南青山・ブルーノート東京、ファースト・ショウ。ステージ上にはピアノとときにテナー・サックスを吹くリーダーのゴードン・グッドウィン率いる,17人のビッグ・バンド。ずらり、壮観。で、管楽器群の出音のデカいこと(この前のマット・ダスク:2007年12月27日:のときの倍近くあったんでは……)。歯切れもすごい。実はグッドウィンはかなりショーマンシップに則ったMCや客扱いをする人物であり、曲調やリズムもときに客に媚びようとする方向性を取ったりするが、管楽器セクションは実に確か。1曲目でソロ・パートを与えられたエリック・マリエンサル(アルト)やアンディ・マーティン(トロンボーン)をはじめ、リーダー作をそこそこ持つ腕利きが何人もいるのではないかな。ちゃらすぎる嫌いはあったが、認めるべき実力派の娯楽ビッグ・バンドと思う。

 途中から、主役なはずのオースティンが登場。フュージョン・ヴォーカルの人気者だった彼女は何度も来日しているはずだが、ぼくは初めて見る。近年は“私はジャズ・ヴォーカリスト”なのという姿勢を全面に出したビッグ・バンドを従えたアルバムを出している。その新作はガーシュイン曲にのぞんだアルバムだったが、この日もガーシュイン曲ばかり歌ったのかな。って、そのアルバムの解説はオレが書いてるのになんと無責任な。

 音の馬鹿デカいビッグ・バンド音にのって、ぜんぜん負けずに歌うオースティンは実に立派。スキャットをかますときも、けっこうマイクと口を離していたりして。おばさん、アンタすごいワ。生理としての自負、みなぎる。ジャズ歌手の看板掲げてもなんの問題もなし。人海戦術の大音量に対峙/融和する一人肉声の尊さを肌で感じたりました。

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