セウタ

2008年10月28日 音楽
 おお、ユーロが120円代前半。かつてのドルの感覚で買い物できるじゃないか。円高を身近に感じる。 

 去年に続いて、WOMEX(2007年10月24日〜)目的でスペインのセビーリャに来た。直行便がないと、ほんとうに遠いよー。が、不況なはずなのに、(便数が減っているのかもしれないが)けっこう飛行機は混んでいたな。昨年同時期は東京より暖かいと感じたはずだが、今回は寒く感じる。現地で、防寒のためセーターを買っちゃった。飛行機のなかでも寒さを強く感じたりもしたが、それはぼくが年をとって寒がりになっているからか。ひえー。

 WOMEX開催前に、ちょっと北アフリカに行く。アルへシラスというジブラルタル海峡に面した港街にはセビーリャからバスで3時間。そして、そこからフェリーで容易にアフリカ大陸に渡れるのだ。ホテルで朝食を摂り(バイキングで18ユーロ)、近くにあるバス・ターミナルに行くと、すぐにアルへシラス行きに乗れた。行き当たりばったりだったが、そういう発車時間のタイミングはとってもうまく合い、ラッキー。バスは片道、17,06ユーロ。

 途中に大型バス(すいている)はヘレス・デ・ラ・フロンテーラに寄る。駅の横に、立派なバス・ターミナルがある。かつてF-1も開催されたことがあるヘレス・サーキット(シルキード・デ・ヘレス)がある都市。実はスペイン地図をながめると、あー知っているという地名が各所にいろいろあるのだが、それはサッカーのチーム名に親しんでいるから。ヘレスにあるチームはシェレスというのでそこからはヘレスという地名は覚えないが、ぼくは20年前の一時期に熱心なF-1ファン(まじに、一時はレース業界に行こうかと思ったほど)だったので、ヘレスの名前はとっても身近。で。ありゃりゃとなったのは、途中の高速道路(けっこう、整備されている)からの風景を見ていて、ぼくは90年代半ばにヘレスに来ていたのだとハタと気付いた事。初めてのスペイン行きのときもセビーリャに来た事があり(英国人アーティストがわざわざセビーリャで取材を受けたいと言ってきた)、そのとき現地に詳しい人が王室御用達のシェリー酒の蔵元に案内してくれたのだが、それはヘレスの郊外にあったのだな。そんときは何から何まで新奇で、場所名まで確認する余裕がなかった。

 そして、バスはアルへシラスのフェリー乗り場にまず止まる。日本で見たガイド・ブックには街のターミナルに到着してから徒歩15分と書いてあったので、こりゃラッキーと下車。アルへシラスからは主にモロッコのタンジェとモロッコ内にぽつんとあるスペイン領のセウタ行きが出て、どっちに行ってもいいと思っていたのだが、目の前がセウタ行きのフェリー乗り場ですぐに乗れそうなので、セウタを選択。そりゃ純モロッコのほうが感銘度は高いに決まっているが、いても一泊しかできないし、船酔いしやすいぼくは乗船時間が身近いほうが超ありがたいし(セウタのほうが距離がだいぶ近い)、両替する必要もないという事で、楽なほうが好きなぼくはセウタを迷わず選びましたね。先週、ぐうぜん友人タッチーがモロッコ旅行をしている、というのも少し頭にあったかな。同じじゃ、つまない。変化球じゃ。

 高速フェリー(31 ユーロ)は35分を謳い、チケット売り場のおねいちゃんも35分よとのたまったが、港周辺はゆっくり動き、結局一時間はかかったハズ。晴天でやな揺れ方は一切せず、船酔いもせず。なるほど、途中船からはヨーロッパとアフリカの両大陸が見えて、ホントに近いのだな。へえー。午後1時ごろに下船、あーぼくはアフリカ大陸に来てしまった、と感慨を少し得る。風景は(気候も)それほどアンダルシア地方と変わらないが、微妙な何か、歴史や場の違いようなものは感じたかな。スペインと違い、イスラム教を想起させる布で頭をくるんだ女性も散見されるが、その布はみんなカラフルなやつだった。

 中心部はせまく、すぐに歩ける。アルへシラスよりも綺麗で、かなり洗練されていると感じる部分も。夏はリゾート地っぽく相当ににぎわうらしいが、この季節はかなり閑散としている。お店も8割はしまっていたんではないか。言葉巧みに寄ってくるような人も、もちろんいない。で、見つけた店で昼食を摂ったのだが、客はぼく一人だし、あんまし美味しくないし……といった具合で、なんかこんな寂れたところに一泊するのはイヤという気分がむくむくと沸いてきて、日帰りを決定。絶対、悪い街ではないのはずだが。結局、ぼくはアフリカ大陸に4時間滞在した。

 帰りのフェリーは行きよりもずっとバカでかく(ともに、食べ物売り場や免税店があった)、高速船ではないようだが(帰りは29ユーロだった)、やはり一時間ほどでアルへシラスに着く。船内はガラガラ。バス・ターミナルの場所は分らないし、地図も持ってないので、タクる。3,25ユーロの基本で着く。で、すぐに7時半発のセビーリャ行きのバスにのれた。車中で寝た。実にスムーズな、日帰り北アフリカ旅行。セビーリャに着いてから摂ったタパスとビールがうまかった。

 ところで、携帯電話の便利さにはおどろいた。欧州について、東京で使っている携帯に電源を入れると、海外で紛失した場合はとか、ドコモからおせっかいなメールが2通も入っている(無くしたら、その文面よめないじゃないか)。で、画面の時間が欧州時間に変わっていて、その下には親切に日本時間も掲載される。電話帳に入っている番号にかけようとすると自動的に、<81に加え、0抜き>に変換してダイヤルされる。すげえ。が、この日はセウタあたりで、携帯がずっと圏外と表記されてしまう故障(それは、セビーリャに戻っても同様だった)に見舞われ、連絡をとらなくてはならなかったのでおおいにあわて、ムクれる。結局、一度電源を切ったら復活したが、アレはなんだったのか。スペインでそんなに使わなかったはずだけど、後の請求額が少し怖い。





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