渋谷・デュオ。2008年7月6日、7日に続く、関連公演。昨日のバルカン・ビート・ボックス(BBB)と異なり、完全人力によるパフォーマンスを彼らは標榜する。オーディエンスの反応は機会音を下敷きとする扇情的なBBBのほうが熱烈だが、彼らの欧州人らしいアート/ひねくれ感覚と主にモロッコ勢からもたらされる土着的臭みや強さが溶け合った末の、繊細にして大胆なうねりや剛性感がとてもうれしいとぼくは感じた。違う属性を持つ同士が歩み寄って場を作り上げたいという、そんな佇まいも良いよなあ。モロッコ勢の一人、ヴァイオリンのハッサンはまだ20代のような若い顔つきをしているが、他の3人が引っ込んでいるときも彼はステージに残って、無理なく表現に貢献していたりも。今回、BBBとシンク・オブ・ワン・ウィズ・キャンピング・シャアビは移動や宿泊から打ち上げまで全面的に行動をともにしているが、そのことを当初シンク・オブ・ワン側は危惧するところがあったという。だって、イスラエルはアラブの国々から嫌われているから。でも、モロッコ勢は昨日のBBB単独のライヴにも顔を出していたし、とてもデリケートな問題を超え、いい奴なのをお互いに認め合って仲良くなっていたのは間違いない。その普通ならありえない様に触れて、音楽の力を少し感じた、かな? なんにせよ、今回いろいろな意味で、ぼくのシンク・オブ・ワン株はとっても上がりました。

 が、彼らはこのサマー・ライヴのシーズンを終えたあと、2年間の活動休止に入る。メンバーそれぞれ、好きな事をやるためとか。リーダーのダヴィッド・ボヴェー(ギター、肉声)はすでにリンガラの王者バンドのザイコ・ランガ・ランガのドラマーらと新バンドのS.W.A.N.(リンガラ・ミーツ・ジョイ・ディヴィジョン、なんて内容説明をしていたか)を結成。なんと、ボヴェーはコンゴのルーツを持つ人で、その関係で何度もコンゴを訪れているし、同国はやはりホームの感覚を得るという。また、さらにはリオでも新プロジェクトを立ち上げていて、今すぐにでもブラジルに行きたいなんて事も彼は言っていた。実は彼の新しい奥さんはブラジル人、ノルデスチ・プロジェクトの“シュヴァ・エン・ポー”を同国で推進していたときに出会ったという。彼女の弟はブラジルの有名バンド(名前、失念)のメンバーだそうだ。かつては、ちゃんとジャズ学校にも通った彼、一番好きなギタリストはマーク・リーボウ(2001年1月19日)だそう。とかなんとか、いろいろ、目が離せないナ。とともに、なんか綺麗ごとな書き方になるが、再集結したときのシンク・オブ・ワンも楽しみだ。

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