電気リケンベ(親指ピアノ)と立ったなビートが売りの中央アフリカのコンゴ民主共和国のミュージシャンと、西側の今様ロックの担い手たちが、同じ土俵で重なり合おうとするライヴ・プロジェクトがコンゴトロニクスvsロッカーズだ。渋谷・クラブクアトロ。満員というのは驚かないが、これだけ客層がちっている公演も珍しいのではないか。それは、この出し物が抱える幅広さを照らし出すものでもありますね。

 コンゴ勢はコノノNo.1(2006年8月26日、27日)とカサイ・オールスターズ(2007年10月25日)、欧州進出している2バンドの選抜群。そして、この晩のロック側はアルゼンチンの清新自作自演派のファナ・モリーナ(2003年7月29日、他)とNY冒険派のスケルトンズ/マット・メラン(ギター)、さらには当初予定には入っていなかったディアフーフ(2009年2月1日、他)のギタリストやベルギーのクラムド・ディスクを仕切るヴェインセント・ケネス(ベース、元アクサク・マブール)もステージに上がる。多いときで、ステージには14人のミュージシャンがいた。

 基本、コンゴ共和国勢のマナー/出来る事にロック勢が寄り、いろいろ“+α”を与える。そして、その結託は何かと賑やかで広がりを持つ、祝福されたビート・ミュージックとなり、見る者をごんごん鼓舞する。基本は1コードの反復表現、ながら、その総体はなんとも太い歓びの感覚やユニティの感覚、ひいては生の人間の輝きなんかを存分に聞き手に与えるのだから、そりゃ有頂天になれる。コンゴ勢の手振りや踊りも、とてもアトラクティヴだった。


<今日のモリーナ>
 このプロジェクトは欧州各地のフェスを回ってきた末に日本にやってきたが、ファナ・モリーナは大使館の人に、30日のフジ・ロックでのパフォーマンスがこれまでやったなかで1番良かったワと、開演前に言っていたそう。フジのステージを見た人、良かったですね。モリーナは非アフリカ勢としては唯一ステージ前方に立ち、歌ったり、シンバルを叩いたり、ギターを弾いたり、コンゴ勢と踊ったりと大車輪。澄んだミュージシャンシップ全開! 終演後も入り口のところで、親身にファンの相手をしていた。


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