今回のコステロ公演はソロによるパフォーマンス。会場は、渋谷・文化村オーチャードホール。こういうクラシック音楽用途の会場でのロック・アクト公演はほのかにスペシャル感が増す? ステージ上には8本ぐらいギターが立ててあったかな。ほんの一部の曲ではプリセット音を流す場合もあった。

 いつだって、どこだって、何をやってもオイラはオイラ。自己バンドのジ・インポスターズとやろうと(2002年7月5日、2004年9月19日、2004年12月8日)、アラン・トゥーサン(2007年10 月21日、2009年5月29日、2011年1月11日)とやろうと(2006年5月31日、2006年6月2日)、フル・オーケストラとやろうと(2006年6月2日)、フェスでやろうと(2004年9月19日、2009年9月8日。フェスだと通常の単独公演以上にコステロは青筋立てて気張る、という印象をぼくは持つ)、もうコステロたる濃い無形のものが横溢しちゃう様は彼でしかないよなー。2時間近く、でっかい声で歌い、ギターを鳴らし(けっこう、うまくなったなと思えた。エフェクターを駆使する場合もあり)、オイラを仁王立ちさせる。

 子供のように嬉々として、自分を開く。独演会、という言葉がぴったり合うか。こういうのを見させたら、じっくり対峙しようとする日本人は本当に向きではなのではないか。そして、曲が終わると、割れんばかりの歓声。熱心な聞き手がちゃんとついてるなー。「悲しみをぶっとばせ」や「シーズ・ア・ウーマン」、ザ・ビートルズ曲を自作曲にくっつけて披露したりも。「スマイル」と「シー」のメドレーはサーヴィス? あと、仕草とか、そのお茶目さが手に取るように全開になっていたのも、今回のポイントではなかったか。

<今年のフジ・ロック>
 終演後、知人たちと流れた先で、出演者の第一弾を発表する会場で配られたチラシを元に、フジ・ロックの話で少しもりあがる。イケてる人が少なくないんじゃなーい、と。通受けルーツィ&フォーキィ・バンドのジ・アヴェット・ブラザーズ、ウィルコ(2003年2月9日、2010年4月23日)、ケイク(2006年3月16日)といったように花丸米国勢が充実してるぞーというのがそのときの一番の話題。G・ラヴ&ザ・スペシャル・ソース(2008年10月9日、他)も出演が決まっているので、ジ・アヴェット・ブラザーズとの共演(2011年2月11日参照)もおおいに期待できる。あと、アタリ・ティーンエイジ・ライオット、ビッグ・オーディオ・ダイナマイト、インキュバス、ザ・シスターズ・オブ・マージー、YMOなど再結成/お久しぶりアクトも多そう。一度フェス出演がキャンセルになったことがあるはずのコーナーショップのギグも、ぼくは楽しみ。そして、今のところ一番ワーイなのは、コノノNo.1(2006年8月26日、27日)とカサイ・オールスターズ(2007年10月25日)というコンゴ勢選抜群とディアフーフ(2004年3月18日、2009年2月1日)やファナ・モリーナ(2002年9月7日、2002年9月15日、2003年7月29日)らポップ側にいるオルタナ勢がいろいろ絡む“コンゴロニクスvs.ロッカーズ”という出し物。それ、昨年出たリミックス的発想を経た飛躍盤『コンンゴトロニクス世界選手権』(クラムド・ディスク)をもとに、開かれた場で枠外しをしようとするもの。今年の欧州夏フェス・サーキットの目玉でもある同プロジェクトの実演ははたしてどうなる? そこに、別枠出演者のフォー・テットなんかも重なったらとか、妄想は膨らむ。最低でも2時間半は演奏時間を取ってほしいものだが。

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