ついに、ライヴ三昧が11年目に突入した。自分でも、うわあ、だな。よくもまあ、飽きやすく持続性にかける(でも、惰性に流されるところは多分にあるか)ぼくが……。同業の小野島大さんに誘われ、彼のホームページの一コーナーとして書き出したのがコレのきっかけ。<ライヴ三昧>という命名も、彼によるものだった。ともあれ、そしたら、自分のために役立つ。CDは聞き直せばいいけど、ライヴはそれが出来ないしなあ。何かと、後から原稿を書くときに吉なのだった。備忘録としても、使えるし。

 まず、ジャジー・シンガーのメルドー・ガルドーのショーケース・ライヴを恵比寿・リキッドルームで見る。交通事故にあい相当なダメージを受けてずうっと入院、リハビリでギターを弾くようになった末に現在があり(でも、それ以前にもクラブでピアノ弾き語りをしていたようだ)、今も後遺症で日常生活がいろいろと制限されていると伝えられる人物。だからこそ、過去2度ほどプロモ来日の予定がとんでも、それほどアララという所感は得なかった。

 冒頭、杖もつかず普通に出てきた彼女は、最初一人で自分で出すフィンガー・スナップ音とフット・ストンプ音を下敷きにアカペラで歌う。お、ブルージィじゃないか。それは随所で感じ、彼女がちゃんとブルースやジャズに触れてきていたことを伝える。あとは、サポート陣とともに生ギターやピアノを弾きながら歌ったり、なにも手にしないで歌ったり。うぬ、やっぱりいいタマじゃないか。2枚目で初めて出したボサっぽい路線も無理なく出したし、思った以上に器用に自己提出できる感じもあったな。とともに、どこか気難しそうというイメージもあったが、ステージ上の彼女はMCを含め、フツーに快活な感じを与えるのもマル。まあ、まだ20代半ばだしな。

 弾き語りが出来る人だし、簡素な設定でやるのかと思ったら、ちゃんとバンドを伴ってのパフォーマンス。ウッド・ベース(一部、ギターも)、ドラム、トランペット、テナー・サックスというのが、バンドの陣容。曲によっていろんな絡み方をする彼ら、ワーキング・バンドなのかな。そうならば、彼女がベースにしてきているフィラデルフィア在住の奏者たちと推測されるが。それから、ショーケースゆえ短い時間しかやらないんじゃないかと思ったら、1時間をはるかに超えるパフォーマンスを堂々と彼女は披露。それ、普通の公演に接したという印象を与えるものでした。拍手。

 続いて、丸の内・コットンクラブでジャズ・ピアノの精鋭くん(2007年10月3日、他)を見る。ガルドーのほうが開演時間を40分近くおして始まったので、タクシーを飛ばしても、途中から見るようになってしまった。ぐすん。今回もトリオによるもので、ベースはヴィセンテ・アーチャー(2007年10月3日)。ドラムは無名の奏者で、みんな黒人。前回のほうがヒップホップ派生と思わせるビートを採用していたかも。でも、別にそれがダメなわではなく。ぼくが触れた数曲はどれも淡々と指をはわせるもので、でもそれは確か。そこらへん、意図した行き方だったのかな。


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