ニック・ベルチュ

2008年4月27日
 新宿・ピットイン。土日だと開演時間が早くなるヴェニュー/場合も往々にしてあるが、ここは“老舗はいつも平常心”という感じで、8時の開演。それ、なんとなくすっきりしていてこのヴェニューには合っているナと生理的に思えたりもする。が、考えてみれば、ここは毎日、昼の部の興行(2時ぐらいからだっけか?)もしているんだよな。だから、夜のライヴのリハ/サウンド・チェックの時間もちゃんと取ろうとすると、8時開演ぐらいがちょうどいいのかもしれない。そういえばこのヴェニュー、大昔は<夜の部><昼の部>だけでなく、若輩の方々にライヴ・パフォーマンスの機会を与える目的を持つ午前中になされる<朝の部>興行もかつてはあった。もちろん、今の場所でなく、もっと新宿駅に近い旧店舗のときの話。文字通り、フル回転で日本のジャズ興隆に寄与していたんだよなー。なんてことを思い出し(ぼくも、すっかり忘却の彼方だった)、なんか、ピットインありがたやー、という気持ちに少しなった。それと、ここの向かいには怪しいお店が入っていたが、それがピットイン経営の貸しスタジオになっていた。

 スイス生まれ、禅にかぶれて日本に居住したこともある、現在ECMと契約する少し変わったジャズ・ピアニスト。1部がソロ、2部が舞踏の人(やはりスイス人の、イムレ・トルマンというお方)とのパフォーマンスという内訳。1部は前回見たとき(2006年10月26日)と同様の感じだが、やはり個性はあるし、いい意味で気持ち良さ〜睡眠を誘うような揺らぎが増しているようなところがあったか。休憩時にグランド・ピアノが後方端にリプレイスされ、視覚的には舞踏家が主演となる。終わり方とかはピアノ音とシンクロしている感じもあり、両者の間でそれなりの構成/約束事は決めていたのかも。ベルチュとトルマンは同じスキンヘッドで喧嘩弱そうな痩身貧弱さん的ルックスを持ち、兄弟だと言われたら信じそう。トルマンは激しい動きやアクロバティックな動きはなしで、ちょっとした身のこなしやポージンングの含みのようなもので勝負するタイプ(と、門外漢は感じた)。途中から、けっこう汗をかいていたな。2部のほうは立って熱心にステージを見る人が増えて、トルマンさん目当ての人がおおいのだなと感じた。

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