ウィル・リー

2012年11月26日 音楽
 NYのスタジオ界でずっと活動している、1950年生まれベーシスト/シンガー(2012年8月11日、他)のリーダー・グループの公演。公式出演者名義はウィル・リーズ・ファミリーとなっていて、サイド・マンは朋友スティーヴ・ガッド(ドラム。2010年12月1日、他))や同じシーンに属するヴェテランのチャック・ローブ(ギター)、そしてキーボードのオリー・ロックバーガー(彼との共作曲もやったりとか、リーは彼の手腕を相当買っていそう)や何でも屋さんのジュリオ・カルマッシ(サックス、トランペット、鍵盤、ギター、打楽器)という面々。丸の内・コントンクラブ、ファースト・ショウ。

 どの曲もウィル・リーのヴォーカルをフィーチャー。彼はベン・シドランのレーベルから出した歌ものの初リーダー作『オー!』(1993年)以来の 自己作を来年夏発売予定で準備していて、その景気付けライヴという側面も今回はある? あれれ、山ほど来日しているリーだが、リーダー公演としては今回が初になるの?

 いいグルーヴを持つサウンドに趣味の良い歌声やソロが乗る。いいサウンド、総体としてもいい感じだ。冒頭の2曲はけっこうセカンド・ラインぽいアクセントを採用する曲だった。中盤、ヨーロッパ楽旅中に事故ったマーカス・ミラー(2010年9月3日、他)に捧げるとのコメントも。ニュースによれば、スイスの高速道路でツアー車が横転し運転手が死亡、ミラーたちも病院に運ばれたとのこと。ミュージシャンたちはドラマーのルイス・ケイト以外は軽傷だった模様だ。

 また後半には、彼や故ハイラム・ブロック(2003年6月12日、他)や、米国フュージョン界出身者でもっともセレブとなった男であるスティーヴ・ジョーダン(ドラム。2010年10月26日、他)らで1970年代後期に組んでいた24丁目バンド(“ビッグ・イン・ジャパン”だったので、リー自身もそう日本語名でいつも言う)の曲もやる。その際は、かつてのハイラム・ブロックのライヴと同様に、リーとブロック役を勤めるローブは客席を駆け回る。その様に接し、在りし日のハイラム・ブロックを思い出し、しんみりしてしまった人もいるだろう。ただし、完全オヤジのローブは似合わないことやっている感じはアリアリ。無理あるなと思ったら、翌日のショウで高い台に乗るときコケて打撲を負ってしまったようだ。いやあ、その場に居合わせなくて良かった。

 アンコールはブルースをやよると言って、ボブ・ディランの「ウォッチ・ザ・リヴァー・フロウ」を披露。2009年8月19日の項でチラリ触れているように、ぼくはリーの1993年作をかなり評価している。次のアルバムもきっと音楽愛が満ちた、好盤になることと思う。


<今日の、ガッド>
 この晩はガッドの大ファンと一緒に見ていたのだが、彼があんなにうれしそうに叩く姿は珍しい、だそう。確かに、リーとの信頼関係もたっぷり感じたな。ここのところ、大昔のように来日回数の増えている彼だが(今年は3度目?)、他のときって、そんなに仏頂面して叩いてるの? 

コメント