カニサレス

2013年12月18日 音楽
 フアン・マヌエル・カニサレスは、かつてジャズ/フュージョン方面でも多大な知名度を持ったスペイン人ギタリストのパコ・デ・ルシアのバンドに第2ギタリストとして在籍していたという。怖い顔つきが苦手なこともあり、ぼくはデ・ルシアの演奏にそれほど触れてきていないが、この晩のカニサレスの広がりある流儀や、セカンド・ギターとしてついたフアン・カルロス・ゴメスの同様に光る演奏に触れて、デ・ルシアはやはり達人であったのだろうなと、孫引き的に感じた。新宿文化センター、大ホール。

 絶妙に絡む2人のギタリストに加え、カスタネットと手拍子(パルマ)と踊り(バイレ)とのチャロ・エスピーノ(女性)、カホンと手拍子と踊りのアンヘル・ムニョス(男性)が加わる。その2人、ちゃんと踊った曲は少ないのだが、スタイルがあまり良くない男性の踊りは凄いと思わせられたな。

 そういう編成だけを取るとフラメンコの伝統に沿った実演を聞かせる感じだが、これが違っていて(オラっとかいう、フラメンコに欠かせない掛け声があまり聞こえない実演でもあった)、へえええという感じで見きってしまう。端的に書けば、洗練があり、俯瞰する視野の広さを存分に出すわけだが、秀でたギター技量を中央にばっちり置きつつ、えも言われぬグラデーションを悠々と出していく様にはほう。ショウの1部の中盤ぐらいまではクラシックの素養を存分に活かしていると感じたが、どんどん様相は広がりまくり、ある種のスペクタクル性がどんどん膨らんで行く。うぬ、これはめくるめく現代フラメンコ・ギター表現じゃ、と首をふりました。

 ステージ背後には、でかい画面で、手元などを映す映像が映される。左手にせよ、右手にせよ、カニサレスは本当に繊細にして凝った指裁きをしていて頷く。ただ、実際の出音と映像はほんの少しタイム・ラグがあって、それは残念。

 しかし、トマティート(2011年11月10日)といい、ビセンテ・アミーゴ(http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm、2013年10月17日)といい、今回のカニサレスといい、ぼくが見たことがあるフラメンコのギタリストはちょっと見、色オトコふうに決めるなー。

▶過去の、トマティート
http://43142.diarynote.jp/201111141214381161/
▶過去の、アミーゴ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://43142.diarynote.jp/201310181020496675/

<今日の、天候>
 降雪が報じられ、真冬用の厚いコートとヘヴィ・デューティな靴を履いて出かける。が、雪にはならず、雨が降るばかり。コドモなぼくはどこかで雪がチラつくのを期待したか。そういえば、スキーにはまっていたときはこの時期になると、スキー場の降雪情報にそわそわしていたよな。この晩は、新宿荒木町で飲む。吐く息が白く見えた。

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