19時きっかりに場内は暗転し、オン・タイムでもったいぶることなく、Tシャツ&短パンの格好の当人が出てくる。新木場・スタジオコースト。その広いステージに、出演者は生ギターを抱えた彼が一人だけ。そして、この英国人はいろんな角度からエド・シーランという人間や、その音楽を、外連味なく出す。完全ソロで、本編80分。だが、アンコールは30分やって、ちょうど1時間50分の長さを、彼は一人で見せきった。
見ている途中から、ここには音楽の力や自分のストーリー(基本、彼の歌詞は言葉数が多い)を信じるまっすぐなミュージシャンがいる……ということを、痛感せずにはいられず。まだ、23歳。その音楽を介しての先にある何かを信じる様のまぶしくも、頼もしいこと。過去発表した2枚のアルバムはともに新人としては破格の成功を収め、とくに今年出た新作『X』(アサイラム。ファレル・ウィリアムスの共作/制作曲も入っている。こわいものなし、だなあ)は英米ともに1位を獲得するなどこれ以上望むべくもないセールスを記録しているのだから、そりゃ自分や音楽の力を信じるなというほうが、無理ではあるのだが。
基本は、生ギター弾き語り基調のシンガー・ソングライター。それは無理なく、確かな歌心を持つ。その様に触れながら、彼の大人気は、同じ英国のマムフォード&ザ・サンズ(2013年7月30日)のそれと繋がるものかと、思った。曲により、場内がシング・アロング状態になるのも同様。うぬ、マムフォーズ同様、シーランも来年あたまのグラミー賞を取りそう?
だが、彼の実演はそれだけでなく、半数の曲(時間的には3/5?)では、サンプリング/ループ・サウンドを用いた一人パフォーマンスを披露する。ギター音やギターのボディを叩くビート音や歌(一部ヒューマン・ビート・ヴォックスも)をその場でどんどん重ねたループ音環境のもと、彼は自分の言葉やメロディや息遣いを開放。それ、バンドを雇って披露しても問題はないだろうが、シーランは一人でやることに意義を感じているのだろう、頑にDIYを貫く。そう、すべては自分の力量や責任のもと遂行したいという気持ちも、また彼のショウにおける美点。それは、彼の強さやしなやかな好奇心を浮かび上がらせもする。
そして、そうした複合的な行き方によって明解に露になるのは、王道のフォーキー曲からR&B/ヒップホップの影響を持つものまで、曲調が何気に広いこと。さすが彼はお手軽にいろんな音楽を享受できちゃうYouTube世代であると、ぼくはおおいに頷く。彼は時にラップも噛ます。また、語り口調ヴォーカルを聞かせた曲もあったが、それもまたボブ・ディランから来たというよりはヒップホップからのヴァリエーションだろうと思わすところがある。また、ヒップホップが自然に横にある世代であることは、曲調にも表れている。実のところ彼の楽曲はリフを重ねたものが多く、意外にコードの動きに技は使わない。が、ヒップホップと親和性を持つ、そうした繰り返し基調の曲構成を持つからこそ、彼はライヴで自らループ音を無理なく作ることが出来もするのだ。なお、機材を駆使する場合、彼はかなり臨機応変に曲の尺を引っ張ったりもする。
彼が抱えた様々なものを仔細に分析すれば、新しさはあまりない。だが、それらが有機的に繋がり、個の表現として出されたものは、インパクト大であるし、今の輝きをこれでもかと放つ。やる、な。
▶過去の、マムフォーズ
http://43142.diarynote.jp/201308021400578638/
<今日の、会場>
最寄り駅の新木場駅におりると、ロータリー周辺に、屋形船乗り場まで客を運ぶバスが何台も止まっている。稼ぎ時、だよな。会場前にはダフ屋が出ていたように、スタジオコーストは満員。まあ、今年トップ級のセールスを見せている人なのだから、それも無理はない。当然のことながら、終始黄色い嬌声や愛している〜みたいな声は飛ぶ。そして、先に書いたように、参加型というか、合唱状態になる場合も度々。そういうときの働きかけも、シーランはお上手デス。ところで、彼が抱えるギターは小ぶりに見えたが、実際に小さ目のそれを使っているから? それとも、伸長が高くてそう見える?
見ている途中から、ここには音楽の力や自分のストーリー(基本、彼の歌詞は言葉数が多い)を信じるまっすぐなミュージシャンがいる……ということを、痛感せずにはいられず。まだ、23歳。その音楽を介しての先にある何かを信じる様のまぶしくも、頼もしいこと。過去発表した2枚のアルバムはともに新人としては破格の成功を収め、とくに今年出た新作『X』(アサイラム。ファレル・ウィリアムスの共作/制作曲も入っている。こわいものなし、だなあ)は英米ともに1位を獲得するなどこれ以上望むべくもないセールスを記録しているのだから、そりゃ自分や音楽の力を信じるなというほうが、無理ではあるのだが。
基本は、生ギター弾き語り基調のシンガー・ソングライター。それは無理なく、確かな歌心を持つ。その様に触れながら、彼の大人気は、同じ英国のマムフォード&ザ・サンズ(2013年7月30日)のそれと繋がるものかと、思った。曲により、場内がシング・アロング状態になるのも同様。うぬ、マムフォーズ同様、シーランも来年あたまのグラミー賞を取りそう?
だが、彼の実演はそれだけでなく、半数の曲(時間的には3/5?)では、サンプリング/ループ・サウンドを用いた一人パフォーマンスを披露する。ギター音やギターのボディを叩くビート音や歌(一部ヒューマン・ビート・ヴォックスも)をその場でどんどん重ねたループ音環境のもと、彼は自分の言葉やメロディや息遣いを開放。それ、バンドを雇って披露しても問題はないだろうが、シーランは一人でやることに意義を感じているのだろう、頑にDIYを貫く。そう、すべては自分の力量や責任のもと遂行したいという気持ちも、また彼のショウにおける美点。それは、彼の強さやしなやかな好奇心を浮かび上がらせもする。
そして、そうした複合的な行き方によって明解に露になるのは、王道のフォーキー曲からR&B/ヒップホップの影響を持つものまで、曲調が何気に広いこと。さすが彼はお手軽にいろんな音楽を享受できちゃうYouTube世代であると、ぼくはおおいに頷く。彼は時にラップも噛ます。また、語り口調ヴォーカルを聞かせた曲もあったが、それもまたボブ・ディランから来たというよりはヒップホップからのヴァリエーションだろうと思わすところがある。また、ヒップホップが自然に横にある世代であることは、曲調にも表れている。実のところ彼の楽曲はリフを重ねたものが多く、意外にコードの動きに技は使わない。が、ヒップホップと親和性を持つ、そうした繰り返し基調の曲構成を持つからこそ、彼はライヴで自らループ音を無理なく作ることが出来もするのだ。なお、機材を駆使する場合、彼はかなり臨機応変に曲の尺を引っ張ったりもする。
彼が抱えた様々なものを仔細に分析すれば、新しさはあまりない。だが、それらが有機的に繋がり、個の表現として出されたものは、インパクト大であるし、今の輝きをこれでもかと放つ。やる、な。
▶過去の、マムフォーズ
http://43142.diarynote.jp/201308021400578638/
<今日の、会場>
最寄り駅の新木場駅におりると、ロータリー周辺に、屋形船乗り場まで客を運ぶバスが何台も止まっている。稼ぎ時、だよな。会場前にはダフ屋が出ていたように、スタジオコーストは満員。まあ、今年トップ級のセールスを見せている人なのだから、それも無理はない。当然のことながら、終始黄色い嬌声や愛している〜みたいな声は飛ぶ。そして、先に書いたように、参加型というか、合唱状態になる場合も度々。そういうときの働きかけも、シーランはお上手デス。ところで、彼が抱えるギターは小ぶりに見えたが、実際に小さ目のそれを使っているから? それとも、伸長が高くてそう見える?
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