今年のフジ・ロック(2010年7月31日)のリターン・マッチ。あんときは印象が拡散して、カントリー・ブルースマンのスキップ・ジェイムズの曲名をバンド名に引用した、このUK4人組にあまりいい印象を持てなかった。フェスだとそういうことは起こりえる。

 渋谷・クラブクアトロ。奇をてらわない感じで、どっしりパフォーマンスは進められる。バンド音はとてもしっかりし、そして歌声がでけえ。ちゃんと、根っ子/実質を持つバンドという印象もわいてくるか。で、ちゃんと判ったことは、他のブルースを引き金にするバンドとは一線を画し、彼らはその安易な咀嚼をすること無し(芸のない、ブルーノート活用ギター・ソロもあまりない)にして、ダークだったりほころびていたりするブルース感覚を彼らなりに処理し整合感の高い同時代ロックとして提出しているということ。曲は微妙にマイナー調のものが多く、歌詞まではチェックしていないが曲名はを暗めの心情を表したようなものが多い。今様ロックへの技と視点あるブルースの飛躍のさせ方の妙を確認、やはり存在意義はあるな。
 
 ブルースと言えば、昼間には、多分にブルースとも言えるかもしれない映画を渋谷・ショーゲート試写室で見た。「その街のこども」という阪神淡路大震災を題材とする作品(監督:井上剛、脚本:渡辺あや)。子供の頃に震災経験を持つ男女が久しぶりに震災があった前日に神戸に戻り、一晩神戸の街を歩きながら、震災で受けた傷をとい直し、それを先に繋げんとしていく様を、ドキュメンタリー・タッチで綴った内容を持つ。ちょうど15年目となる今年1月17日にNHKテレビで放映され好評だったものを、拡大編集し、劇場公開作品にしたそう(神戸では公開中。東京は来年1月中旬に公開)。音楽は大友良英(2009年5月31日、他)、器用にプロの仕事をしていて、映像やストーリーにきっかけや奥行きを作っている。あの震災で得たぼくの一番の思いは、モノを集めてもしょうがない。大きな災害が来たら、それらは一気に無になっちゃう。なら、形のないものを自分のアタマとココロに溜めたほうがいいじゃないか。これ、昔にここで、書いたことがあったかな。まあ、かといって、それまで集めた音楽関連のブツを処分した訳ではなく、その後も無為に増え続けているわけだが。あー、俺は整理整頓が本当に弱い。

 話は前後するが、ライヴ享受後に流れた店ではずっとレゲエが流れていた。が、最後に帰るころには、バルセロナのスカ・パンク・バンドになった。うぬ、明日はどうしようか……? 観客享受模様にふれるのも一興だし、レス・ザン・ジェイクに行っちゃおうか。

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