丸の内・コットンクラブ(セカンド・ショウ)。近年のジャズ・ピアニス
トのなかでは、ぼくは彼をトップに買っているのかな。テキサス州出身NY
在住、ジェイソン・モラン(1月16、17日)は高校の先輩で、ビヨンセ(2
001年6月25日、2006年9月4日)は2年後輩となる。過去、グラスパーは仲
良しのビラルのサマソニ来日(2001年8月18日)他、何度かサイドマンで来
日している。

 アルバムがそうであるように今はトリオで行きたい気分だそうで、ベース
はアルバムでも弾いているヴィンセンテ・アーチャー、ドラムはチャールズ
・ロイドのワーキング・メンバーでその来日時(2005年5月11日)もいい演
奏を聞かせたエリック・ハーランド。かなりヒップホップ・アクセントを下
敷きにした人力ビートに乗って、ジャズの流儀や美意識に則ったピアノが瑞
々しく溢れだす……。

 アンコールを含め4曲をやったが、うち2曲は新曲とか(既発曲は新作か
らのものではなく、その前作のブルーノート移籍第一作の収録曲だった)。実
は、ハーランドは予定されていたドラマーが駄目になって(初日は、ピアノ
とベースのデュオでやったそう。それはそれで、貴重なパフォーマンスだな
ー)、急遽来日した(彼のほうが、ずっと有名人だが)。いく
ら、高校の同級生とはいえ、けっこう複雑に構成されている曲を傍目にはな
んの問題もなく叩ききっていたのはお見事! 3曲目はブギウギやストライ
ド・ピアノを素材におきつつ、左右の指が別なテンポで動いていって新たな
局面を描こうとする。ブラッド・メルドーもびっくりの左右の自在のバラン
ス感はCDで示される以上で、本当にびっくり。聞けば、それが出来るように
なるためにはかなり練習したという。また、大好きなジャズ・ピアニストは
まずチック・コリアだそうで、これにもびっくり。アンコールでの淡い電気
効果音を併用したバラードも絶品だった。

 やっぱり、彼は若い世代が触れるべき純ジャズ・ピアニストの最たる存在
だと思う。

 そのあと、渋谷に移動。ザ・ゲームで、ヴェリー・ビー・ケアフルを見る
。ラテン系音楽と繋がったバンドやDJが出るパーティへの出演。LAベー
スのクンビア/バジェナートの5人組でコロンビア出身者だけで組まれてい
るのかと思ったら、コロンビアン・アメリカンはアコーディオン/歌とベー
スのガズマン兄弟だけ。あとはチカーノ二人と、ペルー/プエルトリコの血
をひいているのが一人。今月でちょうど結成10年、ずっと同じメンバーでや
っているそうだ。

 フジ・ロック(04年7月31日)で見てぼくは望外にヤラれてしまったのだ
が、やはりこの日の実演も塩辛くて、哀愁があって、人間ぽくて、ようはい
い味が充満していて、浮かれる。昼間に取材をしたのだが、よく考えている
ところと天然なところがまざっている感じ。いろんな同時代音楽を楽しみつ
つ、一方でマジな姿勢でバジェナートをやろうとするとこーなったという感
じのようだ。オゾマトリとは昔は一緒にやったりしたけど、今はあちらが有
名になってしまって距離ができちゃったナとのこと。

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