若手のジャズ・ヴォーカルの担い手が一緒に出演する出し物で、南青山・
ブルーノート東京(セカンド・ショウ)。ステージ上にはタイ着用の全17人
(日本人も3人混ざっていた)がずらり、強弱のダイナミクスに富んだビッ
グビッグ・バンド伴奏によるショウ。やっぱ、それだけで生理的に絢爛豪華
、なんか年末を飾るという感じもあって悪くない。昨日で年内の原稿仕事は
終わりにしたので、よりそう感じるのかもしれないが。

 まず、登場したのは、1982年シアトル生まれLA在住のサラ・ガザレク。
かつて見たショウの項(2006月3月22日)で触れているように自己スモール
・グループと一体で少しポップな方向にもかする方向性を取る彼女、この正
統仕様にうまく乗れるのかなと思ったら初々しくもソツなくこなす。大学の
専攻がジャズだったから、ビッグ・バンドで歌う機会もあったんだろうと推
測する。日本は4度目とかで、MCではけっこう日本語でしたりも。日本が
大好きなのがとっても良く伝わる。5曲歌ったかな。

 そして、ガザレクと入れ代わりで、78年カナダ・トロント生まれで、現在
はラスヴェガスを拠点としているダスクが登場。エンターテインメント性と
洒脱が同義語となる、ある意味ジャズ・ヴォーカルとしては王道と言えるだ
ろうフランク・シナトラとかハリー・コニックJr. ( 2000年3月31日 )ら
の系統に入るショウを悠々と披露する。新味はないが、まっとうなパフォー
マンス。ルックスも悪くないしね。バンドは彼のものなんだろう、彼の曲に
なると音のヴォリュームが一目盛り大きくなった。彼のなかでビッグ・バン
ドを従えたジャズ・ヴォーカル表現はアメリカの豊かさを象徴するものでも
あるそうだ。ダスクはトロントの大学でジャズを専攻、ピアノを弾きながら
歌うこともできるそうだが、100 パーセントお客さんと対峙できなくなるの
で、ステージでそれをするつもりはないと言う。彼は空で歌えるスタンダー
ド曲のリストが載せたカード(そこには、曲毎に適正キーも書かれている)
をポケットに忍ばせていて、いつでも他者とお手合わせできるようにもして
いる。なんかあったとき、ここにある曲なら歌えるよと奏者にそのリストを
見せるわけだ。彼はハンサムで真摯なジャズ・キャットだと思う。

 アンコールはダスクとガザレクが一緒に手を取り合って出てきて、「ベサ
メ・ムーチョ」をベタなデュエット・ソングの如く歌う。笑えました。

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