ティム・ロビンス。ニック・ロウ
2011年8月10日 音楽 南青山・ブルーノートで、映画俳優/監督のティム・ロビンスを見る。ステージ左右にはミュージシャンだった父親と母親の写真をそれぞれ飾る。父親は「ミラクル」という61年全米1位曲も持つフォーク・グループのザ・ハイウェイメンのベース奏者だが、そんな環境もあり、ロビンスは小さい頃からいろんな音楽に浸り、楽器にも触れていた。
そんな彼だけに映画音楽にタッチすることもあったが、今年初リーダー作を抱えてライヴ・ツアーを大々的に敢行。日本にもやってきた。その『ティム・ロビンス・アンド・ザ・ロウグス・ギャラリー・バンド』は制作がハル・ウィルナーであることも納得の、渋さとクールさが溶け合う好“アメリカーナ”作品だ。
ステージ上にはギターを弾いて歌うロビンスを、ギター、ミュージカル・ソウ(音楽的効果音を出すノコギリ)、キーボード/アコーディオン、ヴァイオリン、ウッド・ベース、ドラム奏者がサポート。彼らは和気あいあいで、渋い手作りサウンドを送る。うぬ、なかなかに、いいバンド。スリムなギタリストのデイヴィッド・ロビンスはリーダー作も出している兄で弟よりハンサムで若く見える。若いヴァイオリン奏者のデイヴィッド・アルペイはカナダ人俳優だがサージ・タンキアン(システム・オブ・ア・ダウン)の表現にも関与しているのだそう。ミュージカル・ソウを担当するデイヴィッド・コールターはザ・ポーグズ(2005年7月29日)にいたこともある英国人で、キーボードのロジャー・イーノはあのブライアン・イーノの弟。というわけで、渋いアメリカン・サウンドを出してはいるものの、英国人2人とカナダ人がバンドにいるのは面白い。後でロビンス本人にそれを指摘しつつ、でもザ・バンドも5人中4人がカナダ人でしたよねえと続けると、うれしそうな笑顔を返してきた。
ロビンスの歌は訥々。過剰に上手いわけではないが、ちゃんと味があって、不足はない。そして、総じては、ちょっとしたストーリーを持つアメリカ風景の古い写真を何葉も見せられるような気分になったりも。アルバムより実演のほうがもっといいというのは、ちゃんとアルバムを聞いた人の大方の感想であったようだ。
アンコールは、鍵盤だけをバックに、堂々と「スキヤキ(上を向いてあるこうの、英語版)」を歌う。おお、俳優の面目躍如。そして、最後は全員で声を重ねた曲を披露し、いい余韻を残してショウを終えた。
その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、パブ・ロック流れで出てきた英国人シンガー・ソングライターのニック・ロウ(2009年11月5日)のショウを見る。その道の愛好者で、けっこう場内は埋まっている。
最初は、ギターの弾き語り。ありゃ、こんなにロカビリーぽいといういか、レトロな感じの曲調をやる人だっけかと思う。それはバンド(その道の名手たちのよう)がついてからも同様。まあ、近年の彼のアルバム、ちゃんとチェック入れてないからな。が、品格と矜持と滋味アリ。ぼくはもう少し弾けた部分、R&Rっぽい部分があってほしくはあったが。でも、今はもっとワビサビを持つことをやりたいということなんだろう。
<明後日のロビンスさん>
金曜夕方に、ロビンスには取材。余裕の方ね。与えられた時間は長くはなかったが、答えが当を得ているので、聞きたいことは大方きけた。アナログ・マニアで、大学生だかの息子と仲良く一緒に家で聞くんだとか。
両親はUCLAのマーチング・バンドで知り合ったそう。彼はNYグリニッジ・ヴィレッジ育ちだそうだが、60年代後半のグリニッジ・ヴィレッジは変な人が沢山集まってきていて、大層刺激的だったとか。今回の初アルバム・リリースについては、旧知のハル・ウィルナーにデモ・テープを渡したところから発展、彼の尽力がなかったら、アルバムは成就しなかったと思っているとのこと。子供のころからミュージシャンをはじめいろんなものになりたかったが、それらをまとめてできそうなのが役者だったので、その道を志した、と彼は言う。ただし、なりたかったカウボーイの役だけはまだやってないなあ、と微笑む。彼はニューオーリンズを舞台にしたTV番組「トレメ シーズン2」の監督をしている。同地の音楽が大好きなのかと思えば、そんなにニューオーリンズ・ミュージックには思い入れを持っている感じではなかった。
そんな彼だけに映画音楽にタッチすることもあったが、今年初リーダー作を抱えてライヴ・ツアーを大々的に敢行。日本にもやってきた。その『ティム・ロビンス・アンド・ザ・ロウグス・ギャラリー・バンド』は制作がハル・ウィルナーであることも納得の、渋さとクールさが溶け合う好“アメリカーナ”作品だ。
ステージ上にはギターを弾いて歌うロビンスを、ギター、ミュージカル・ソウ(音楽的効果音を出すノコギリ)、キーボード/アコーディオン、ヴァイオリン、ウッド・ベース、ドラム奏者がサポート。彼らは和気あいあいで、渋い手作りサウンドを送る。うぬ、なかなかに、いいバンド。スリムなギタリストのデイヴィッド・ロビンスはリーダー作も出している兄で弟よりハンサムで若く見える。若いヴァイオリン奏者のデイヴィッド・アルペイはカナダ人俳優だがサージ・タンキアン(システム・オブ・ア・ダウン)の表現にも関与しているのだそう。ミュージカル・ソウを担当するデイヴィッド・コールターはザ・ポーグズ(2005年7月29日)にいたこともある英国人で、キーボードのロジャー・イーノはあのブライアン・イーノの弟。というわけで、渋いアメリカン・サウンドを出してはいるものの、英国人2人とカナダ人がバンドにいるのは面白い。後でロビンス本人にそれを指摘しつつ、でもザ・バンドも5人中4人がカナダ人でしたよねえと続けると、うれしそうな笑顔を返してきた。
ロビンスの歌は訥々。過剰に上手いわけではないが、ちゃんと味があって、不足はない。そして、総じては、ちょっとしたストーリーを持つアメリカ風景の古い写真を何葉も見せられるような気分になったりも。アルバムより実演のほうがもっといいというのは、ちゃんとアルバムを聞いた人の大方の感想であったようだ。
アンコールは、鍵盤だけをバックに、堂々と「スキヤキ(上を向いてあるこうの、英語版)」を歌う。おお、俳優の面目躍如。そして、最後は全員で声を重ねた曲を披露し、いい余韻を残してショウを終えた。
その後は、六本木・ビルボードライブ東京で、パブ・ロック流れで出てきた英国人シンガー・ソングライターのニック・ロウ(2009年11月5日)のショウを見る。その道の愛好者で、けっこう場内は埋まっている。
最初は、ギターの弾き語り。ありゃ、こんなにロカビリーぽいといういか、レトロな感じの曲調をやる人だっけかと思う。それはバンド(その道の名手たちのよう)がついてからも同様。まあ、近年の彼のアルバム、ちゃんとチェック入れてないからな。が、品格と矜持と滋味アリ。ぼくはもう少し弾けた部分、R&Rっぽい部分があってほしくはあったが。でも、今はもっとワビサビを持つことをやりたいということなんだろう。
<明後日のロビンスさん>
金曜夕方に、ロビンスには取材。余裕の方ね。与えられた時間は長くはなかったが、答えが当を得ているので、聞きたいことは大方きけた。アナログ・マニアで、大学生だかの息子と仲良く一緒に家で聞くんだとか。
両親はUCLAのマーチング・バンドで知り合ったそう。彼はNYグリニッジ・ヴィレッジ育ちだそうだが、60年代後半のグリニッジ・ヴィレッジは変な人が沢山集まってきていて、大層刺激的だったとか。今回の初アルバム・リリースについては、旧知のハル・ウィルナーにデモ・テープを渡したところから発展、彼の尽力がなかったら、アルバムは成就しなかったと思っているとのこと。子供のころからミュージシャンをはじめいろんなものになりたかったが、それらをまとめてできそうなのが役者だったので、その道を志した、と彼は言う。ただし、なりたかったカウボーイの役だけはまだやってないなあ、と微笑む。彼はニューオーリンズを舞台にしたTV番組「トレメ シーズン2」の監督をしている。同地の音楽が大好きなのかと思えば、そんなにニューオーリンズ・ミュージックには思い入れを持っている感じではなかった。
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