わあ、これは素敵な出し物。

 米国ジャズ界を代表する1977年ニューヨーク州生まれのジャズ歌手(2010年3月1日)と、米国の数々のジャズ・マンから作曲家として好評価を受けまくる1945年リオ生まれブラジル人洗練シンガー・ソングライター(2002年5月1日、2009年3月17日、2010年3月9日)の共演ショウ。あっても不思議ではないプログラムではあるものの、これは興味深い。

 驚かされたのは、バンドもジェーン・モンハイトのピアノ・トリオだし、半分ほどすぎてから、ゲスト登場といった感じでイヴァン・リンスが登場するのかと思ったら、なんとモンハイト+トリオでスタンダード「オールド・デヴィル・ムーン」1曲をやったと思ったら、すぐにリンスはステージに登場、以下はずっと一緒にやる。その様は、まさに“がっつり”てな感じで、ほおおお。

 以下は基本、リンス曲やブラジル曲をひも解く、ブラジリアン基調路線をいく。2人が交互に歌い、決めの部分は一緒にハモるみたいな王道のデュエット曲の行き方を見せるものが主で、おおいに心弾む。巧みに、重なっていたなー。リンスの歌唱力はモンハイトが横にいるときつく感じるんじゃないかと思ったがそれは杞憂、歌自体の実力差はそりゃあるだろうが、センスと経験でリンスは見事にそのギャップをものともしていなかった。なかには、リンスだけが歌い、モンハイトは横でずっと身体を揺すっているという曲も。あははは、モンハイトをダンサー扱い。でも、それでもモンハイトはうれしそう、かつて彼女はリンスにレコーディング参加を請うているが、本当に彼のファンなんだな。師匠のやることに私はついいていきますっ、という風情でてました。そんな共演で、いつもは正統派の香り高い彼女ながら、今回はお茶目でカジュアルな側面が出てもいた。

 てな感じで、大雑把に言えばモンハイト+彼女のピアノ・トリオがリンスのブラジリアン・ジャジー・ポップ路線にすうっと寄り添う、となるか。実は、ブラジル人のバンドより、米国人ジャズ・マンと重なったほうが、洗練派リンスの味はいいと、今回ぼくは思ってしまった。リンスもずっと電気キーボードを弾いていて、二つの鍵盤音が不用意にぶつからないかと思ったが、ピアニストのマイケル・ケイナンは饒舌にならずに巧みにそれを回避。レニー・トリスターノ研究に一言持つ人物のようだが、彼は何気に実力者だ。
 
 とかなんとか、聞き所、いろいろ。最終日ゆえ、よりまとまっていたのかもしれないが、これはうれしくも、おいしい組み合わせだよなあと思わずにはいられなかった。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

<今日の、高架線路>
 ライヴをみたあと、NYから戻ってきている知人と飲むことになり、ついでに何人かを呼ぶ。場所は、渋谷駅近くの、東急東横線と渋谷川に挟まれた所にある店。なんとついに、もうすぐ東横線は代官山をすぎると地下にもぐり副都心線と直結となるそう。ええ、もう少し先かと思っていた。わー。オレの感覚より、世間のスピードのほうが早くなってる? 横に走る東横線車両が見えることがこの店の魅力の一つになっていたのだが、電車が走らなくなるとだいぶ雰囲気が変わりそう。でもって、ここらあたりの再開発も大促進されるか。蛇足だが、ブルーノート東京の前の道と六本木通りがついにつながり(延々、工事中となっていた)、タクシーで渋谷駅周辺にいくのが便利(安価)になった。あ、逆もそうか……。
●追記。やっぱり上の情報は誤りで、東横線と副都心線が地下駅で連結するのはもう少し先のようだ。。。。

コメント