二人が笑顔で並んでいると、なんか妹と姉みたい。おお。天真爛漫に音楽に献身しているところ(オトコの影も見えにくい)が似ているのではないか。もう、楽器を扱う様、声を出す様、彼女たちはほんとうに胸キュンさせるな〜。とともに、二人とも本当に性格が良さそう。ニコっ。

 が、考えてみたら、このオランダ娘とイースト・ベイ(ベイ・エリア)娘はけっこう重なるところを持っていると言える。ハンス・ダルファー(テナー・サックス)とピート・エスコヴェド(打楽器。アステカやサンタナに在籍、コンコード他にリーダー作も多数)、二人の父はともに(特に後者は)名をなすミュージシャンであり、その愛を受けてきっちりと流儀と技量を会得することで大きな注目を集めるようになったところとか。両者ともプリンスの覚えもめでたいところも、そうですね。あ、彼女たちはプリンス(2002年11月19日)のツアーで一緒になったことがあるかな。

 お二人は、39歳と49歳。若いなあ(だから、先に“娘”と書いてしまった)。すぐ側で見るとどうか知らぬが、本当にイケてる。アンチ・エイジングに苦慮する世の女性の意見を聞いてみたいと思ったが、ショウを見ると、やっぱり心から打ち込める物があるのは強いという綺麗事を痛感させられるんじゃないか。ははは。ダルファーには90年代前半に複数回取材したことがある(そのとき、綺麗だけど、肌がカサカサ気味という印象を持った)が、ぜんぜん変わらないなー。いや、いい女度数を増している。

 ショウは、現在のダルファー・バンドの線で進む。基本はメイシオ・パーカー(2009年1月21日、他)譲りのダルファーのアルト演奏(けっこう、アルバムでもそうなように音色は濁り気味)を柱に置く、ファンキー路線。ダルファー・バンドはかつてはオランダ人だけで組まれていたが、ここのところはカーク・ジョンソン(ドラム)とチャンス・ハワード(キーボード、ヴォーカル)というかつてプリンス表現にも関わったことがある米国黒人二人も入っている。ときに、レオナというあちらではリーダー作を出しているような黒人女性が出てきて歌ったり(一度だけ、チャカ・カーンばりの高音を張り上げる。彼女の持ち歌も1曲歌う)、ハワードがリード・ヴォーカルを取ったりもし、ダルファーが歌う時間は減っているが、もちろん歌う風情もよろしい。そういうなか、2曲ぐらいミディアム調の歌のない歌謡曲といったインストも披露。そういうの、まったくもって苦手で、CDだったらすぐに飛ばすだろうワタシです。

 後半、シーラ・E(2002年8月12日、2006年8月10日)が登場して、ティンバレスやドラムを叩き、間の手の歌を入れ、みんなとフリをする。演奏が終わりブレイクした際、ペリエの小瓶を開けて飲んだと思ったら瓶を指で鳴らしたり、口に唇をつけアフリカの部族表現を模した肉声表現(ビル・サマーズが『ヘッド・ハンターズ』の「ウォーターメロン・マン」の出だしで披露しているみたいなやつ)をやったりも。もー、何をやっても引きつけますね。アンコール最後にやった「グラマラス・ライフ」ではもちろんリード・ヴォーカルを取る(かつてのトレイドマークだった赤いスティックは使わなくなったんだな)。うーん、プロ、プロ、プロフェッショナル!

 南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。1時間40分ぐらいやったんじゃないか。なんかいい物見せてもらったな、という気持ちをたっぷり得る。純粋な音楽的な価値(って、ヤな言い方だが)を超えた部分で、人の気持ちを引きつけるものが山のようにあったような。……音楽に向かわせるもの、音楽がエンターテインメントとして成り立つ重要部分をあっけらかんと提示していたようなショウ。そういうものに触れることができたり、確認できたりするのも、ライヴ・パフォーマンスの美点なのだと痛感させられました。


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