前日の追加記載から、続けて見てくださいナ。

 優男シンガー・ソングライター表現ここに極まれりといった感じも持つジェシー・ハリス(2012年7月16日、他)、ブラジル音楽とロックやジャズ他の非ブラジル音楽を交錯させた末に我が道を行く洗練や技巧が舞う表現を提出するヴィニシウス・カントゥアリア(坂本龍一のお気に入りでもありますね)、マリーザ・モンチ他の制作者としても活躍し南青山・プラッサオンゼでの2007年リーダー・ライヴ盤もうれしいダヂの3人からなるトリオ。在NYブラジル人であるカントゥアリアが間に入っているように思われる方もいるかもしれないが、ブラジルが大好きでよく行くハリスとダヂはここ2年ほど大の仲良し。その後、ハリスの家から車で20分ほど離れた所に住むカントゥアリアとも付き合いを持つようになった。ハリスはマリーザ・モンチ、マリア・ガドゥ、アレクシア・ボンテンポという3人のブラジリアン女性の快新作に関与しているが、それもダヂの紹介がモノを言っている。

 横浜・サムズアップ。わあ、3人は曲により、ごんごん楽器を持ち替える。おお、これはこれは。ハリスはギターとベースとドラム(2曲ほど)、ヴィニシウスはギターとドラム(ハリスより多く叩く)、ダヂはギターとベース。歌は曲によって、それぞれがリードを取る。ハリスとカントゥアリアは1人でギター弾き語りした曲もあり。3人の持ち曲やカエターノ・ヴェローゾの曲やジョルジ・ベンの曲なども披露。ヴィニシウスのちょっとしたギター音は耳を引く。彼の影響か、ハリスは自分の曲でこれまで見せなかったギターの押さえ方を見せたりもした。

 サム・ピック主体でときにアルペジオみたいにつま弾くダヂのベース演奏はメロディアスにして、いい味あり。流石。彼らは4月にリオで3日間だかのライヴ・パフォーマンスをやっていて、それを日本ツアーにつなげた。ツアー初日のこの晩は25曲弱を披露し、90分強の尺だったか。途中、ジェシーは曲順を間違い(でも、他の2人はすずしい顔でついてくる)、曲を終えた後に「ブラジリアン・ミステイクさ」とのたまう。しなやかさ、ミュージシャンの友情や信頼関係、ブラジル音楽要素の理屈を超えた有効性やロック的感性の大人のあり方、歌心の出し方など、いろんな“素敵”がいとも簡単に交錯し合う。鷹揚にして、しなやか。今後ギグを重ねるうちに、自在にその絡み方や楽曲も変わっていくんだろうなーとも思う。

 この来日中に3人は2日間スタジオに入って、トリオ・エストランジェイロス名義のアルバム録音をすることになっている。さあ、能ある3人のストレス・フリーなプレイグラウンド的表現はどう実を結ぶか。終盤、ハリスがノラ・ジョーンズに提供した「ドント・ノウ・ホワイ」もハリスのヴォーカルで披露。いい曲だしやりたいなと、ブラジル人側から言い出したりして。ヴィニシウスの仏ナイーヴ発2012年作には、やはりハリスやジョーンズも関与している。

<今日の、月>
 ほぼ、満月。ビルとビルの間から月が見える風景を好きなことを自覚した。

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