長く日本ジャズ界の第一人者であり続けているギタリスト(2010年11 月20日、他)のブルーノート東京公演は新作『トリコロール』で雇っていた在NYのリズム・セクションを呼んでのもの。5弦電気ベースを弾くヤネク・グウィズダーラ(うれしそうに弾く人だな)とアフリカ系ドラム奏者のオベド・カルヴェール。統合的なサウンド作りの才も持つグウィズダーラはリーダー作も持ち、一方のカルヴェールはリチャード・ボナ(2011年1月25日、他)やデイヴ・リーブマンやR&B歌手のジョー他のアルバムで叩いている。けっこうガチっと叩く彼のドラミングに接して、ロックに主活動分野を移せば、けっこう売れっ子になるかなとも思う。

 複雑な自作系曲をやるなか、途中でリー・モーガンの「ザ・サイドワインダー」の変則編曲(MCによれば、メンバーのアイデアらしい)によるカヴァーを披露。なかなか新鮮で、味よし。で、それは耳なじみの著名メロディを取り上げたからであると確信するとともに、饒舌を通して越境しようとする彼の演奏の美点は覚えづらいオリジナル系楽曲ではなく、優しい著名メロディ曲を題材にするほうが、よりアピールされると思った。たとえば、ビル・フリゼール(2011年1月30日、他)がバート・バカラック曲やザ・ビートルズ曲を弾いて自らの飛躍を鮮やかに聞き手に伝えるように。フリゼールはどんどんスペースを作り出していくようなギター演奏をしていくのに対し、渡辺はスペース(常人にはなかなか見つけられないスペースも彼は見つける)を徹底的にギター音で埋めていくタイプの人であるなあとも、ぼくは思った。

 アンコールは彼がツアー・メンバーを勤めたこともあったYMOの「ライディーン」を陰鬱傾向に開き直して披露。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。

 そして、六本木・ビルボードライブ東京に移って、イーグルス(2011年3月5日)にいたギタリストのドン・フェルダーのショウを見る。本家は東京ドームで複数回公演ができるわけで、入りは上々。もともとジョー・ウォルシュと仲良しだった感じがあって、昔あまり興味の持てないイーグルスのなかでは一番親近感を持てた人ではあったが、熱心なファンのなかにもイーグルスは彼のギターがあってこそと思う人はいるらしい。

 「ホテル・カリフォルニア」ではじまり、「テイク・イット・イージー」で終わる。女性の抗しがたい魅力を題材にした「ウィッチー・ウーマン」をやる際には、女難のタイガー・ウッズに捧げるとのMCあり。ネタが古いナ。イーグルスにまつわるお金のことを問いただしたら→バンド首脳のドン・ヘンリーやグレン・フライから解雇を言い渡され→裁判に持ち込みわりと勝った感じになり→“株式会社イーグルス”の暴露本を出して話題を呼んだりも、という流れを今世紀の彼は持つよう(すべて熱心なファンからのまた聞き)だが、27年間在籍したという(ショウが始まる際の英語口上による)イーグルスの曲をけっこうやった。ま、ソロ・アルバムは1983年に1枚出しただけだしな。

 ギターを弾きながら歌う当人に加え、ギター、キーボード、ベース、ドラム奏者。みんなLA産のアルバムに名を出しているミュージシャンたちで、特にキーボード奏者のティモシー・ドゥルーリーはイーグルス作やドン・ヘンリー作に関与していたりする。おもしろいのは、ギターの二人にはそれぞれ使用人がついていて、彼らのかいがいしいサポートにより曲ごとにギターをかえていたこと。2人はそれぞれ1曲づつスライド・ギターを弾いたりもした。

 ベーシストが1曲とった以外はすべて、フェルダーがリード・ヴォーカルをとる。もともとシンガーではないのでそれほど上手ではない。だが、無理のない老後を悠々過ごしているという感じのためか(?)イヤな感じはない。短髪の彼の外見は、ビリー・アイドルがじさんになったと言いたくなるか。それから、コーラス・パートはみんな歌って、厚く立派だった。

<今日の、スポーツ>
 早朝、起こされる夢で目がさめる。ちっ。そしたら、ちょうど大リーグのオープン戦のテキサス対ミルウォーキーの試合をスポーツ・チャンネルでやっていて、野球に興味がないのに見てしまう。先発がダルヴィッシュ。初めて、彼の投げる姿を見る。なるほどイケ面で足も長いが、意外とがっちりした体つきなんだな。アオキというミルウォーキーの選手が大活躍。やはり、日本人選手が活躍するのは何気にうれしい。そういえば、90年代に、ぼくは米国で野茂が先発する試合を2回見たことがある。オレ、そのころはまだ野球に興味を持っていたのかな。まあ、今も渡米中にプロ・スポーツを見る機会があったら、野球にかぎらず、喜んで見ると思うが。それにしても、投手が1球投げるたびに止まる(ランナーがいる場合、厳密には止まらないけど)野球は本当に異色のスポーツだと思う。根気や集中力のないぼくには向きではあるのかと思いつつ。
 そして、14時からは、国立霞ヶ関陸上競技場でサッカーの試合を見る。スポーツ観戦日和、あと5度ほど気温が高かったら最高だな。アジアのNo.1クラブ・チームを決めるACL(AFCチャンピンズ・リーグ)のグループ・リーグの国際試合でFC東京対蔚山現代。わーマリノスから移籍した渡邉が先発なのがうれしい←なにげにマリノス・ファンだね。2-2、最後においつかれて、少しどよーん。ポポヴィッチ監督、おもしろい試合を期待します。

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