六本木・ビルボードライブ東京、ファースト・ショウ。ゴスペル教室に通っている知り合いがいて、このコンテンポラリー・ゴスペルの人気スターの公演に行くかもなんて言っていたが、なるほど会場はそういう筋らしき女性で満員。オープナーは、EW&Fの「セプテンバー」。のっけから、客は総立ち。こんなに、湧きまくるビルボードライブ東京は初めて(と、思う)。で、お客さんたちは一緒に、笑顔でよく歌う。

 ショウは6人のクワイアー(女性4人、男性2人)、さらにはキーボード2、ギター、ベース、ドラム、DJという布陣にて。みんな腕は達者、それは与えられたソロのパートを聞いてもよく解る。うちDJに関してはいなくても全然問題ない感じだったが、それは今の感覚を持つゴスペルを送り出していますというアリバイ作りみたいなもん? 

 主役のフランクリンはへえ、こんなん? 基本、歌わない人なのか。彼はショウの間の半分弱はピアノを弾き、あとは踊って(客席にも何度かおりました)、聞き手に働きかけようとする。で、かけ声をあげたり、クワイアーや演奏陣を指揮したり。なるほど、彼は統括者、プリーチャー的存在として君臨しているんですね。で、踊っている様はゴスペル界のマイケル・ジャクソンという感じもあり。そういえば、前半部に彼は「ウィ・アー・ザ・ワールド」をポロポロと弾きだしたりもし、客はそれにあわせて歌う。大きな話題を呼んだ曲とはいえ四半世紀も前の曲なのに、皆よく知っているなー。

 自分のくだけたキャラをとおして、巧みに、サーヴィス満点に敷居低くゴスペル派生の高揚の場を作り上げていったフランクリンの手腕は素晴らしい。ゴスペル有名曲やフランクリンのオリジナルをやったと思うが、ほんと合唱状態。そんなこんなで、ステージと客席側がちゃんと交歓し合っての、疑似“教会”模様が繰り広げられていた。うーぬ、これは見物、聞き物という感じは山ほど。終盤にフランクリンはキーボードを弾きながらちゃんと歌ったが、その歌はぜんぜんゴスペルっぽくなく、味あるシンガー・ソングライター傾向にあるものだった。

 最後の曲にはファンカデリックの「ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ」も挿入される。そして、ヴォーカル陣がステージを降りる際に演奏されたのはあれれ、渋さ知らズ(2009年7月26日、他)の「本田工務店のテーマ」とそっくりのメロディ曲。へーえ、そんな偶然もあるんだァ。

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