長寿(昨年で結成50年)アカペラ・コーラス・グループのちょうど1年ぶり、通算2度目となる来日公演を見る。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。彼らの輝かしいトピックについては去年の項(2012年12月26日)にしっかり書いたが、その実演は、改めて米国黒人音楽が育んで来た芸能の奥深さや素晴らしさを照らし出すものだった。やはり大きな感慨を得て、2013年締めのライヴにふさわしいとも感じました。

 アカペラのグループだから、ステージ上には歌を歌うメンバー5人だけ。だが、有機的にして巧みな重なりを見せる彼らを前にして、これ以上なにを必要とするのか。歌うことは人類の表現の原点であり、至高の行為だァ。なぞと、したり顔で言いたくなる、精気と技巧と気持ちに満ちた、無伴奏肉声表現の数々……。そして、それはブルースやゴスペルを根にいろんなヴァリエーションを生んできたアフリカン・アメリカン・ミュージックを束ねるような感覚もどこか持つ。

 そんな彼らはいろいろな曲をやったが、なかにはU2(2006年12月4日)の「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイ・ルッキング・フォー」も。それを聞きながら、U2のボーノと元ホット・ハウス・フラワーズのリアム・オ・メンリー(1999年9月23日、2000年10月3日、2001年7月28日、2009年5月20日、2011年12月6日、2011年12月7日、2011年12月10日、2011年12月12日)と元ザ・フレイムズやザ・スウェル・シーズンのグレン・ハンサード(2009年1月15日、2009年5月20日)らがクリスマス・イヴの夕方にダブリンでホームレス救済基金応援のための路上パフォーマンスに参加しているという話を思い出す。

 「終わりなき旅」という邦題も持つそのU2曲は“おいらはまだまだ行ける”、といったポジティヴな内容を持つ曲なはずだが、ザ・パースエイジョンズの面々が重厚にかさなると清新なゴスペルに聞こえるか。彼らのフランク・ザッパのレーベル“ビザール”発の1970 年デビュー作(昔、今はなきポリスター・レコードから日本盤が出されたことがあった)を聞き直したら、アイデアと本能と勢いと風情ありまくりの、ストリート感覚にもあふれたライヴ・アルバムで驚いた。それ、諸手を挙げて推奨します。

 本編最後は歌いながらメンバーたちはステージをおり、客席を握手して回る。しかし、オリジナル・メンバーの2人は結構な年齢だろうが、喉が衰えていないのがすごい。特にベースを担当するジミー・ヘインズは天晴のかぎり。ショウは75分、伴奏陣がいなく、ほぼ歌いっ放しなしで、この尺をきっちりこなすのには驚く。この後、もう1ショウがあるわけだし。しかも、彼らは歌いながらステージをおりて、楽屋に帰らずに、そのまま会場後方に用意されたサイン会用テーブルについて、客接待を始めた。あなたたち、どんだけタフなの? これもまたショービズの修羅場をいろいろとくぐって来た彼らの矜持の顕われであるのだと思う。

▶過去のザ・パースエイジョンズ
http://43142.diarynote.jp/201212271217268622/
▶過去の、ボーノ
http://43142.diarynote.jp/200612070141170000/
▶過去の、オ・メンリー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livezanmai.htm
http://43142.diarynote.jp/200905221027321644/
http://43142.diarynote.jp/201112171632304826/
http://43142.diarynote.jp/201112171633334584/
http://43142.diarynote.jp/201112191446481626/
http://43142.diarynote.jp/201112191500441741/
▶過去の、ハンサード
http://43142.diarynote.jp/200901161818098587/
http://43142.diarynote.jp/200905221027321644/

<12月の、スパム>
 師走に入って、新手のスパム・メールが海外から入ってくるようになった。デルタ・エアラインとかUSエアウェイズとかの名を語って、E.チケットをダウンロードして印刷してね、という内容のもの。来年4日のピッツバーグ行き(222.03ドル)とか、17日発のスポーケン行き(623.38ドル)とか。で、シート番号は記してあっても、便名や乗機地がわからねえ。それ、ポチると、承知できるの? たぶん、米国国内線なのだろうな。近年航空機に乗るのに腰が引くようになっちゃったぼくだが、いやあ思わず、空港に行きたくなっちゃう?
 なんかスパムとか打っていたら、ここのところけっこう肉を食べているはずなのに、久しぶりにスパムを食べたくなった。毒のカタマリみたいな気がし(それ、加工肉全般に言えるのか。つい先日も、サブウェイ〜ほぼ利用しないけど、ファストフード・チェーンのなかでは嫌いじゃない〜で用いている加工肉の一つに問題アリの添加剤が用いられているというニュースが流れる)、ずっと食べる機会を得ていないが。あれ、そういえば、近ごろ米国ではマーガリンが発売禁止になったのだっけ? 前からカリフォルニア州では禁止になっていたと記憶するが、関連企業のロビー活動も激しいだろうに、それでもかの国で御法度になったというのはよほど有害なのだろう。でも、保存食品とか油っぽいお菓子とか、ぜんぶマーガリンに類する化学アブラが使われているような気がしちゃう。安価な外食店も同様に……。
 そういえば、家のポストに、利益がどんどん下がっていると言われるマクドナルドの宅配のチラシが入っていた。7:00〜23:00の時間帯で1500円(朝マックは1000円)以上の注文を受け付け、300円の配達料を取る、と記されている。
 食の安全に関しては、人生が滅法情けないものになるので、深く考えずに食せ、と言う知人がいるが、賛同したくなるかもしれぬ。そういえば、数日前のネット・ニュース記事でシュガーレス・ガムもかなりヤバいという記事が出ていたな。オレ、間違いなく、普通の人よりガムを噛んで来ている。あひ〜。
 ありゃりゃ、2013年最後の文章なのに、明るいとは言えないこと書いているなー。明後日までに400字換算で60枚は書かなきゃいけない(本当は新年5、6日の締め切りなのだが、普通の会社員の日程で休む予定を入れてしまっているので、気合い入れまくり也)ことと関係ある? 

コメント