マヌ・カチェ。ジェフ・テイン・ワッツ
2012年1月13日 音楽 ドラマーがリーダーとなる公演をハシゴする。
まずは(80年代半ばいこう)熟練系ロック表現のファースト・コールのドラマーとなり、2006年以降はユーロ重鎮ジャズ・レーベルのECMからドラマー&作曲家としてリーダー作を出している1958年生まれのフランス人ドラマーのカルテットを見る。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。
アルフィオ・オリリオ(ピアノ)、トーレ・ブルンボルグ(リード)、ローラン・ヴェルヌレー(電気ベース、4弦でフレット付き)という顔ぶれは昨年のカチェ公演(2011年1月28日)と同じよう。オリリオとヴェルヌレーはフランス人で、日本でも多少のファンを持つジャズ・ピアニストのオリリオの2006年リーダー作にはヴェルヌレーが参加している。そのヴェルヌレーはなんでも対応できる仏音楽界の売れっ子セッション奏者で、アシャ(2011年10月10日、他)の最新作でも弾いている。そして、もう一人のブリュンボルグはノルウェイ人でECM関連者とよく絡んだり、ブッゲ・ベッセルトフト(2010年1月24日、他)とも仲良し。昨年(2011年9月3日)はトルド・グスタフセン・アンサンブルでも来日している。
ちょいとした事で人の良さをびんびん感じさせるカチェは最初に中央に出てきてMCをし、客にフィンガー・スナップを促す。そして、その音に合わせて演奏が開始された今回公演は、けっこう1年の来日公演とは異なる印象を与えたと書きたくなる。まず、曲がよりコンパクトにまとまっていると思えたが、実際曲数も多く、1曲5分強ぐらいの曲が多かったのではないか。で、より明快さや具象性を持つ、もう一つのジャズという感想を聞き手にもっと与えるものになっていたと思う。電気ベースの採用も、こういう指針なら分からなくもない。ながら、フュージョンという感じを(少なくてもぼくは)受けないのは、奏者たちの純度の高さゆえではなかったか。
あと、印象が異なったのは、音の聞こえ方による部分も小さくないか。やはり、ブルーノート東京は音がいいと思う。カチェのドラム音なんて、各音がくっきり立体的に聞こえて、やはり前回受けた所感とはけっこう異なったもの。音楽の流れを大切にしつつしなやかかつヴァイタルに音を鳴らせるな彼の美点をばっちり了解。音がいいと言えば、テナーとソプラノ・サックスを吹いたブリュンボルグもいい楽器音を出していた。ながら、一部は足下のエフェクターを用いてリード音を自ら加工したりもしていたな。オリリオも電気ピアノを併用した。
この晩の演奏がアルバム化されたとして、ジャズ入門アルバム30選を挙げる機会があったとしたら、それを挙げてもいいかもしれない。
続いては、有楽町・コットンクラブ。働き世代の米国ジャズ・ドラマー最たる人物であるジェフ・ワッツ(こちらは、1960年生まれ)のリーダー・バンドの出演。ワッツにプラスして、マーカス・ストリックランド(リード)、デイヴィッド・キコウスキ(ピアノ、電気ピアノ。昨年はロイ・ヘインズ公演;11月29日で来ていた)、ジェイムズ・ジナス(ベース)という布陣。それ、ワッツの昨年リーダー作『Family』に基づくもの(アルバムではスティーヴ・ウィルソンが吹いていた)だ。またワッツの2007年(12月18日)公演のカルテットの顔ぶれからベース奏者が変わった(クリスチャン・マクブライド→ジナス)とも言える。ま、なんにせよ、勝手知ったる“鉄板”の陣容ですね。
オールスター編成だったワッツの前回のリーダー公演(2010年10月21日)は多分にセッション的色彩が強かったゆえ、それもあって、とっても整備された阿吽の呼吸に満ち満ちた演奏を受けたとたっぷり思えた。緩急自在に曲中のテンポやムードが変わるあたりはこのクインテットの面目躍如。まったくもって、確かな、覇気あるジャズをやっている。総体としては、ジョン・コルトレーンのしっぽをなでつつ、深刻にならずに陽性に突っ走るパワー・ジャズという感じか。やっぱ、ワッツのドラミングは音がでかく、鼓舞力に満ちる。
で、そんな冴えたドラミングが支える演奏を聞きながら、ジャズの変遷〜進歩って、まずはドラミング奏法の広がり〜発展で語られるべきではないか、なんて思えてきたりもしたような。
<今日の、気候>
天気は晴れゆえ日中室内にいる場合はそれなりの温室状態でそんなに寒さは感じないのだが、日暮れとともにさあーと気温が下がるような感じになり、外出するとかなり寒い。マジ冬だァとヘコむ。昨日が一番、夜の寒さを感じたかな。が、今日はライヴにでかけるため外に出たら、そんなに寒さを覚えない。風があまりないせいもある? それだけで、すこし幸せというか、円満なキブンを得ます。
まずは(80年代半ばいこう)熟練系ロック表現のファースト・コールのドラマーとなり、2006年以降はユーロ重鎮ジャズ・レーベルのECMからドラマー&作曲家としてリーダー作を出している1958年生まれのフランス人ドラマーのカルテットを見る。南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。
アルフィオ・オリリオ(ピアノ)、トーレ・ブルンボルグ(リード)、ローラン・ヴェルヌレー(電気ベース、4弦でフレット付き)という顔ぶれは昨年のカチェ公演(2011年1月28日)と同じよう。オリリオとヴェルヌレーはフランス人で、日本でも多少のファンを持つジャズ・ピアニストのオリリオの2006年リーダー作にはヴェルヌレーが参加している。そのヴェルヌレーはなんでも対応できる仏音楽界の売れっ子セッション奏者で、アシャ(2011年10月10日、他)の最新作でも弾いている。そして、もう一人のブリュンボルグはノルウェイ人でECM関連者とよく絡んだり、ブッゲ・ベッセルトフト(2010年1月24日、他)とも仲良し。昨年(2011年9月3日)はトルド・グスタフセン・アンサンブルでも来日している。
ちょいとした事で人の良さをびんびん感じさせるカチェは最初に中央に出てきてMCをし、客にフィンガー・スナップを促す。そして、その音に合わせて演奏が開始された今回公演は、けっこう1年の来日公演とは異なる印象を与えたと書きたくなる。まず、曲がよりコンパクトにまとまっていると思えたが、実際曲数も多く、1曲5分強ぐらいの曲が多かったのではないか。で、より明快さや具象性を持つ、もう一つのジャズという感想を聞き手にもっと与えるものになっていたと思う。電気ベースの採用も、こういう指針なら分からなくもない。ながら、フュージョンという感じを(少なくてもぼくは)受けないのは、奏者たちの純度の高さゆえではなかったか。
あと、印象が異なったのは、音の聞こえ方による部分も小さくないか。やはり、ブルーノート東京は音がいいと思う。カチェのドラム音なんて、各音がくっきり立体的に聞こえて、やはり前回受けた所感とはけっこう異なったもの。音楽の流れを大切にしつつしなやかかつヴァイタルに音を鳴らせるな彼の美点をばっちり了解。音がいいと言えば、テナーとソプラノ・サックスを吹いたブリュンボルグもいい楽器音を出していた。ながら、一部は足下のエフェクターを用いてリード音を自ら加工したりもしていたな。オリリオも電気ピアノを併用した。
この晩の演奏がアルバム化されたとして、ジャズ入門アルバム30選を挙げる機会があったとしたら、それを挙げてもいいかもしれない。
続いては、有楽町・コットンクラブ。働き世代の米国ジャズ・ドラマー最たる人物であるジェフ・ワッツ(こちらは、1960年生まれ)のリーダー・バンドの出演。ワッツにプラスして、マーカス・ストリックランド(リード)、デイヴィッド・キコウスキ(ピアノ、電気ピアノ。昨年はロイ・ヘインズ公演;11月29日で来ていた)、ジェイムズ・ジナス(ベース)という布陣。それ、ワッツの昨年リーダー作『Family』に基づくもの(アルバムではスティーヴ・ウィルソンが吹いていた)だ。またワッツの2007年(12月18日)公演のカルテットの顔ぶれからベース奏者が変わった(クリスチャン・マクブライド→ジナス)とも言える。ま、なんにせよ、勝手知ったる“鉄板”の陣容ですね。
オールスター編成だったワッツの前回のリーダー公演(2010年10月21日)は多分にセッション的色彩が強かったゆえ、それもあって、とっても整備された阿吽の呼吸に満ち満ちた演奏を受けたとたっぷり思えた。緩急自在に曲中のテンポやムードが変わるあたりはこのクインテットの面目躍如。まったくもって、確かな、覇気あるジャズをやっている。総体としては、ジョン・コルトレーンのしっぽをなでつつ、深刻にならずに陽性に突っ走るパワー・ジャズという感じか。やっぱ、ワッツのドラミングは音がでかく、鼓舞力に満ちる。
で、そんな冴えたドラミングが支える演奏を聞きながら、ジャズの変遷〜進歩って、まずはドラミング奏法の広がり〜発展で語られるべきではないか、なんて思えてきたりもしたような。
<今日の、気候>
天気は晴れゆえ日中室内にいる場合はそれなりの温室状態でそんなに寒さは感じないのだが、日暮れとともにさあーと気温が下がるような感じになり、外出するとかなり寒い。マジ冬だァとヘコむ。昨日が一番、夜の寒さを感じたかな。が、今日はライヴにでかけるため外に出たら、そんなに寒さを覚えない。風があまりないせいもある? それだけで、すこし幸せというか、円満なキブンを得ます。
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