グレッチェン・パーラト
2012年2月22日 音楽 NYの進行形ジャズ・マンから評価の高い女性歌手だが、なるほどこういうタイプのシンガーであったのか。大げさに言えば、前人未到の地を行かんとしている、ところも持つ。途中から見た前回来日ショウ(2009年2月3日)のとき、なかなか像を結ばなかったのは当然でもあるとも、了解した。
改めて認知できたことは、声量がない。声質じたいにはあまり特徴というか、分かりやすい輝きのようなものがない。……わざと、表情を殺している? まっとうな歌手でこんなに腹から声を出さず、喉から上で歌声を操る人には初めて接したかもしれない。とはいっても、音程は正確だし、歌がへたなわけでは断じてない。崩しや流れの取り方も、こなれてちゃんとしている。エスペラサ・スポルディング(2011年2月17日、他)のメジャー移籍後の3作品にバックグラウンド・ヴォーカリストとして入っている(新作『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』はまだ発売前だが、そこにもちゃんと参加)のもいろんな意味で納得ですね。
というわけで、歌声だけで聞き手を魅了する部分は少ないと、ぼくは判断。だから、喉力で勝負しないぶん、選曲や伴奏、全体の佇まいには、彼女は当然のことながら気を使う。そこが、パーラトの要点であり、現代ジャズ・シンガーたらしめる部分であり、他の担い手とは大きく一線をかくすところ。そんな彼女は、ある種モードが入ったと言いたくなる髪型や格好を、ステージで見せもする。
その新作『ロスト・アンド・ファウンド』はロバート・グラスパー(2010年12月16日、他)のプロデュース。話は飛ぶが、彼の新作『ブラック・レディオ』は、ビラル(2001年8月18日)、モス・デフ(2001年7月27日)、レイラ・ハサウェイ(2012年1月5日、他)やミシェル・ンデゲオチェロ(2009年5月15日、他)らがそれぞれ肉声担当者として1曲づつ参加したブツ。ジャズの感覚がどこかで活きた、かなり秀逸な現代ブラック・ポップ作だ。彼が関与したフランス人ジャズ歌手のライカの08年ビリー・ホリデイ・トリビュート作『Misery』も良かったし(そして、ライカの次作『ネブラ』はンデゲオチェロがプロデュースしている)、ヴォーカリスト扱いがグラスパーはなにげに好きで得意だな。で、話は戻るが、その『ロスト・アンド・ファウンド』に参加していたピアノのテイラー・アイグスティン(2009年6月24日)、ジェラルド・クレイトン(2011年10月6日)のアルバムに参加しているドラマーのジャスティン・ブラウン、アイグスティ・バンドのウッド・ベーシストのハリシュ・ラガヴァンの3人が今回はサポート、彼らはみんな20代だろう。
こんな曲を取り上げ、こう処理するか。シンプリー・レッド(1999年7月31日)、ウェイン・ショーター(2004年2月9日、他)、ハービー・ハンコック(2005年8月21日、他)らの曲を、ヴォーカルの力に頼らない私のやり方で、毅然と、ながら淡々と開く。大サンバ歌手であるパウリーニョ・ダ・ヴィオラの曲も披露。それ、彼女は小さな鳴り物を手にして歌い始め、他のメンバーもそれぞれの楽器のボディを叩いて打楽器音出すことだけで伴奏する。センスや美意識で徹底的に勝負、それは視点とある種の批評も持つものだ。なるほど、いろんな持って行き方があるものです。
<今日の、いい話>
欧州に住む知人とのメールのやりとりで、以下のような文面が。<(あちらで2010 年ににスティーヴィ・ワンダーを見たときは)ほとんど全曲お客さんの大合唱で、ワンダーさんの声を唯一聞いたのは「Sing it!」と客を乗せるときだったな(笑)。でも、なぜか、最高のライブだった>。ふふふ、そうかそうか、そうだろう。あー、来週が楽しみ。。。
改めて認知できたことは、声量がない。声質じたいにはあまり特徴というか、分かりやすい輝きのようなものがない。……わざと、表情を殺している? まっとうな歌手でこんなに腹から声を出さず、喉から上で歌声を操る人には初めて接したかもしれない。とはいっても、音程は正確だし、歌がへたなわけでは断じてない。崩しや流れの取り方も、こなれてちゃんとしている。エスペラサ・スポルディング(2011年2月17日、他)のメジャー移籍後の3作品にバックグラウンド・ヴォーカリストとして入っている(新作『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』はまだ発売前だが、そこにもちゃんと参加)のもいろんな意味で納得ですね。
というわけで、歌声だけで聞き手を魅了する部分は少ないと、ぼくは判断。だから、喉力で勝負しないぶん、選曲や伴奏、全体の佇まいには、彼女は当然のことながら気を使う。そこが、パーラトの要点であり、現代ジャズ・シンガーたらしめる部分であり、他の担い手とは大きく一線をかくすところ。そんな彼女は、ある種モードが入ったと言いたくなる髪型や格好を、ステージで見せもする。
その新作『ロスト・アンド・ファウンド』はロバート・グラスパー(2010年12月16日、他)のプロデュース。話は飛ぶが、彼の新作『ブラック・レディオ』は、ビラル(2001年8月18日)、モス・デフ(2001年7月27日)、レイラ・ハサウェイ(2012年1月5日、他)やミシェル・ンデゲオチェロ(2009年5月15日、他)らがそれぞれ肉声担当者として1曲づつ参加したブツ。ジャズの感覚がどこかで活きた、かなり秀逸な現代ブラック・ポップ作だ。彼が関与したフランス人ジャズ歌手のライカの08年ビリー・ホリデイ・トリビュート作『Misery』も良かったし(そして、ライカの次作『ネブラ』はンデゲオチェロがプロデュースしている)、ヴォーカリスト扱いがグラスパーはなにげに好きで得意だな。で、話は戻るが、その『ロスト・アンド・ファウンド』に参加していたピアノのテイラー・アイグスティン(2009年6月24日)、ジェラルド・クレイトン(2011年10月6日)のアルバムに参加しているドラマーのジャスティン・ブラウン、アイグスティ・バンドのウッド・ベーシストのハリシュ・ラガヴァンの3人が今回はサポート、彼らはみんな20代だろう。
こんな曲を取り上げ、こう処理するか。シンプリー・レッド(1999年7月31日)、ウェイン・ショーター(2004年2月9日、他)、ハービー・ハンコック(2005年8月21日、他)らの曲を、ヴォーカルの力に頼らない私のやり方で、毅然と、ながら淡々と開く。大サンバ歌手であるパウリーニョ・ダ・ヴィオラの曲も披露。それ、彼女は小さな鳴り物を手にして歌い始め、他のメンバーもそれぞれの楽器のボディを叩いて打楽器音出すことだけで伴奏する。センスや美意識で徹底的に勝負、それは視点とある種の批評も持つものだ。なるほど、いろんな持って行き方があるものです。
<今日の、いい話>
欧州に住む知人とのメールのやりとりで、以下のような文面が。<(あちらで2010 年ににスティーヴィ・ワンダーを見たときは)ほとんど全曲お客さんの大合唱で、ワンダーさんの声を唯一聞いたのは「Sing it!」と客を乗せるときだったな(笑)。でも、なぜか、最高のライブだった>。ふふふ、そうかそうか、そうだろう。あー、来週が楽しみ。。。
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