ジャズランド・レーベルを主宰しつつ現代エレクトロ・ジャズの代表牽引者として鋭意活動しているノルウェー人ピアニスト/キーボード奏者(2010年1月24日、他)を中心とするいろんな国籍の奏者たちが重なるセッション。その内訳を見ると、ちょっと生を見るまで内容が???と言う感じ。でも、それもジャズ/インプロ系のライヴでは大アリなわけで。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 フランス人トランペッターのエリック・トラファズ(2001年10 月26日)、トルコのルーツで今はNYで活動するイルハン・エルシャヒン(テナー・サックス)、米国広角型ハウス表現の人気DJであるホアキン・ジョー・クララウゼル(ビーツ、打楽器)、ノルウェー人ドラマーのアンドレアス・ビー(ドラム)といった人たちに加え、京都をベースとするSOFT(2000年7月30日)の右近雅人(エレクトリック縦ベース)とMasaharu Uehara(パーカッション)もそこに加わる。また、本編最後の曲とアンコール曲の2曲では、ベッセルトフトとアルバム作りや共演ライヴをやっているakiko(2010年1月24日、他)も歌や語りでステージに立った。

 生演奏と電気的音/効果の拮抗を柱とする、肩のこらないお手合わせ。電気マイルス的というか、『イン・ア・サイレント・ウェイ』っぽい曲もあったな。まあ、それなりに構成のある曲をやったが、もう少しぶっちゃけてて、混沌としていてもいいとぼくは思ったが、よく抑制が取られていたとも言える? 全部で1時間ちょいの演奏というのは、それを表しているか。なんでも、彼は“ブッゲン・フレンズ”と名乗りこの多国籍ユニット(日本勢は未参加)で夏に欧州を回るそうで、表現をよりつきつめていきたい気持ちを持っている。もしかして、商品化もされるか。

 次は、丸の内・コットンクラブ。出演者はイタリアの洒脱シンガー・ソングライターのジョー・バルビエリで、初来日。ピアノ・トリオ(普段はジャズをやっているのかな?)とチェロ奏者の4人がバッキング。皆、同様にイタリア人か。彼、多分にボサノヴァ的柔和さを巧みに介したりもする人だが、チェロ奏者とウッド・ベース奏者を重ねるという行き方はカエターノ・ヴェローゾ(2005年5月23日)のライヴ編成と同じだな。

 パフォーマンスが始まって、なぜかすぐに思ったのが、なんとなくフランス的というか、シャンソン系の味がほのかにするな。さらっとしているようで、不可思議なベタつきを、ぼくは感じたからか。そしたら、彼は途中で2曲だかフランス語曲を歌った。

 とにかく、丁寧かつ繊細に、綾が交錯し合うようなギター弾き語りが中央にあるアダルト表現が送られる。中盤にはチェロ奏者とのデュオで、新作の日本盤ボーナス・トラックにも入っていた、いずみたく作曲の「見上げてごらん夜空の星を」をじっくり日本語で歌う。とっても、真面目さ、誠実さが出ていた一コマ。それに限らず、いい人なんだろうなというのは、ショウの随所からにじみでていた。神経質そうで、ゲイぽい感じも受けたが、はたして実際は?

<今日の、移動中>
 ライヴ会場間の移動に乗った地下鉄車両が、地震のためトンネル内で止まる。車中では、もちろん揺れは分からない。地震で乗っていた車両が止まるなんて、初めての経験かなあ。まあ、オレそんなに電車に乗るほうじゃないしな。そのため、ベッセルトフトたちの演奏時間が長かったら焦っちゃうところだが、上に書いたようにそうではなかったので、悠然と待つ。その最中、ドアの上にある車内モニターには、次の駅名の上に進入禁止マークのような赤い印が表示された。なんか、生々しい? 地震による点検のため運転を見合わせます、という、車中案内は日本語でのみなされた。まあ、それはいたしかたないだろうが、外国人だと不安を持つだろうなと思う。結局、止まっていたのは5分ぐらいだった。

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