まずは丸の内・コットンクラブ、JBズ出身のテナー・サックス奏者(2005年9月24日、2007年9月13日)のリーダー公演を見る。彼はジャズ気味路線とファンク気味路線の両刀でずっと活動をしており、その2011年作『Tenortion』(SPV)は2枚組で双方の路線をそれぞれ1枚づつまとめている。

 彼をサポートするバンドは、トランペット、キーボード、ギター、ベース、ドラムという布陣。いい案配の外見のもとなんともうまい演奏をさしだすギタリストはレイ・オビエド(2007年9月6日)。ウィンダム・ヒル他にリーダー作を残し、70年代後期にハービー・ハンコック(2012年3月2、3日、他)のグループに入っていたこともある彼は米国西海岸ベイ・エリアの名ギタリストだが、ファンキーなのもジャジーなのもいける他の奏者たちもそこらあたりを拠点としているよう。トランペット奏者のゲイリー・ウィンターズはブーツィ・コリンズの近年のリーダー作に名前が見られたりもする。

 そんな面々が送り出すのは、曲によってはファンク濃度も高かったりする、各人のソロをまわす悠々演奏。余裕たっぷりのエリスはやはり、不思議な存在感をやんわりだす。関係ないが、彼の奥さんは白人だ。また、3曲ほど、フレッド・ロスというおでこの広いブレイズ頭のシンガーが出てきて歌う。MCでエリスがアルバムを出していると言っていたので調べたら、最低でも2枚はだしているよう。90年の『Dignity』(Strokeland)ではかつてレディシーなどもお世話になったオークランド在住のトニー・ブラクストンがベースを弾いていたりもするので、やはりイースト・ベイ地区に居住しているのではないか。少し高めの声を出す彼、つきぬける個性とかはないものの、ソウル有名曲「ユーズ・ミー」を歌ったときはけっこうゾクゾク来たなあ。他のヴォーカル曲はJBズのナンバーくずしで、軽く受け手を高揚させる。もう1曲ぐらいフィーチャーされても良かったかも。

 そして、六本木に移動、ビルボードライブ東京で、80年代の都会系ソウルを担ったセルフ・コンテインド・ブループ(2006年4月25日、2008年4月15日)を見る。オリジナル・メンバーのルイス兄弟(キーボード、ヴァーカル)を核に8人編成、もちろんきっちり噛み合う。顔ぶれは、前回と同じなのかな。

 なんにせよ、自分たちの立ち位置をわきまえまくって、エンターテインメント性をたっぷり持つ、プロのショウを展開。ぼくは全盛期のころはあまり彼らを聞いてはいなかったものの、やはりあのときはァとか、就職したころのことを思い出したりもしちゃう? とりあえず、3年半しかしなかったけど、けっこういい会社員だったと思う。→自画自賛、ぼくの悪いクセですね。紅一点シンガーのマリー・ピアスは細い足首が奇麗。アンコールはメロディアスな代表曲「オールウェイズ」、いい曲だな。客は例によって熱い反応、外国生活を持つ知人はそれに触れて、なんかNYのクラブみたいと感激していた。


<今日の、花びら>
 家から駅に向かう川沿いの道に桜があって、散ってきた桜を浴びる道すがら、という感じもあり、ほのかな幸福を感じる。家のバルコニーにも花びらが入るようになった。今週はフィンランド人、フランス在住日本人、米国人の3者にインタヴューすることになっているが、それぞれ、桜のことを話のマクラに出しそう????

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