有楽町・東京国際フォーラム(ホールA)。その欧州ツアーにも同行していたという、ドイツのエレクトロ・ロック・ユニットのキソグラムが前座として35分ほど演奏。プリセットされた音を基調するものの、サポートのドラマーを加えて3人にて実演する。シンガーはけっこうギターをかき鳴らしながら歌っており(後半はギターを置き、歌に専念)、電気音主体のCDよりずっとロックっぽい。冒頭は尖り気味で時代の空気をひっかくような感じが少しあったが、あとは曲が往年のニュー・ウェイヴ調ポップと言えるようなものが連発されて、どんどん個性/ぼくにとっての聞き所が散っていった。初来日という彼ら、それで最初のギグの場が5.000人規模の会場というのは幸せなんだか、不幸なんだか。

 休憩をはさんで、スコットランドの人気ポップ・ロック・バンドのフランツ・フェルディナンドが登場。ステージ美術は地味、なのはいいとしても、背後に映し出される映像についてはもう少し質の高いものを採用してもいいのではないか。なんか、お洒落じゃない。あ、そういえば、中心人物のアレックサンダー・カブラノス(ギター・アンプの上に立つのが好きなんだなー)は過去きっちり格好を決めていたのに、今回はTシャツで悲しいと嘆く御夫人もおりました。

 ミレニアム以降、トップに成功したUKのバンドという印象があるが、ぼくは04 年のフジ・ロックで見て以来か。で、驚いたのは最後の部分を除いて(後述します)、彼らは一切テクノロジーの力を借りずに4人の演奏だけで勝負していたこと。ときにカラフルだったり、ときにダンザブルだったりする味付けを、その指針はスポイルするものであっても、生身の音だけで勝負しようとしている様には不可解な太さを覚えたか。でも、それは悪い事ではないと、ぼくは思う。それから、もう一つびっくりしたのは、観客の歓声/嬌声。きゃあああわあああ、という声がこんなに飛び交う公演は久しぶり。そういえば、ここの2階席はとても揺れる(1999年10月16日、参照)という印象を持っていたが、1回のフロアもけっこう揺れていた。

 本編は1時間を切る長さだったが、アンコールはけっこう長めにやった。最後のほうはサンプリングした楽器音を延々シーケンスさせ(新作『トゥナイト』は『Blood』というリミックス作的なダブ・アルバムを生んたが、そっち方面との繋がり多少アリ?)時間差で一人ひとりステージを去る。そして、完全に終わったあと、また4人は出てきて仲良く中央でペコリ。

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