15年強、デビュー時からメジャー系(ワーナー・ブラザーズ〜ノンサッチ)と契約しているサックス奏者のライヴを南青山・ブルーノート東京(セカンド・ショウ)で見る。前にぼくが見た来たとき(2003年1月13日)はオルガン奏者を擁してのものだったが、今回はずっとつるんでいるリズム隊とのもの。そのベーシストのルーベン・ロジャース(2005年5月11日)とドラマーのグレッグ・ハッチンソンのコンビは実はダイアン・リーヴスのそれ(2008年9月22日のときは一緒)と結構な期間重なっている。

 新作『コンパス』(ノンサッチ)と同様に、コード楽器なしのシンプルなトリオでの、生理的に澄んでいてストロングなパフォーマンス。体力的なこともあり、重さや瞬発力を持つリズム音をバックにレッドマンは思いの丈を発散していく。奔放、三者がそれぞれのミュージシャンシップをかけて、ジャズ流儀のもと丁々発止しているのがよく分かる。ほんと、みんなうれしそうに演奏していたな。リズム隊の音量に比してレッドマンのリード音は少し小さ目(と、ぼくは感じる)、も少しデカくしてもいいんじゃないか。でも、それは本人の意向なのかな。そのぶん(?)、彼はMCをデカい声でしゃきっとやっていた。

 ファーストとセカンドは全部違う曲をやっているらしい(それも、新鮮さを保つ秘訣ね)が、ウェイン・ショーターやセロニアス・モンクらの曲もやる。彼のお父さんはオーネット・コールマン(2006年3月27日)やキース・ジャレット(2007年5月8日、他)のグループ参加やフリーダムやインパルスやブラック・セイントやECMといった所に残すリーダー作(うわ、けっこう黄金のレーベル遍歴!)で知られるテナー・サックス奏者のデューイ・レッドマン(31年〜06年)。そりゃ二世ミュージシャンは少なくないが、同じ持ち楽器で同じ分野で活動しているというのはかなり珍しいんじゃないか。彼のときに生理的の暴れる演奏を聞きながら、ぼくは父親が扇情的な演奏を繰り広げる姿をふと想像した。ジャレット公演とかとで来日したことはあるはずだが、ぼくはデューイの生演奏に触れたことがない。



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