NY(ブルックリン)を拠点とする、現在6人組(オトコ3人、女性3人)のバンドだが、いやー、その実演はまったくもって降参。アルバム群は才気あふれおおいに耳を引くものであったが、それに輪をかけて実演能力も備えていたとは。恐れ入りました。渋谷・クラブクアトロ。

 歌う歓び、楽器を演奏する歓び、アイデアを出す歓び、それを実践し発展させる歓び。そうしたことを、開かれた場であれほど鮮やかに出せちゃうとは。ノリとして、アフリカ的な語彙を使いだしたころのトーキング・ヘッズを思い出せるところはあるが、この晩の実演に降れ、彼らのほうがずっと豊かでしなやかで歌心に富んでいるところがあるんじゃないかと思える部分もあって、ワワワ。ヘッズを率いたデイヴィッド・バーン(2009年1月27日)は今まさしくロック賢人として君臨しているわけで、その中心人物デイヴ・ロングストレス(ジミ・ヘンドリックスのように、右利き用ギターを逆さに構える)は30年後いったいどんな凄いことになっておるのか、なんてこともぼくは思ってしまった。我が道を行く工夫や洒脱があり、アフリカ音楽(それはリズムやギター演奏だけでなく、女性3人の歌の絡みにも反映)やキャプテン・ビーフハートなどいろんなマニアックな語彙にも精通しているような美味しい広がりあり。見事に心意気あるロックであり、さばけた愛らしいアートであり。なお、そんな彼らは通受けもしていて、そのデイヴィッド・バーンやビョーク(2008年2月22日、他)らと絡んだりもしていますね。

 今年一番となるロック・アクトの公演かも。そんな彼らのライヴは満員で、歓声も熱い。みんなで、うひょお〜と感嘆し、会場が共鳴しているような感じがあった。その場にいて、とても生理的にヘルシーに思えるライヴでもありました。

 なお、前座として、ジュリー・ドワオンと一緒にツアーをしていたマウント・イアリが登場し、なんかティム・ハーディンとかを少し想起させもする、シンプルなギター弾き語り表現を聞かせてくれた。

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