マーカス・ミラー。テリー・キャリアー
2009年9月15日 音楽 今回のミラー(2007年12月13日、2006年9月3日、他)公演はマイルス・デイヴィスの音楽にのぞみますよん、というもの。彼は81年に復帰したマイルス・デイヴィスのバンドにマイク・スターン(2009年3月23日、2009年6月18日)とともに抜擢され知名度をより増し(すでにそのとき、売れっ子セッション・マンではあった)、ついにはデイヴィスの『Tutu』(86年)や『アマンドラ』(89年)では楽曲提供込みのプロデュースをまかされるまでになり、それはミラーの名声確立に大きく寄与したはずなのだ。それゆえ、ミラーが気鋭の奏者たちを呼んでこういうプロジェクトにあたるという事に違和感はない。
なんでも“Tutu Revisited”というお題目がついていて、主に『Tutu』収録曲をやった(85年作『ユーアー・アンダー・アレスト』でデイヴィスが取り上げていた、マイケル・ジャクソンの「ヒューマン・ネイチャー」も時節柄やったな。あのアルバムにミラーは関与していないけど)このプロジェクトはミラーに加え、トランペットの若大将クリスチャン・スコット(2008年7月23日、2008年9月10日、2009年1月31日。とうぜん、デイヴィスっぽく吹こうなんて気は持っていなかった)、弱冠21歳ながら腕がばっちり立つアルト・サックス奏者のアレックス・ハン(かなり吹けて、感心。楽屋で少し話したらいい奴)、ここんとこミラーお気に入りの鍵盤担当のフェデリコ・ゴンザレス・ペーニャ(2002年6月18日、2008年9月8日、2009年3月18日。ぼくはあんまし好みじゃない)、やはり若いながら3年前のスタンリー・クラーク来日公演に同行しているというドラマーのロナルド・ブルーナーJr.という布陣によるもの。で、冒頭、ギターレス編成なのに(プリセットの)ギターの音が聞こえてきてびっくり。やっぱ、興ざめする。というのはともかく、なんかなあなあそこそこのデイヴィス曲カヴァー・バンドのパフォーマンスが続いたのではないか。それ、デイヴィス表現の魔力(まあ、復帰後は基本だいぶ減じてはいるけど)もミラーの賢さもスルー。ぼくはまったくデイヴィスを神格化していない聞き手なので軽い気持ちで接しているにも関わらず、どこにポイントを見いだすべきか判断に困る演奏が続いていたはずだ。ベース演奏も普段のときより地味なような気もしたし(ソロのとき、ザ・ローリング・ストーンズのディスコ調曲「ミス・ユー」のフレイズを繰り出した)。なんか、芸にも工夫にもかけていると、ぼくは感じた。
ミラーは信頼できるクリエイターだと思うし、見た目は変わらずスマートだ。だが、このお手軽プロジェクトに関しては今後練り直す必要があるのではないか。唯一賞賛したいのは、全員譜面を見ずに生理的に伸び伸びやっていたこと(俺、譜面台が出ていると、シラけるところがあります)。数回のリハをやって日本にやってきたというが、それは逆に言えばあまり凝った事をやっていないという証左にもなり得る? ともあれ、このプロジェクトはこの10月下旬から2ヶ月間ヨーロッパ・ツアーに入る。そして、来年はアメリカでもやる方向にあるという。六本木・ビルボードライブ(ファースト・ショウ)。
続いて、丸の内・コットンクラブ(セカンド・ショウ)で、シカゴの異才シンガー・ソングライター(2002年5月21日、2004年4月19日、2005年2月17日、2007年3月8日)を見る。過去と同じく、マネージメントが英国にある会社である関係もあるのだろう、英国に住むミュージシャンを従えてのもの。同様の編成だが、ギター奏者のジム・マレン(2006年3月8日)がいなくなって、キードード奏者が二人になった。変わらず、大志と気を持つクロスオーヴァー型流動性フォーキィ表現を繰り広げたが、この晩は少し喉の調子が悪かったかも? 岩にも染み入るような、静謐な朗々感が少し減じていたような。気のせいかな。そう言えば、今年出た久しぶりに出た新作は新しいことをやろうとしているが、なんかぼくにはしっくりこなかったのを思い出した。
なんでも“Tutu Revisited”というお題目がついていて、主に『Tutu』収録曲をやった(85年作『ユーアー・アンダー・アレスト』でデイヴィスが取り上げていた、マイケル・ジャクソンの「ヒューマン・ネイチャー」も時節柄やったな。あのアルバムにミラーは関与していないけど)このプロジェクトはミラーに加え、トランペットの若大将クリスチャン・スコット(2008年7月23日、2008年9月10日、2009年1月31日。とうぜん、デイヴィスっぽく吹こうなんて気は持っていなかった)、弱冠21歳ながら腕がばっちり立つアルト・サックス奏者のアレックス・ハン(かなり吹けて、感心。楽屋で少し話したらいい奴)、ここんとこミラーお気に入りの鍵盤担当のフェデリコ・ゴンザレス・ペーニャ(2002年6月18日、2008年9月8日、2009年3月18日。ぼくはあんまし好みじゃない)、やはり若いながら3年前のスタンリー・クラーク来日公演に同行しているというドラマーのロナルド・ブルーナーJr.という布陣によるもの。で、冒頭、ギターレス編成なのに(プリセットの)ギターの音が聞こえてきてびっくり。やっぱ、興ざめする。というのはともかく、なんかなあなあそこそこのデイヴィス曲カヴァー・バンドのパフォーマンスが続いたのではないか。それ、デイヴィス表現の魔力(まあ、復帰後は基本だいぶ減じてはいるけど)もミラーの賢さもスルー。ぼくはまったくデイヴィスを神格化していない聞き手なので軽い気持ちで接しているにも関わらず、どこにポイントを見いだすべきか判断に困る演奏が続いていたはずだ。ベース演奏も普段のときより地味なような気もしたし(ソロのとき、ザ・ローリング・ストーンズのディスコ調曲「ミス・ユー」のフレイズを繰り出した)。なんか、芸にも工夫にもかけていると、ぼくは感じた。
ミラーは信頼できるクリエイターだと思うし、見た目は変わらずスマートだ。だが、このお手軽プロジェクトに関しては今後練り直す必要があるのではないか。唯一賞賛したいのは、全員譜面を見ずに生理的に伸び伸びやっていたこと(俺、譜面台が出ていると、シラけるところがあります)。数回のリハをやって日本にやってきたというが、それは逆に言えばあまり凝った事をやっていないという証左にもなり得る? ともあれ、このプロジェクトはこの10月下旬から2ヶ月間ヨーロッパ・ツアーに入る。そして、来年はアメリカでもやる方向にあるという。六本木・ビルボードライブ(ファースト・ショウ)。
続いて、丸の内・コットンクラブ(セカンド・ショウ)で、シカゴの異才シンガー・ソングライター(2002年5月21日、2004年4月19日、2005年2月17日、2007年3月8日)を見る。過去と同じく、マネージメントが英国にある会社である関係もあるのだろう、英国に住むミュージシャンを従えてのもの。同様の編成だが、ギター奏者のジム・マレン(2006年3月8日)がいなくなって、キードード奏者が二人になった。変わらず、大志と気を持つクロスオーヴァー型流動性フォーキィ表現を繰り広げたが、この晩は少し喉の調子が悪かったかも? 岩にも染み入るような、静謐な朗々感が少し減じていたような。気のせいかな。そう言えば、今年出た久しぶりに出た新作は新しいことをやろうとしているが、なんかぼくにはしっくりこなかったのを思い出した。
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