うわ、音でけえ。南青山・ブルーノート東京。ファースト・ショウ。
 
 その前身である永井隆&ザ・ブルース・ザ・パワーをフジ・ロックで見て(2005年7月30日)感激していらいとなるのかな。ヴォーカルとギターの永井“ホトケ”隆(2005年7月31日)とドラムの沼澤尚(2008年1月30日、他)を軸とするパーマネントなブルース・バンドに、ムッシュかまやつ(ヴォーカル、ギター)を加えたライヴ。両者は昨年晩夏に共演作『ロッキン・ウィズ・ムッシュ』をリリースしている。そのムッシュはといえば、最初から出てきてステージの左端に位置、あたまのほうでは続けてリード・ヴォーカルを取ったが、ならすとホトケのほうが歌う比率は少し高かったか。ともあれ、中条卓(2003年6月22日、他)とコテツ(2008年11月14日)をふくむ5人は、いろんなバンド・ブルース表現/楽曲を俯瞰したうえで、正々堂々と今の輝きを持つブルースを送り出す。

 歌心が、確かなリズムとともに送り出される。ムッシュの歌声がはっきりしているのには、少し驚く。もともとホトケもシンガーだから、ここには専任ギタリストはいない。でも、それもいいと思えた。安全パイのブルーノート・スケールをちんたらなぞるような単音ソロを延々と聞かされることがなくて。ほんと、そういうのがぼくは大嫌いだ。そのぶん、コテツは大張り切りで大活躍。ブルース・ハーピストとして持っているものを全部だしていたな。沼澤は曲に合わせチューニングの異なるスネアを頻繁に変える。シンプルなドラム・セットを前に叩いていた彼、音楽性に合わせているのかと思ったら、それが毎度の設定だという。いつもちゃんと見ていないんだァと、沼澤にいじめられた。

 ところで、ステージ上の面々はみんな黒いスーツに白いシャツ、そして黒いネクタイ(中条のみ、ノー・ネクタイ)。なんか、もろに喪服やん。なんて、書きたくなるのは、ブルースとは悪魔の音楽であり、忌み嫌われるヤクザ、ハンパもんの酔狂な音楽であるから……なーんて、こじつけておきましょうか。

追記)この2日後、仕事部屋で整理をしてたら、CDの山のなかから『ぶるうすを聴け!』(ビクター、07年)というコンピ盤が出てきた。で、なんの気無しに聞いてしまったんだが、これはレコード会社の枠を超えて楽曲が集められている、日本人のブルースを俯瞰する好編集作。コンパイラーのクレジットはないのだが、ホトケが親身なライナーノーツを書いているので、彼が組んだのだろうか。

コメント