映画「モンサントの不自然な食べもの」。ロバート・グラスパー・エキスペリメント
2012年6月12日 音楽 15時半から、映画「モンサントの不自然な食べもの」の試写を渋谷・アップリンク・ファクトリーで見る。ずっと米国ミズーリー州に本社を置くモンサント社のあまりにも極悪非道な商業活動(それは、米国の暗部をも直裁に照らす)を真正面から告発せんとする、2008年フランス/カナダ/ドイツ映画だ。
そうなのかー。日本の電力会社もびっくりの人の道を外れた金儲けを延々続け、しかも同社はそれを南米や中国やインドなど今世界規模で行っているのだから開いた口が塞がらない。1901年設立で今は各国に現地法人を置く多国籍企業であるモンサントはもともととPCBとかヴェトナム戦争で使われた枯葉剤なんかを作っていた化学薬品の会社で、今は大豆やトウモロコシなどの遺伝子組み換えの種(それは特許が認められるゆえ、毎年種をうえるごとにお金が入ってくる。さらには、遺伝子組み換えの乳牛なども生み出している)とそれに合う除草剤など、バイオ化学の分野にすすみ巨大な富を得ている。遺伝組み替え食物の組織は自然のものと比すとエラーが出ているにもかかわらず、同じと嘘をつき、お金の力で為政者側を手なづけ……。いやはや、危ない話のテンコ盛り。
感心したのは、作品構成。フランス人女性監督(ジャーナリストでもある、マリー・モニク・ロバン)が調べるインターネットの検索サイト画面とともに、映画は進行する。今や多くの人は何か分からないことがあるとすぐにPC検索に向かうわけで、それはコンテンポラリーなスピード感/筋の運びにつながる(とはいえ、題材がヘヴィなので軽快には見ることはできないが)し、自分で物事を調べていくような気持ちになる人もいるだろう。そして、PC情報の吟味から一歩前に出て、ロバンは様々な文献や映像にあたり、さらにはいろんな国の関連する人たちに取材を試み、それらをつないで大きな問題提起に結んでいる。
目から鱗、ぼろぼろぼろ。TPPに加入すると、それらモンサントのあぶない食べ物が容易に流通してしまう(一応、日本モンサント株式会社というのがあるようだ)……。9月1日からアップリンクほかで公開。とともに、TPP加入反対の運動とつながる形での上映もなされるようだ。隣に座っている年配の方は暗い中、熱心にメモをとっていたな。
その後、六本木・ビルボードライブ東京で、現代ブラック・ポップとジャズを行きする鍵盤奏者のロバート・グラスパー(2010年12月16日、他)のレギュラー・カルテットを見る。セカンド・ショウ。ケイシー・ベンジャミン(ヴォコーダー・ヴォーカル、効果音、アルト・サックス)、デリック・ホッジ(電気ベース)のおなじみの2人に、今回のドラマーはマーク・コレンバーグ。
グラスパーの新作『ブラック・レディオ』はいろんなシンガーを擁する、ジャズも知っている私の現代ブラック・ポップと言うべき仕上がりになっていたが、もちろん4人でことにあたる実演は基本、毎度のロバート・グラスパー・エキスペリメントのパフォーマンス。ハービー・ハンコックのヘッドハンターズの「バタフライ」のカヴァーなどともに、同作に収められていたニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」もやったが。この曲、ケイリスやザ・バッド・プラスも取り上げているな。
それにしても。ケイシー・ベンジャミンがフィーチャーされる時間はより長くなっていて、彼らのことを知らない人が見たら、グラスパーではなく、ショルダー・キーボードをさげヴォーコーダーを駆使するベンジャミンがリーダーだと思うのではないか。エフェクターをかけたアルト・サックスのソロを吹いた1曲以外、彼はすべてほにゃほにゃした機械経由肉声をたっぷりトリオ演奏に投げ出していた。グラスパーは少なくてもぼくが見た最後のときよりは鍵盤(ピアノ、電気ピアノ、シンセサイザー)を弾く生理的度数はあがった。だが、初来日時のようにジャズ流儀でごんごん弾く(彼が一番コピーしたジャズ・ピアニストはなぜかチック・コリア)というよりはかなりおさえた感じでリフ+αを重ね、そこから微妙な変化や発展の尻尾をみつけ、緩やかに動いて行こうとする感覚が強い。少なくてもこのプロジェクトにおいて、彼のピアノやキーボードのソロに対する考え方は大きく変わっていると思わざるを得ない。次回来たときには、取材を申し込んでみよう。
先に触れたように、今回のドラマーは過去同行していた名手クリス・デイヴではない。ディアンジェロの復活ツアーに彼を取られてしまったので、いたしかたないだろう。なんでも、コンビを組むベーシストはフォーリィ(2011年1月23日、他)という話もある。うあー、すげえ。さすがはディアンジェロ。で、新任のコレンバーグだが、パっと触れたぶんにはさすがデイヴと比べるのは少しかわいそうかも。彼はテリオン・ガリー(2010年3月23日、他)やジーン・レイク(2009年3月18日、他)らのようにスネアを二つ並べ、さらに電気パッド(それで、ハンド・クラップを出したりしていた)も置いていた。エリン・ボーディ公演(2009年3月26日)のとき、彼は同行しているのではという人もいましたが。演奏時間はアンコールなしで1時間40分強。過去のグラスパー公演のなかで一番長かった。
<今日の、渋谷>
この日は雨で、外にいると肌寒い。映画とライヴのあいだに、サッカーのワールドカップのアジア最終予選の対豪州のアウェー戦を馴染みの店で見る。ブラジルW杯の予選をちゃんとTVで見るのは初めてだァ。渋谷は夕方になると、青い衣服を来た人が散見されるようになり、TV放映をしているお店の客引きが出たりもし、スポーツ・バーのところには列ができていた。テレ朝の中継、やっぱサッカー観/知識においても日本語能力においても人間性においても問題あるとしか思えない松木の解説うぜえっ。大嫌い。でも、一緒に見ていた他の人はそれを喜んでいた。彼がクビにならない理由が分かったような。この前のヨルダン戦で6-0で勝ったときは予選にも関わらず、試合終了後の渋谷駅前スクランブル交差点は、南アのW杯の日本勝利のとき同様にすごい騒ぎだったらしい。その模様、10年後には当然の風景であるのか。それとも、あんなこともあったねーとなるのか。
そうなのかー。日本の電力会社もびっくりの人の道を外れた金儲けを延々続け、しかも同社はそれを南米や中国やインドなど今世界規模で行っているのだから開いた口が塞がらない。1901年設立で今は各国に現地法人を置く多国籍企業であるモンサントはもともととPCBとかヴェトナム戦争で使われた枯葉剤なんかを作っていた化学薬品の会社で、今は大豆やトウモロコシなどの遺伝子組み換えの種(それは特許が認められるゆえ、毎年種をうえるごとにお金が入ってくる。さらには、遺伝子組み換えの乳牛なども生み出している)とそれに合う除草剤など、バイオ化学の分野にすすみ巨大な富を得ている。遺伝組み替え食物の組織は自然のものと比すとエラーが出ているにもかかわらず、同じと嘘をつき、お金の力で為政者側を手なづけ……。いやはや、危ない話のテンコ盛り。
感心したのは、作品構成。フランス人女性監督(ジャーナリストでもある、マリー・モニク・ロバン)が調べるインターネットの検索サイト画面とともに、映画は進行する。今や多くの人は何か分からないことがあるとすぐにPC検索に向かうわけで、それはコンテンポラリーなスピード感/筋の運びにつながる(とはいえ、題材がヘヴィなので軽快には見ることはできないが)し、自分で物事を調べていくような気持ちになる人もいるだろう。そして、PC情報の吟味から一歩前に出て、ロバンは様々な文献や映像にあたり、さらにはいろんな国の関連する人たちに取材を試み、それらをつないで大きな問題提起に結んでいる。
目から鱗、ぼろぼろぼろ。TPPに加入すると、それらモンサントのあぶない食べ物が容易に流通してしまう(一応、日本モンサント株式会社というのがあるようだ)……。9月1日からアップリンクほかで公開。とともに、TPP加入反対の運動とつながる形での上映もなされるようだ。隣に座っている年配の方は暗い中、熱心にメモをとっていたな。
その後、六本木・ビルボードライブ東京で、現代ブラック・ポップとジャズを行きする鍵盤奏者のロバート・グラスパー(2010年12月16日、他)のレギュラー・カルテットを見る。セカンド・ショウ。ケイシー・ベンジャミン(ヴォコーダー・ヴォーカル、効果音、アルト・サックス)、デリック・ホッジ(電気ベース)のおなじみの2人に、今回のドラマーはマーク・コレンバーグ。
グラスパーの新作『ブラック・レディオ』はいろんなシンガーを擁する、ジャズも知っている私の現代ブラック・ポップと言うべき仕上がりになっていたが、もちろん4人でことにあたる実演は基本、毎度のロバート・グラスパー・エキスペリメントのパフォーマンス。ハービー・ハンコックのヘッドハンターズの「バタフライ」のカヴァーなどともに、同作に収められていたニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」もやったが。この曲、ケイリスやザ・バッド・プラスも取り上げているな。
それにしても。ケイシー・ベンジャミンがフィーチャーされる時間はより長くなっていて、彼らのことを知らない人が見たら、グラスパーではなく、ショルダー・キーボードをさげヴォーコーダーを駆使するベンジャミンがリーダーだと思うのではないか。エフェクターをかけたアルト・サックスのソロを吹いた1曲以外、彼はすべてほにゃほにゃした機械経由肉声をたっぷりトリオ演奏に投げ出していた。グラスパーは少なくてもぼくが見た最後のときよりは鍵盤(ピアノ、電気ピアノ、シンセサイザー)を弾く生理的度数はあがった。だが、初来日時のようにジャズ流儀でごんごん弾く(彼が一番コピーしたジャズ・ピアニストはなぜかチック・コリア)というよりはかなりおさえた感じでリフ+αを重ね、そこから微妙な変化や発展の尻尾をみつけ、緩やかに動いて行こうとする感覚が強い。少なくてもこのプロジェクトにおいて、彼のピアノやキーボードのソロに対する考え方は大きく変わっていると思わざるを得ない。次回来たときには、取材を申し込んでみよう。
先に触れたように、今回のドラマーは過去同行していた名手クリス・デイヴではない。ディアンジェロの復活ツアーに彼を取られてしまったので、いたしかたないだろう。なんでも、コンビを組むベーシストはフォーリィ(2011年1月23日、他)という話もある。うあー、すげえ。さすがはディアンジェロ。で、新任のコレンバーグだが、パっと触れたぶんにはさすがデイヴと比べるのは少しかわいそうかも。彼はテリオン・ガリー(2010年3月23日、他)やジーン・レイク(2009年3月18日、他)らのようにスネアを二つ並べ、さらに電気パッド(それで、ハンド・クラップを出したりしていた)も置いていた。エリン・ボーディ公演(2009年3月26日)のとき、彼は同行しているのではという人もいましたが。演奏時間はアンコールなしで1時間40分強。過去のグラスパー公演のなかで一番長かった。
<今日の、渋谷>
この日は雨で、外にいると肌寒い。映画とライヴのあいだに、サッカーのワールドカップのアジア最終予選の対豪州のアウェー戦を馴染みの店で見る。ブラジルW杯の予選をちゃんとTVで見るのは初めてだァ。渋谷は夕方になると、青い衣服を来た人が散見されるようになり、TV放映をしているお店の客引きが出たりもし、スポーツ・バーのところには列ができていた。テレ朝の中継、やっぱサッカー観/知識においても日本語能力においても人間性においても問題あるとしか思えない松木の解説うぜえっ。大嫌い。でも、一緒に見ていた他の人はそれを喜んでいた。彼がクビにならない理由が分かったような。この前のヨルダン戦で6-0で勝ったときは予選にも関わらず、試合終了後の渋谷駅前スクランブル交差点は、南アのW杯の日本勝利のとき同様にすごい騒ぎだったらしい。その模様、10年後には当然の風景であるのか。それとも、あんなこともあったねーとなるのか。
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