神宮前・キネアティックで、映画『ファベーラの丘』(2005年、アメリカ映画)の試写を見る。リオのファヴェーラ(ゲットーという、説明の仕方もあるのかな)のヴィガリオ・ジェラウという地区を舞台にするドキュメンタリー映画で、ドラッグ・ディーラーが仕切る同所に住む未来のない若者たちに音楽で希望を与えるために、やはりそこに住むアンデルソン・サーという人物を中心に93年以降活動を続けているアフロ・レゲエというコミュニティ団体の活動を追ったものだ。

 頭のほうはブラジルのファヴェーラがいかにやばいところで(中東の紛争地区よりはるかに若者の死亡率が高いという事も説明される)、警察もくさっているかというのを残酷なアリ映像も交えていろいろと提示し、サーたちの活動の必然性と、だからこその艱難さを説明。アフロ・レゲエは子供たちにパーカッションやダンスを教えるなどの奉仕活動をするとともに、その中心人物たちは同名のバンドを組んで音楽活動をしていたりもする。その音楽性はレゲエとはなんら関係なく、ヒップホップやロックの要素の強いことをやっていて、そこにサンバの打楽器が加わるといった感じのもの。ぼくは今回、初めて彼らの事を知ったが、04年にはユニヴァーサル・ミュージックからアルバムを出したそう。

 どきどきできたり、考えさせられるところは多々。描き方が一部クサいきらいがあり、効果音楽が一部完全にブラジル的属性から離れる(それ、ぼくの認識不足? そりゃ、ブラジルはなんでもありの国だが)あたりは多少しらける。が、いろんなリオの姿が垣間みれるだけでも(ファヴェーラの俯瞰映像もなかなか来るナ)、ブラジルに興味を持つ人なら見て損はないだろう。さすが、ファヴェーラを歩いてみたいとは思わないが(だが、ファヴェーラから見下ろすコパカパーナ方面の風景は実に綺麗。あんなの毎日見てたら、いい人になれそうと無責任に思った)、ブラジル行きたい熱を刺激されました。この4月5日から、恵比寿ガーデンホールにある東京都写真美術館1階ホールでこの映画は公開される。

 アフロ・レゲエ団体が子供たちに打楽器を教えるところで登場したのは、名手マルコス・スザーノ(1999年8月11日、2001年12月19日、2002年7月21日、2005年2月15日、2005年10月30日、2006年8月11日、2006年8月24日、2006年12月28日、2007年8月11日、2007年8月23日,他)。スティング・バンドから地元の子供たち相手まで、いろんなところで活躍しているのだな。ふふふ。映画によれば、リオのパトカーはフォルクスワーゲンの車を使用のよう。そういやあ、昔ワーゲン・ビートルが西ドイツ本国では作らなくなった後も延々とブラジル工場では生産されていて、細々と日本にも入ってきていたことがあった。話は飛ぶが、だいぶ前になるけどメキシコシティーに行ったときタクシーは皆ビートルでうれしくなったことがあったな。ビートルは2ドア車ながらもちろん客は後部座席に乗るのだが、その乗降がしやすいように前の助手席の椅子をとっぱっらっていたっけ。そのビートルはやはりブラジル産だったのだろうか。それが、最後のワーゲン・ビートル乗車であり、リア・エンジン車/水平対抗エンジン体験だったな。

 そして、丸の内・コットンクラブへ。その前に有楽町のビック・カメラで携帯を買い替える。1年半ぐらしか使っていないが雑に扱うために調子が悪く、通話に支障がでていたため。一番いいナと直感で思えた商品は品切れでかなしー。5万円強の出費。ところで、複雑な料金契約体系のもろもろはなんとかならんのか。わけわからん。絶対にあれはずぼらなユーザー無視、ぜんぜん優しくない。あんなのをしたり顔でプレゼンしたりするのを日々の業務にする奴がいて、それにOKを出す馬鹿面のお偉方がいるかと思うと、腹が立つ。あー、いろんな意味でNTT/ドコモとおさらばしたい(ある理由で、そのままだが)。でも、他の会社も同様なのかな。

 米国西海岸の若手ジャズ・シンガーのサラ・ガザレク(2006年3月22日、2007年12月27日)、ファースト・ショウ。まだ20代ながらスーツをちゃんと着るピアノ・トリオと一緒に、初々しく歌うのは前回みたときと同様。だが、彼女のMCを聞いてびっくり。なんと、ベースとドラムは新しい人たちで6ヶ月前からこのメンバーでやっていること。おお。2006年の項で書いてあるように、ガザレクとリズム・セクションは大学のジャズ専攻時の同級生で、卒業後も一緒にプロとして高めあってきたまさに同志。一体、何があったのか。メンバー交代なんてずっとやっていく上では不可欠なものだろうけど、彼らはまさしく竹馬の友的なノリから、円満にしてブライトな私たちのジャズ表現を紡ぎだそうとしていたのだ。一体、それはどっち側からの申し出であったのか。そのときの、切り出されたほうの反応は……。いやあ、そのMCの後、ぼくはそんなことに思いは回り、少しドギマギしちゃいました。だけど、それがまた新しい発展に、前進につながることを望む。

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