年末からずうっと、昼間はお日様がさす(家にいると、温室みたいであったかーい)穏やかな日々がつづく。近年稀な、という言い方もしたくなるか。夜遊びもあまりしていないため、けっこう早寝早起きの日々。普段乱れた生活しているためもあり、そういう健全なのって心地いい。……年賀状、送っていただいた方、どうもありがとうございます。それなりの付き合いを持つ人なら知っていると思うが、ぼくは年賀状を一切ださない(大学のゼミの担当教授だけは唯一出していたが、それも出さなくなってしまった。そろそろ、退官かなあ)。面倒くさいし、出してない人から届いてあちゃーごめんよおとなることもない。でも、全然届かなかったら寂しいだろうし、いや届くぶんには嬉しい。オレって、本当に勝手だ。そういうの、悔い改めるときは来るのだろうか。

 午前中、懸案だったテープ起こし(取材先で録音機を借りて録ったら、やたら録音状態が悪い)をちょい気合いだしてやって原稿にまとめ、午後三に渋谷・ショーゲート試写室へ。「パッセンジャーズ」という映画を見る。コロンビア人ノーベル賞作家ガルシア・マルケスの映画監督をやっている息子のロドリゴ・マルケス(メキシコ育ち、なのか)が撮った作品。暗いトーンのなか、思わせぶりで疑心暗鬼な場面が綴られる。好みじゃないと思って見ていたが、最後の力技の展開でがらりと印象が変わる。気持ちが晴れる。微妙な余韻がじわんと沸いて来る。へえー。ご都合主義というか、かなり曖昧な含み〜展開も見られる映画だが、そんなとこは南米属性を持つ人が監督した映画だと思わせるか、な? ←それ、こじつけですね。脚本は出来合いのものをガルシアが気にいり、撮影に入ったようだが。ロケ地はカナダのヴァンクーヴァーで主要な役者は皆アメリカ人(準主役のパトリック・ウィルソンはスティーヴ・ウィンウッドに似ている)、米国トライスター映画配給なり。その後、カメラマンの森リョータくんの恵比寿で今日から始まった個展を覗いたあと、丸の内へ行って今年最初のライヴ。熟達ピアニストのケニー・バロンで、コットンクラブのセカンド・ショウ。

 前回みたとき(2001年11月20日)はダイヤのピアスが一番印象に残ったバロンだが、この晩は多分していなかったな。アルバムだと広がりや現代感覚を趣味よく盛り込む彼だが、ライヴ・ショウにおいては緩い感じで老成した演奏を展開。が、弾く曲は我をほんのり出すかのようにオリジナルが中心、「NYアティチュード」とかベタな曲名を付ける人なんだな(その曲が入っていたアルバムは『NYの秋』というタイトル)。ソロ・パートを与えられた曲だけ、ドラマーはしゃかりきになって叩きまくって笑えた。リズム隊はNY在住の北川潔とフランシスコ・メラ。新作『ザ・トラヴェラー』のそれでもあり(そこには他に、傾向外ギタリストのリオネール・ルエケ;2007年7月24日他やシンガーらが加わる)、ここのところはライヴも一緒にやっているのだろう、彼らの前に譜面は一切なかった。バロンは本編中盤とアンコールで1曲づつソロ・ピアノを披露。


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