ザ・ブルース・ブラザース・バンド
2009年7月14日 音楽 米NBCの人気お笑いTV番組「サタデー・ナイト・ライヴ」の出演者/出演ミュージシャンを基にするブルース/R&B礼賛映画「ブルース・ブラザース」派生のバンド……90年代中期いこう毎年のように来ているが、そのころ見て以来、久しぶりに彼らを見ることとなるのか。六本木・ビルボード東京、セカンド・ショウ。なお、ここのところ降雨した日はなかったような気もするが、今日、関西に先駆けて関東圏の梅雨明けが報じられる。
中心となるギタリストのスティーヴ・クロッパー(2008年11 月24日)が“ジ・オリジナル・ブルース・ブラザース・バンド”と何度もステージで連呼する。最初から関与しているミュージシャンは、サックスのルー・マリーニ(2004年1月27日,2007 年10月9日)とトランペットのアラン・ルービンとクロッパーの3人だけなのになんでやねん、と思ったが、途中からそういう意味かと納得。ようは、演目やショウの様子が映画のありかたを大々的に踏襲しようとしていた、ということなんですね。そうなった要因は、(フロントにいたジョン・ベルーシとダン・エイクロイドというコメディアン/俳優に代わって)過去祭り上げられていたR&B大御所シンガーのエディ・フロイド(2007年7月18日)がこのユニット興行から去り、ジョニー・ロッシュという白人歌手をフロント・マンに置くようになったから。敬意をふるうべきキャリア組から一般的にはビッグではない人を雇ったことで、クロッパーたちは初期のザ・ブルース・ブラザースのパブリック・イメージをたっぷり踏む路線に出たということとぼくは推測する。
実際、ロッシュは黒いスーツ、ネクタイ、帽子、サングラスという例の格好でブルース・ハープの入ったアタッシュケースを持って登場。そして、歌い、踊り、ハープを吹き……ようはオリジナル時のジョン・ベルーシ役とダン・エイクロイド役を一人で担う。しかも、冒頭のインスト部をのぞき(冒頭はクロッパーがいたMGズの「グリーン・オニオンズ」)、演目が全部78年リリースのデビュー作と映画でやっていた曲(レイ・チャールズやキャブ・キャロウェイが映画で歌っていた曲も。キャロウェイの当たり曲「ミニー・ザ・ムーチャ」をやったときは映画にあわせて白いタキシードの上着をロッシュははおった)であるのだから! とにもかくにもロッシュさん(もともと、そういう黒っぽいことをやっていた人と思う)は涙ぐましいぐらいエンターテインしようとしていて、酒だか水だかを浴びたり、2階の長いカウンターに立ってハープを吹いたりも。そこに立った人はビルボードライブ東京が開いて以来、彼が初めてなのでは?
バンドの成り立ちが成り立ちだけに、この行き方はアリだろう。でもって、かつてのマット“ギター”マーフィーのような、純正黒人ブルース・マンもいたらバッチリなんだけどな。演奏陣はしっかりしていて、あぶなげなし。ホーン・セクション音もバリっと決まっていたが、映画で高級レストランのマネージャー役をいい感じで演じてもいたルービン(デューク・エリントン楽団にいたことも)は他の二人の管奏者と違いいっさいソロを取らず。唯一の黒人奏者であるオルガン奏者は70 年代中期からNYのシーンで活躍しているオールラウンド奏者のリオン・ペンダーヴィスだったが、他の奏者がみんなじじむさいので、一人だけ若く見えた。終盤にはもう一人、やはり黒づくめの痩身の黒人シンガーが出てきて、ロッシュと絡む。結局、全10人によるショウで、時間も1時間半は超えるもので、こってりたっぷり。最後、ホーン隊+αは客席を回って引き上げた。
ベルーシとエイクロイドを前に置き、ザ・ブルース・ブラザーズ名義の第一作『ブリーフケース・フル・オブ・ブルース』がアトランティックからリリースされたのが1978年。そして、ジョン・ランディスによる<ブルース/R&Bこそが、持たざる者による地に足をつけた、愛とヒューマニティたっぷりの“正”の表現>というテーゼ(もっと簡単に言えば、ブルースは地球を救う……)を奥に置く、米国黒人音楽愛に溢れまくった同名映画が公開されたのが1980年。好評につき、続編も1998年に作られた(「ブルース・ブラザース2000」)も作られたわけだが、それはともかかく、ショウに接しながら、ランディスの事を少し考える。「アニマル・ハウス」込みで、彼はトップ級にぼくが大好きな映画監督。あのマイケル・ジャクソンの「スリラー」の長尺プロモーション・ヴィデオを監督/撮影したのも、彼だった。
中心となるギタリストのスティーヴ・クロッパー(2008年11 月24日)が“ジ・オリジナル・ブルース・ブラザース・バンド”と何度もステージで連呼する。最初から関与しているミュージシャンは、サックスのルー・マリーニ(2004年1月27日,2007 年10月9日)とトランペットのアラン・ルービンとクロッパーの3人だけなのになんでやねん、と思ったが、途中からそういう意味かと納得。ようは、演目やショウの様子が映画のありかたを大々的に踏襲しようとしていた、ということなんですね。そうなった要因は、(フロントにいたジョン・ベルーシとダン・エイクロイドというコメディアン/俳優に代わって)過去祭り上げられていたR&B大御所シンガーのエディ・フロイド(2007年7月18日)がこのユニット興行から去り、ジョニー・ロッシュという白人歌手をフロント・マンに置くようになったから。敬意をふるうべきキャリア組から一般的にはビッグではない人を雇ったことで、クロッパーたちは初期のザ・ブルース・ブラザースのパブリック・イメージをたっぷり踏む路線に出たということとぼくは推測する。
実際、ロッシュは黒いスーツ、ネクタイ、帽子、サングラスという例の格好でブルース・ハープの入ったアタッシュケースを持って登場。そして、歌い、踊り、ハープを吹き……ようはオリジナル時のジョン・ベルーシ役とダン・エイクロイド役を一人で担う。しかも、冒頭のインスト部をのぞき(冒頭はクロッパーがいたMGズの「グリーン・オニオンズ」)、演目が全部78年リリースのデビュー作と映画でやっていた曲(レイ・チャールズやキャブ・キャロウェイが映画で歌っていた曲も。キャロウェイの当たり曲「ミニー・ザ・ムーチャ」をやったときは映画にあわせて白いタキシードの上着をロッシュははおった)であるのだから! とにもかくにもロッシュさん(もともと、そういう黒っぽいことをやっていた人と思う)は涙ぐましいぐらいエンターテインしようとしていて、酒だか水だかを浴びたり、2階の長いカウンターに立ってハープを吹いたりも。そこに立った人はビルボードライブ東京が開いて以来、彼が初めてなのでは?
バンドの成り立ちが成り立ちだけに、この行き方はアリだろう。でもって、かつてのマット“ギター”マーフィーのような、純正黒人ブルース・マンもいたらバッチリなんだけどな。演奏陣はしっかりしていて、あぶなげなし。ホーン・セクション音もバリっと決まっていたが、映画で高級レストランのマネージャー役をいい感じで演じてもいたルービン(デューク・エリントン楽団にいたことも)は他の二人の管奏者と違いいっさいソロを取らず。唯一の黒人奏者であるオルガン奏者は70 年代中期からNYのシーンで活躍しているオールラウンド奏者のリオン・ペンダーヴィスだったが、他の奏者がみんなじじむさいので、一人だけ若く見えた。終盤にはもう一人、やはり黒づくめの痩身の黒人シンガーが出てきて、ロッシュと絡む。結局、全10人によるショウで、時間も1時間半は超えるもので、こってりたっぷり。最後、ホーン隊+αは客席を回って引き上げた。
ベルーシとエイクロイドを前に置き、ザ・ブルース・ブラザーズ名義の第一作『ブリーフケース・フル・オブ・ブルース』がアトランティックからリリースされたのが1978年。そして、ジョン・ランディスによる<ブルース/R&Bこそが、持たざる者による地に足をつけた、愛とヒューマニティたっぷりの“正”の表現>というテーゼ(もっと簡単に言えば、ブルースは地球を救う……)を奥に置く、米国黒人音楽愛に溢れまくった同名映画が公開されたのが1980年。好評につき、続編も1998年に作られた(「ブルース・ブラザース2000」)も作られたわけだが、それはともかかく、ショウに接しながら、ランディスの事を少し考える。「アニマル・ハウス」込みで、彼はトップ級にぼくが大好きな映画監督。あのマイケル・ジャクソンの「スリラー」の長尺プロモーション・ヴィデオを監督/撮影したのも、彼だった。
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