まず、丸の内・コットンクラブでマーク・マーフィ。器楽的な歌唱法を交えジャズ的な飛躍感を求めようとするスタイル(ジャズ・シンガーとしては、もっともあるべき姿を求めている人と言えるはず)を標榜して50年という、32年NY州生まれのベテラン歌手。柔軟さや洒脱さもたっぷり持つがゆえか、彼はクラブ・ミュージック時代になって、少し人気が盛り返した感じもあるかな。ピアノ、ベース、ドラム、トランペットのカルテットを従えての実演。サイドマンたちはみんなそれなりに若い。奔放に歌っちゃおうみたいな意思は前回見たとき(2006年1月15日)よりも強く出ていたかも。指には、フェイクじゃないならいくらするのと思わずにはいられないごっついリングをいくついも付けていた、ちょい悪じじいノリもあるマーフィさんでした。

 そして、南青山・ブルーノート東京に移動して、洒脱ブラジリアン・ポップ派マルコス・ヴァーリ(2002年11月7日、2003年10月24日)を見る。今回はベース、ドラム、サックス奏者、コーラス中心の女性シンガーを従えて。当人はキーボード中心に、ときにギターもつま弾きつつ、風通しの良い歌をふふふな感じで乗せて行く(前半部を中心にインストも何曲か)。ラウンジな、ふわふわした気持ち、漂う。さりげない美点のようなもの、横溢。月曜ながら祭日前の日、ようは金曜と同じ条件もあったのか、コットンクラブにせよブルーノートにせよ、なかなかの入り。勤め人はわくわく、ぼくは平常心……、たぶん。

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