ロバータ・フラック(4日)
2008年3月5日 70年代初頭にダニー・ハサウェイとコラボレーションして一世を風靡、洗練された新しいアフリカン・アメリカンの姿を提示するとともに、その後は徐々にポピュラー・ヴォーカル方面にノリを移行させつつ、アーティスト・ヴァリューを保っている人。あるていど歳をとった人なら、ネスカフェの歌のおばさんというイメージもあるかな。彼女の代表曲「やさしく歌って」は、子供の頃ずうっとそのTV-CF曲に使われていたよな(その替え歌だったかもしれないし、もしかすると別な人が歌っていたかもしれない。はるか、記憶の彼方じゃ)。もちろん、何度も来日しているはずだが、ぼくは今回初めて彼女を見る。
さすがと思ったのは、同行サポート奏者(みんな黒人)の豪華な顔ぶれ。二人いるうちの一人の鍵盤奏者はEW&Fの音楽監督をずっと勤めていたモリス・プレジャーだし、ベースは近年シックのベーシストとして来日してもいる売れっ子セッション・マンのジェリー・バーンズ(2006年4月11日)、またギタリストはビヨンセらのプロデュースをしているシェロッド・バーンズだ。彼はジェリーの兄弟で、さらに90年代によくハイラム・ブロックのバンドで来日していたカトリース・バーンズ(キーボード、歌)を含めた構成でザ・バーンズ・ファミリーというアルバムを出したことがあった。また、以前にここで書いているが、その3人は沼澤尚(2008年1月30日、同1月31日、他)やジェフ・リー・ジョンソン(2004年10月28日)やロイ・ハーグローヴ(2007年9月10日、他)らとともにバーンズ・プロジェクトというユニットの録音を近年している(いくつかの会社に数曲をプレゼンしたけど、どこも興味を示さず。ぼくはとてもいいと思うのだがなあ)。それから、サックス/フルートのアルチューロ・タッピンはかつてカリブ海の暢気なケニー・Gみたいな感じで売り出されたことがあった人だし、バック・ヴォーカルのトニー・テリーは昔エピックやキャピトルからリーダー作を出していた美声シンガーだ。
そこに、基本ピアノを弾きながら歌うフラックという布陣。で、曲名はわからなくても、あーこの曲知っている、うーいいメロディだなと思わずにはいられない楽曲が次々に送り出される。……いい演奏(フラックの意向でもあるのだろう、スポンテイニアスに鮮やかな発展を示すときも)に、いい曲。が、唯一あれれと思ってしまったのが、フラックの歌。うーむ、これをどう判断したらいいのか。非常に声質が良くなく、音程が不安定。あのニュートラルな質感の歌が入ると思っていると、それとは違うよれた声が出てくるのでとまどう。喉の衰えは当然あるのだろうが(今回、初めて聞くので判断がつかない。でも、もう70歳を超えているんだよな)、いつもより不調な部分があったと思いたいが。でないと、寂しい。まあ、テリーとジェリー・バーンズのバック・コーラスの良さは逆に引き立ちましたが。
最後の曲は「ラヴ・ミー・イン・ア・スペシャル・ウェイ」。ピアノを離れ中央前に立って少し歌い、伴奏陣が演奏するなか、円満な感じを振りまいていたフラックは退出。まばゆい広がりを見せる、これもものすごくいい曲。感激。が、後でよく考えたら、これデバージの曲じゃん。ぼくにとっての80年代モータウンはリック・ジェイムズと彼らが筆頭に立つかも、後に投獄されちゃうエルドラ・デバージのポップ・センス大好きでした。あ、そういえば中盤では非常にスキルに富み(騙し絵的、とも言いたくなる)、愛もこもったマーヴィン・ゲイ曲メドレーも披露。いいものはどれも胸を張るべき私たちの財産、なんかそんな感じも出ていたかしら。主役に不満を覚えつつ、もやもやした米国黒人音楽の総体を語る何かに触れたような気になったのは確か。六本木・ビルボードライヴ東京、ファースト・ショウ。
さすがと思ったのは、同行サポート奏者(みんな黒人)の豪華な顔ぶれ。二人いるうちの一人の鍵盤奏者はEW&Fの音楽監督をずっと勤めていたモリス・プレジャーだし、ベースは近年シックのベーシストとして来日してもいる売れっ子セッション・マンのジェリー・バーンズ(2006年4月11日)、またギタリストはビヨンセらのプロデュースをしているシェロッド・バーンズだ。彼はジェリーの兄弟で、さらに90年代によくハイラム・ブロックのバンドで来日していたカトリース・バーンズ(キーボード、歌)を含めた構成でザ・バーンズ・ファミリーというアルバムを出したことがあった。また、以前にここで書いているが、その3人は沼澤尚(2008年1月30日、同1月31日、他)やジェフ・リー・ジョンソン(2004年10月28日)やロイ・ハーグローヴ(2007年9月10日、他)らとともにバーンズ・プロジェクトというユニットの録音を近年している(いくつかの会社に数曲をプレゼンしたけど、どこも興味を示さず。ぼくはとてもいいと思うのだがなあ)。それから、サックス/フルートのアルチューロ・タッピンはかつてカリブ海の暢気なケニー・Gみたいな感じで売り出されたことがあった人だし、バック・ヴォーカルのトニー・テリーは昔エピックやキャピトルからリーダー作を出していた美声シンガーだ。
そこに、基本ピアノを弾きながら歌うフラックという布陣。で、曲名はわからなくても、あーこの曲知っている、うーいいメロディだなと思わずにはいられない楽曲が次々に送り出される。……いい演奏(フラックの意向でもあるのだろう、スポンテイニアスに鮮やかな発展を示すときも)に、いい曲。が、唯一あれれと思ってしまったのが、フラックの歌。うーむ、これをどう判断したらいいのか。非常に声質が良くなく、音程が不安定。あのニュートラルな質感の歌が入ると思っていると、それとは違うよれた声が出てくるのでとまどう。喉の衰えは当然あるのだろうが(今回、初めて聞くので判断がつかない。でも、もう70歳を超えているんだよな)、いつもより不調な部分があったと思いたいが。でないと、寂しい。まあ、テリーとジェリー・バーンズのバック・コーラスの良さは逆に引き立ちましたが。
最後の曲は「ラヴ・ミー・イン・ア・スペシャル・ウェイ」。ピアノを離れ中央前に立って少し歌い、伴奏陣が演奏するなか、円満な感じを振りまいていたフラックは退出。まばゆい広がりを見せる、これもものすごくいい曲。感激。が、後でよく考えたら、これデバージの曲じゃん。ぼくにとっての80年代モータウンはリック・ジェイムズと彼らが筆頭に立つかも、後に投獄されちゃうエルドラ・デバージのポップ・センス大好きでした。あ、そういえば中盤では非常にスキルに富み(騙し絵的、とも言いたくなる)、愛もこもったマーヴィン・ゲイ曲メドレーも披露。いいものはどれも胸を張るべき私たちの財産、なんかそんな感じも出ていたかしら。主役に不満を覚えつつ、もやもやした米国黒人音楽の総体を語る何かに触れたような気になったのは確か。六本木・ビルボードライヴ東京、ファースト・ショウ。
コメント