともに楽器作りを指導してくれた3人のミュージシャンが目の前で演奏し、一緒に楽器をならそうの巻。子供たちと対面したのは、ヴァイブラフォンとヴォーカルの山田あずさ(2013年5月19日、2014年6月13日、2014年6月15日、2014年7月25日)、ベースの小林真理子、ドラムの池澤龍作(2014年6月13日)の面々。3人ともちゃんと音大を出ていて、渋さ知らズとも関係を持つよう。山田と小林はATLAS、山田と滝澤はデュオのMoMoやWUJA BIN BINで重なるなど、普段からやりとりを持っているようだし、何度か一緒にこういう子供を対象とするボランティア活動をやっているみたい。

 彼女らの選曲と演奏は相手が子供であることを最大限に考慮に入れるもの。親しみやすい楽曲と興味を弾きやすい演奏のもと、彼らにカシシなどを振らせたり、一緒に歌わせたり。ディズニー映画「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」もやったが、これには子供たち大喜びで日本語詞のもと大合唱。その様にふれ、大ヒット映画であることを実感。ヴィンス・ガラルディのスヌーピー・ソング(「ライナス&ルーシー」だっけ?)もあり。山あり谷あり、それ、40分ぐらいあったかな。

 そして、見物であったのが、演奏終了後の様。それぞれの楽器に子供たちが集まって、やんやの試奏タイムと相成る。好奇心と幸せの和がわんわん広がっていく様が目に見えた? ヴァイブラフォンって、適当にやっても響きの妙でそれなりに風情あるように聞こえる楽器なのだな。これ、子供たちにとっては、夢のような時間、機会ではなかったか。そして、このことをきっかけにもっと楽器や音楽と向き合おうとする子供たちもいるだろう。普段来ることができない場所に来て、普段は接しない人たちと、普段しないことすることの貴重さを感じる。いろいろと、無形のものを得ました。

▶過去の、山田
http://43142.diarynote.jp/201305260923241736/
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/
http://43142.diarynote.jp/201406161000365031/
http://43142.diarynote.jp/201407261220126653/
▶過去の、池澤
http://43142.diarynote.jp/201406160956273046/

<今日の、驚き>
 御岳山噴火の影響はおありになるんですか? 長野県にお住まいということで、深く考えずに柳瀬さんに問うたら、実はあの日、御岳山に登っていたんです。そして、御岳山はおりをみて、ときどき登りたくなる存在であるとも、彼は言う。晴天の土曜日、釣りをしてから(フライ・フィッシィングの達人のよう)登ったとのことで、森林限界の手前でお昼をとっていたら、噴火が始まり、急にあたりが暗くなったという。その日、釣りをし、登るのがおそくなったことが幸いしたという……。

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