名は体をあらわす。やー、ライヴを見ていてバンド名に、近年ではトップ級にこっくりできた担い手かも。だって、本当に“ワイルドなとこは何もない”んだもの。で、それがとっても良かった。MCをほとんどしないのも、良かった。渋谷・クラブクアトロ。

 NYブルックリンのつっぱり(いや、理想を追い求める、と言ったほうがいいか)インディ・レーベル“キャプチャード・トラックス”から2作品出している、ジャック・テイタムのソロ・プロジェクト。今年2度目の来日となるよう。歌とギターを担当する本人を、ギター、キーボード、ベース、ドラム奏者がサポートする。そのテイタム君はほんと絵に描いたような、育ち良さそうなアイビー・リーガー型の見てくれ。それも、とってもらしいナ。

 起伏の少ない日常を淡々と描いて行く(実際の歌詞はどうか知らないが)ような、今様ギター・ポップを自然体で披露。別に曲調とかそんなに好みとも思わなかったが、何気に感心して見ちゃう。それは、いい塩梅で開かれた場に適したバンド・サウンドを作っていて、それに乗る優男ヴォーカルもちゃんと聞こえたから。これは、ミュージシャンシップが高いと頷く。各プレイヤーの演奏音もそれぞれにちゃんと聞こえ、クアトロって音響がいい会場なのだナ、なんてことも思った。いい奏者がやっていると、そう感じちゃうこともあるんだよね。クール。そして、そうした正の所感は、テイタムがちゃんとやりたいことを見据え、自分の音楽を育んでいるという風情を多大に押し出す。そんな様に触れて、否定的な感情を抱くはずがないではないか。

<今日の、パトロール>
 クラブクアトロに行くために、渋谷センター街を歩いたらびっくり。もう、常規を逸してこみこみ。仮装の人だらけ。まじ、前に進めないよー。その多くは10代だろう。先週ぐらいから渋谷の夜を歩くと仮装人種を見かけてはいたが、今日は本当にハンパない。2009年10月31日の項にもそれについての記載がなされているが、ハロウィンもクリスマスやバレンタインデイと同様の風物詩になったと、これは思い込みたくなる。まあ、若者にとっては仮装して騒ぐ口実がほしい(それ、サッカーの日本代表の試合後の渋谷でのお祭りお騒ぎの回路と同じだろう)だけだろうが、楽しいだろうなー。ライヴ会場で知人に、オレが小僧だったら張り切って変な格好して、女子グループと写メ撮り合ってナンパしまくりだな、と言って笑われる。あーあ、もうそんな根性ありません。
 その後、流れたクアトロ近くのバーで、放映されていた日本シリーズを見ちゃう。先日も行った店でちらり見たが、この晩は8回ぐらいからじっくり。星野嫌いだが、楽天を応援。1970年代中期に金田正一が仙台本拠地だったロッテの監督をしていた時期に日本一になったことはあるが、その際の中日との対戦はホームの宮城球場が不備だと難癖付けられて、ロッテ主催ゲームはすべて東京の後楽園球場でやらされたと、店主から教えられる。サッカーのホーム&アウェイの概念になれちゃっているぼくにとって、そんな滅茶苦茶がまかり通っていたなんて、驚き、あきれる。ますます、野球好きじゃなくて良かったと思えた。なんて書いているが、久しぶりに見る野球はかなり面白かった。
 その後も、渋谷パトロール。夜半まで、奥のほうでも仮装の人たちは絶えない。本当にものすごい数があつまっているのだろう。アベのような首相が続くと、こういうことと表裏一体の集団行動が罰せられる国に日本はなっちゃうかもと、若い彼らにしょぼい念を送る酔っぱらいのぼく……。あーこれまたぼくも、ワイルド・ナッシング。

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