晩年のオスカー・ピーターソンにかわいがられもした、新進のジャズ歌手。ジャスティン・タイムからジョン・ピザレリ(2008年1月14日)のプロデュースでデビュー・アルバムをリリースしている。基本ニューヨーカーで、素はあっけらかんとしたアメリカンな人。

 表参道・カワイ楽器のパウゼと名付けられたコンサート・サロンにて(置いてあるピアノはカワイ最高級のものなんだろうな。そーいえば、学生時代にカワイのプリアンプ付きの電気ベースを弾いていたことがあり、それはまだ持っている。ずううっと触ってねー)のショーケース・ライヴ。場所柄、生音勝負のホールゆえ、PAを通すと音が響き過ぎなのは否めない。本人は地声がデカそうな感じもあったし、ノーPAで行ったほうがその真価が伝わるような気もしたが、いろいろ試した結果のものだったのかな。

 マンハッタン音楽院に作曲専攻で入ってからジャズ・ヴォーカル表現に没入したという人のようだが、堂々まっとう。井上陽介(2008年8月19日、他)をはじめ日本人のカルテット(ギター奏者入り)の伴奏のもと、スタンダードやジャズ・ヴォーカル曲として知られる曲を悠々と歌う。一曲はピアノの弾き語り、問題ない。歌の描く放物線が綺麗なため、もう少し素直な歌のおばさんとして行っても吉かも。とにかく、ジャズという米国が生んだアート・フォームを愛で、自分もその環の中の一員になれる歓び、それをできるだけ多くの人に伝えたいという気持ちはよく伝わってくる。会場には、プライヴェイトで滞日中の老成若手ジャズ・トランぺッターのドミニク・ファナリッチも。コールは彼の新作にゲスト入りしていたが、米国で同じ事務所に所属しているらしい。なお、コールの綴りの頭はよくあるCではなく、K。コールはコー△×□と続く苗字の略で、ロシア/ドイツの血をひいているそう。


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