東京オリンピックが持たれた1964年に結成、近く結成50周年になるという、ジャマイカン・ミュージック史において重要な位置を占めるスカの黄金グループの実演を、南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。オリジナル・メンバーはアルト・サックスのレスター・スターリングだけなのかな。でも、若いメンバーをまとめる彼は進行役も務め、元気。いい感じだったな。

 ソロを回すアルトとテナーとトランペットとトロンボーンの4管、ドラムとベース、そしてギターとキーボードは白人。ギター奏者はドレッド・ロックスだったが、鍵盤奏者のほうは近くで見たら、ジャズ・マンと言われても納得しちゃうようなルックスだった。彼、オルガン音色のキーボードより、グランド・ピアノを弾く曲の方が多い。その際は、後打ちでコードを抑える感じ也。

 途中で、縁のシンガーらしいおばあちゃん歌手(ドリーン・シャファー)が出て来て歌う。別に上等ではないが、味あり。もっと、歌ってほしかった。そういえば、管奏者たちがときに出すガヤガヤ感がやはりいい感じで、そちらももっと出してェと思ってしまう。やっぱり、すちゃらかしてこその、スカだよな。そこから、妙なヤクザ性や洒脱の感覚もこぼれ出る。おなじみ「リンゴ追分」や「テイク5」のカヴァーもあり。スカはなんでも飲み込む、笑顔のビート表現であるということも再確認。

 その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、ナイジェリア出身のファンキーさと哀愁を合わせて出せる個性的なシンガー/ギタリストであるキザイア・ジョーンズ(1999年9月29日、2009年6月1日)を見る。今回もベースとドラムがサポートする、トリオでのパフォーマンス。過去見たときの実演もすべてそうで、彼は<最小編成でやってこそ、自分は大きく立つ>という気持ちも持っているのかな。ただし、今回は一人でやる曲も2曲。過去、弾き語りを見せたことってあったっけ? また、1曲アコースティック・ギターを横においてドラマーと掛け合いをするようにボディを叩く曲もあった。

 5年ぶりとなる新作『キャプテン・ラギッド』(ジャケット・カヴァーは2003年作『ブラック・オルフェス』との連続性を意識している)を出して間もないライヴだが、演目はこれまでの歩みを括る感じで、過去曲もいろいろとやる。まあ、彼の場合、確固とした個性の裏返しでもあるのだが、表現ヴァリエーションはそれほど広くなく、曲もまた22年のアルバム・キャリアにおいて大きな傾向の変化はないのであるが。ただし、今回のベーシストとドラマーはこれまで見たなかで、一番強力な奏者を起用していると感じる。少しコーラスもとったベーシストは英国で活動する米国人で、英国人であるドラマーはジャズが得意で〜ここでの演奏はファンキーだったんだけどね〜過去ずっと故エイミー・ワインハウスのサポートをしていた人だそう。そんな2人のガツンと来るサポート音もあり、今回そうなのかと思えたのは、ジョーンズのヴォーカルにある繊細さ。けっこうファルセットも使う人なのだな。ギター・カッティングと歌のアトラクティヴな噛み合い/相乗の様にばかり耳を奪われて、あまりそういう方を意識したことはなかった。

 彼には20年ぶりに対面取材もしたが、あまり年をとったように見受けられず、身体もひきしまっていて、とても格好いい。それはライヴを見ても一目瞭然だが、側で見ると、いい意味でのおぼっちゃん的余裕も感じさせもする。彼は3年前から、レゴスに戻っている。

▶過去の、ジョーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm 1999年9月29日
http://43142.diarynote.jp/200906071504504396/

<今日の、びっくり>
 個人ガレージ・セールで50セントにて買ったレコードのなかから、マーヴィン・ゲイの1964年10月発行のパスポートが出て来たという、驚愕の米国ニュース……。それをゲットした人はデトロイトのモータウン博物館の元関係者だそうだが、へえええという話ではあるナ。中古盤をよく求める人にとっては、どこか夢のある話でもあるか。DJユースでドーナツ盤収集に力を入れようかと思っている、このごろ……。

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