南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。ヴォーカルとギターのロベン・フォード(1999年8月28日、2004年4月21日、2004年10月22日、2004年12月17日、2008年8月31日、他)を、13キャッツやアル・マッケイ(2012年12月28日、他)らのサポートで来日経験があるはずのスティーヴン・バクスター(トロンボーン)、リッキー・ピーターソン(オルガン、2012年3月3日)、普段はカントリー畑で弾いているらしいブライアン・アレン(全曲ウッド・べース)、まだ幼さをどこか残したアフリカ系のトニー・ムーア(ドラム)という面々がサポートする。

 2013年新作『ブリンギング・イット・ホーム・バック』(プロヴォウグ)は解説盤ということを除いてもかなりの傑作であり、完全にその指針に則ってのライヴをフォードは見せる。同作、ニューオーリンズR&B曲やブルース曲を素材にトロンボーンを1本入れた5人編成の固定バンドで事にあたっていたが、トロンボーン音とオルガン音を絡ませるというグルーヴィな行き方を、フォードはどこから得たのか。いや、まったくの卓見と、この晩も思ってしまった。なお、フォードとバクスターは同じだが、レコードのほうの他の参加者は、ラリー・ゴールディングス(オルガン。2012年11月12日)とデイヴィッド・ピルチ(ベース。2010年4月2日、4月4日)とハーヴィ・メイソン(ドラム。2010年7月9日、他)。ながら、ピーターソン(少し痩せたかな?)をはじめ代役陣に不足はまったくなかった。

 アーシーかつグルーヴも抱えた曲を彼なりの洗練や広がりを加味し、披露する。そんな課題をかなり上質に行った実演。いいバンド・サウンドを得て、フォードの歌やギター演奏も過去触れたなかで一番いい感じに聞こえた。新作に入っていた唯一オリジナルの「オー・ヴァージニア」はスロウ佳曲。我が道に悔い無し、といった悟りみたいなのがあって、スロウ曲嫌いのぼくなのになかなかグっと来た。それからアラン・トゥーサン(2012年10月15日、他)の「フェア・チャイルド」カヴァーはちょいザ・バンドのアップ曲を意識したような感じがあって、その際のリッキー・Pのオルガン・ソロはガース・ハドソンみたいだった。にっ。ともあれ、今まで見たフォードのなかで、一番共感できたライヴ・パフォーマンスであったのは疑いがない。

 ところで、ブルーノート東京はちょい改装された。少し、落ち着いた雰囲気になったような。それと、PAなども入れ替えたようで、音がよくなったかな。

<今日の、トロンボーン>
 という項目を、かつてこのブログで、作ったことがあった。2003年8月6日とか、2003年8月29日とか。佐藤さんはトロンボーンが似合いますよ、という言葉とともに、トロンボーンをいただいたことから、一時吹いたときがあったのだ。ここ2年半ずっと続いている<今日の、〜>シリーズはそれがあったからこそ、始めたのかもしれない。ってのはともかく、ああああ。そのトロンボーンはずっとトランク・ルームに置いたまま。スティーヴン・バクスターの姿/演奏に触れながら、少し焦燥感のようなものを覚えたワタシでした。

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