日比谷野外大音楽堂。雨という予報だったが、かろうじて降らず。気温は低かったが、良かった良かった。野音でのこの公演は翌日も予定されていて、そちらも雨天の予報だったが、降らずにすみましたね。なにより何より。正義はあると、思うことにしよう。

 開演時間を間違えてしまい、小一時間周辺を探索。日比谷公園の奥のほうでは、<日比谷オクトーバーフェスト>とうのをやっていた。ドイツのお祭りを日本に持ってこようとしたものなのかどうかは知らないが、いろんな種類のドイツ・ビールを売るテントや食べ物を売るテントなんかが一杯出ていて、椅子とテーブルもとても沢山出て、相当なにぎわい。大勢の人が寒空の下、和気あいあいとゴクゴクやっている。へえ、こんな催しやっているんだあ。ビールをドイツ仕様のグラスで売っているのはいいが、大きめながら1500円ぐらいと安くはない。一角にステージがあり、アコーディオン奏者他を擁する若いドイツ人のバンドが民俗衣装みたいなのを来て演奏(何調といえばいいのか。ポルカみたいに、ダサいのが味という類いのもの)。それ、ステージ前につめかけたビール片手の若者たちに大受け。その様は、フジ・ロックでのレーヴェン(2009年7月25日)の受け方みたいだった? なんか、その場にいて、ぼくも楽しかった。

 で、野音。雨は降らないのはいいが、寒かったなー。まずは、ローラーコースター(MCでは、ドラムの山崎よしきがリーダーと言われていたような)に達者ゲストが入っての出し物。ジャングル・ホップ(2005年6月16日)の面々がいて、吾妻光良(2007年7月22日、他)もいて。吾妻のトリッキーなギターは切れきれ、おおいに客は沸く。日本人のおやじって、ブルースうまいなあと素直に思う。

 続いて、ジョー・ルイス・ウォーカーと彼のバンド。本当はバーナード・アリソンが出る予定だったが、急病とかでウォーカーが代わりに日本の地を踏んだ。どっちを見たかったと言えば、アリソンかもしれないが、格としてはかつてフランスのユニヴァーサルとも契約していた年長者でもあるウォーカーのほうが上ではないか。日本人のバンドのあとだと、荒く感じる部分もあるが、コテコテさと一握りの意欲を出しつつ、実演。まあ良く急遽来なすった。

 そして、トリは同カーニヴァル25周年記念という名目のもと満を持して呼んだ巨人、ソロモン・バークの登場。そのパフォーマンスに関しては、テキサス州オースティンのフェスで見た際のびっくり具合を2004年9月19日の項で触れているが、それを知っていても、すごいすごいすごい、うれしいうれしいうれしい、あっぱれあっぱれあっぱれ、てな、感謝感激の嵐のテンコ盛りであったな。”キング”なでかい椅子に座って歌う巨漢の彼をバック・アップするのは、キーボード2、ギター2、管楽器4、ベース、ドラム、ヴァイオリン2、男女コーラスと大所帯。その二人のバックグラウンド・シンガーはバークの子供たちだそう(子供や孫はたくさんいるハズ)。で、二人のヴァイオリン奏者や一人のサックス奏者ら女性は黒のボディコン調でまとめているが、けっこうヴァイオリン音はストリングス系音として効いていた。……なんてことは、些細なこと。そうした集団を従えてのバークの歌声や語り、佇まいの存在感の有り様といったなら。もう、R&B表現の精華というべきものであり、他にはなかなか触れられないだろうそれには高揚させられつつ、もう感無量。これは日本の黒人音楽愛好家の間で語り継がれるべき、ライヴではなかったか。彼の最新作『ナッシングズ・インポッシブル』は、ハイ・レコードのウィリー・ミッチェル制作(彼の遺作となった)によるものだが、そのライナーノーツを書いたことがなんとも光栄なことに思えてしかったなかった。いいもの、見せてもらいました。ありがたや〜。ジャパン・ブルース&ソウル・カーニヴァル、今後も続いてほしいっ。

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