激わくわくって、熱心なファンだらけだったんだろうな。まあ一介のロック・バンドとして接して来ているぼくは、平常心で見に行ったけど。昨年の渾身(?)の旧作リマスター盤リリースだけでなく、抜群のタイミングで22年ぶりの新作『mbv』が発表されたばかり。それにしても、追加も含めて、都内のスタンディングの音楽会場ではトップの大箱と言える新木場・スタジオコーストで3日間の公演というのはすごいな。おそらく、複数日行くゾと張り切る人も少なくないと思うが。ちなみに、再結成後の2008年のフジ・ロックに続いての来日となる。

 シューゲイザーというロック用語も用いられる、アイルランドで結成された4人組。刺やノイズの感覚を孕む、なんかスタンスは大胆さも感じさせる、想像力をくすぐる轟音ギター・ロック表現の雄。かつて英国でやった公演でメイカーとのタイアップで耳栓を配ったというニュースが流れたことがあったが、日本公演でも入り口で耳栓を配る。ハハハ。でも、それが必要なほど音は大きくはなかった。前にもたぶん書いたことがあるけど、ぼくが接した一番音が大きなロック公演は、1980年代後期のジョージア・サテライツ@新宿厚生年金会館。あれは次の日も耳が完全に死んでいた。

 平板な(でも、強靭さはそれなりに持つかな)リズムのもと、いろんな情緒を孕むエフェクター経由のギター音が悠然に、ときに険悪に乗る。入る歌は歌っていることは分るがサウンドに埋もれ、メロディ・ラインは分らない。笑える。だが、それが彼らの流儀と思わせちゃう。新作からも1曲やったが、2回途中で辞めて、やり直す。最後の曲では、20分弱、ガガガガガと同一コード/テンポによるバンド一丸の畳み掛け演奏を延々続ける。わー、見事な芸。そのままスパっと終わればクールと思ったが、また短い歌パートに戻って曲を無難に終え、ショウも終了。変なもあもあ感に、ぼくは笑いっぱなし。そして、ファンは悶絶している様子がありあり。
 
 そのリーダー、ギターと歌のケヴィン・シールズは一時プライマル・スクリーム(2000年2月11 日、2002年11月16日、2005年7月31日、2009年1月28日、2011年8月12日)に加わっていたが、それとともに、かつて見たカナダのダンス・カンパニーの実演(1999年12月5日参照)に楽曲を提供していたことなんかをすうっと思い出してしまったのは、どこかにアートぽい局面を抱えていたからだろうか。

<今後の、豪州>
 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインはこの後、豪州であるオール・トゥモローズ・パーティに出たりもするよう。今、オーストラリは夏だよなあ。夏と秋の変わり目に開かれるバイロン・ベイのブルース・フェスティヴァル(2007年4月5日、2007年4月6日。今年は3月28日から4月1日に開かれる)は、相変わらず豪華。うち、ウィルコ、ジミー・クリフ、シュギー・オーティス、アレン・ストーン、ルーファス・ウェインライトなどは、その前後に日本でも公演をやる。が、同フェスには他にも、ポール・サイモン、ロバート・プラント、ボニー・レイット、ベン・ハーパー、イギー&ザ・ストゥージーズ、マヌー・チャオ、スティーヴ・ミラー、カウンティグ・クロウズ、クリス・アイザック、タージ・マハール、ザ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ、ベティ・ラヴェット、ジョーン・アーマトレイディングなど、いろいろ出演。うーむ、もう少し日本によってもいいのではないかなー。

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