前日に続いて、渋谷・クラブクアトロ。シアトルで付き合いの長いジャズ奏者たちを起用して録音したデビュー作『キュリアス・クリーチャー』に倣い、ジャズの素養も持たなくはないだろう日本人ウッド・ベース奏者とドラマー(その顔ぶれで、今スタジオ入りしているという)を擁してのパフォーマンス。そして途中からはギター系楽器で高田蓮(2007年11月27日、他)も加わる。成熟と瑞々しさが見事に交錯、ええ娘やあ〜と見ちゃうよなー。ピアノに向かうスリムな後ろ姿も綺麗ネ。2部構成で、2部の途中までしか見れなかったのは残念。

 そして、南青山・ブルーノート東京で、米国西海岸ベイエリア(オークランド)の博識くん、ラファエル・サディークのショウを見る(なんか彼、ロイ・ハーグローヴの最終日に飛び入りして、サム・クック曲を歌ったみたい)。90年前後にはトニ!・トニ!・トニ!の一員(そのころはラファエル・リギンズと言う名で活動)としてぶいぶい言わせ、その後R&Bからヒップホップまでを自在に横切る敏腕プロデューサーとして活躍(ビラル、モス・デフ、2パック、メアリー・J、アイズリーズ、ライオネル・リッチー他)。その傍ら、リーダー作も飄々と出して昨年の『ザ・ウェイ・アイ・シー・イット』(ソニー)はモータウンをはじめとするディスコ期前の大衆R&Bへのオマージュを掲げた内容を持ち、皆スーツでばっちりきめた今回の設定はその行き方を下敷きにしたものであるといえるか。

 鍵盤、ギター、ベース、ドラムというバンドの前に、スキンヘッドに眼鏡のサディークと男女のバッキング歌手が位置し、その3人は声を合わせるだけでなく、きっちり踊りも決める。その様だけで、にっこりなれちゃう。それだけで、合格〜って喝采を叫んじゃった人もいたに違いない。サディークは声量がなくシンガーとしては意外なくらい存在感がなかったが、そのきらびやかなソウル・ショウを司る全体指揮者としてのクールな立ち位置がちゃんと見えるので不満は感じない。トニーズ時代はベースを弾いていたはずだけど、サディークは一部でギターを手にしたりもした。意外だったのは、楽曲がタンタンタンという比較的タメを持たないビート(ぼくは、それをツイストっぽいとも形容したくなる)を多くで採用していたこと。ぼくはこってりファットバックなビートのほうがうれしいが、それは意識してのものだろう。

 アンコールにはジャクソン5の「アイ・ウォント・ユー・バック」を。冒頭のギターのカッティングをはじめ一から十まで本当に非の打ち所がない曲だよなー。


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